主要人物の年齢

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岩波文庫第8・12巻末の紅楼夢年表を参考にしましたが、専門家ではないのでいい加減な考察です。フォローいただけると幸いです。
名前の後の( )は宝玉15歳の時点での年齢を示しました。

(1)年齢が明記されている者
 劉姥姥(77)→宝玉13歳の時75歳(第39回)
 賈 政(58)→宝玉17歳の時60歳(第96回)
 賈元春(30)→宝玉16歳の時31歳で死亡(年表の注)
 賈 蓉(24)→宝玉7歳の時16歳(第2回)、宝玉11才の時20歳(第13回)
 王熙鳳(23)→宝玉17歳の時25歳(第101回)
 妙 玉(21)→宝玉12歳の時18歳(第17回)
 薛 蟠(19)→宝玉8歳の時12歳(第4回)
 雪 雁(18)→宝玉7歳の時10歳(第3回)
 黄鶯児(18)→宝玉13歳の時16歳(第35回)
 夏金桂(17)→宝玉15歳の時17歳(第80回)
 薛宝釵(17)→宝玉8歳の時10歳(第4回)、香菱・襲人と同年(第63回)
 花襲人(17)→宝玉8歳の時10歳(第6回)、宝釵・香菱と同年(第63回)
 柳五児(17)→宝玉14歳の時16歳(第60回)
 香 菱(17)→宝玉1歳の時3歳(第1回)、宝釵・襲人と同年(第63回)
 林黛玉(14)→宝玉6歳の時5歳(第2回)
 賈 蘭(13)→宝玉7歳の時5歳(第3回)、宝玉15歳の時13歳(第78回)


(2)年齢は明記されているが矛盾が見られる者
 各人の年齢は数え年なので年齢差が変化することはないはず…

 史太君(賈母)(79か80)→宝玉15歳の時80歳、宝玉19歳の時83歳
 林紅玉(18か19)→宝玉13歳の時16歳(第24回)・17歳(第27回)
 晴 雯(16か17)→宝玉15歳の時16歳(第78回)、宝釵・香菱・襲人と同年(第63回)


(3)おおよその年齢が明記されている者

 王夫人(50前後)→宝玉13歳の時50歳に近し(第33回)
 薛姨媽(47前後)→宝玉8歳の時40歳前後(第4回)
 賈 璉(28前後)→宝玉7歳の時20歳前後(第2回)
 賈 瑞(24前後)→宝玉11歳の時20歳前後(第11回)
 賈巧姐(7、8)→宝玉20歳の時12、3歳(第117回)


(4)推定によるもの(かなりいい加減)
「妹・姉」は適当につけて呼んでいる場合も多いとのことですが、とりあえず素直に解釈してみました。

 李 紈(30前後)→元春(夫・賈珠の妹)と息子・賈蘭の年齢から推測
 秦可卿(20前後?)→夫・賈蓉と義弟・秦鐘(宝玉と同年)の年齢から推測
 賈迎春(15以上)→宝玉が「迎春姉さま」と呼んでいます(第74回)
 賈探春(14)→黛玉を「お姉さま」と呼んでいます(第82回)
 賈惜春(13)
→「惜春ちゃんはまだ小さいし、蘭ちゃんはなおと小さ」く(第55回)、黛玉を「林のお姉さん」と呼んでいます(第82回)。よって賈蘭<惜春<探春<黛玉となり、惜春と探春に年齢差がある方が自然なので探春・黛玉が同年の生まれ(黛玉は2月生、探春は3月生なので矛盾せず)、惜春・賈蘭が同年の生まれと推定しました。
 史湘雲(14以下)
→黛玉を「林のお姉さま」(第20回)、探春を「探姉さま」(第82、87話)と呼んでいます。宝釵に宝琴を「本当の妹に」(第49回)と言われているので、宝琴<湘雲<探春・黛玉となります。
 薛 蝌(15~17)
→宝釵の従弟。宝釵は薛蝌に対して「蝌兄さん」との言い方をしています(第114回)
 薛宝琴(14以下)→黛玉が「妹」と言っています(第58回)
 邢岫烟(16~17)
→宝釵を「お姉さん」(第57回)、宝玉が「お姉さん」と呼んでいます(第63回)。宝玉と同日の生まれ(第62回)なので年上ではないかと勝手に思いました。
 賈 環(13)
→探春の実弟であり、「蘭ちゃんはあの子(環)より小さい」(第88回)と言われています。
 平 児(20前後?)
→紅玉、襲人が「平児姉さん」(第27、67回)、宝玉が「お姉ちゃん」と呼んでいます(第62回)。熙鳳より下かな?と推測します。
 紫 鵑(???)
→黛玉は「妹だと思って」(第97回)、雪雁は「紫鵑姉さん」(第40回等)と言っているので、雪雁<紫鵑<黛玉でないと合いません。また、黛玉は雪雁を「子供っぽくて何もわからないのを嫌っている」(第97回)のですが、雪雁は黛玉より年上なので矛盾が生じます。宝玉は「紫鵑姉ちゃん」と呼んでいるし…(第113回)
 鴛 鴦(20前後?)
→宝玉が「お姉ちゃん」(第52回)。かたづかせてやらねばならぬ侍女として名があがっている(第70回)ので、他の侍女より年上でしょう。
 麝 月(15~17)
→襲人に「お姉さん」(第59回)、宝玉が「お姉ちゃん」(第78・85回)と呼んでいます。


(5)年齢に関する補足
 岩波文庫第8巻解説によれば、「小説中に見える宝玉の反体制言論が当局の忌諱に触れるのを恐れて、改訂の途中で俄かに宝玉の年齢をくり下げた」ものと推定されています。宝玉の本来想定されていた年齢について、有正本以外の脂硯斎本ではすべて「元春の生まれた翌年に、はからずも宝玉が生まれた」となっていることもその根拠になるようです。
 仮に宝玉・黛玉ら主要人物の年齢が10歳程度上であったとすれば、雪雁が「子供っぽい」と言われていることや、賈蘭との年齢差についての疑問も解決しそうです。