遼陽市曹雪芹記念館

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 曹雪芹の原籍については長らく論争(豊潤説VS遼陽説)が続いていました。1963年に北京で「五慶堂重修遼東曹氏宗譜」という曹家の系譜が見つかり、1978年に曹振彦(曹雪芹の祖父の祖父)の名が刻まれた3種の碑文(曹氏三碑)が遼陽で発見され、1996年の全国紅学検討会で遼陽が原籍であることが認められました(ただし、豊潤説もなお健在です)。同年9月に関連資料を展示する曹雪芹記念館が落成し、2004年に拡充されて現在に至っています。
 なお、記念館に使われているのは清代の四合院で、満州中央銀行の理事だった呉貫一の旧居「呉公館」だそうです。

アクセス
  (1)遼陽へ
 遼寧省遼陽市は、省都・瀋陽市の南約60kmにあります。
 瀋陽から遼陽へ行くには鉄道とバスが利用可能ですが、比較すると所要時間はほぼ同じ(1時間強)であり、本数が圧倒的に多くて切符購入が容易なバスが断然便利だと思います。問題は、瀋陽のバス乗り場が分かりにくいという一点です。

 瀋陽には長距離バスターミナルが点在していますが、遼陽(と鞍山)行きのバス乗り場は瀋陽駅の南東1キロのロータリーにあります(左図参照)。太原街の歩行者天国(商賀飯店の西側)の南端に位置しているので、こちらから行くと分かりやすいです。


遼陽行きバス乗り場

 出発時間は6:20~19:20で片道20元。「経緯快客 遼陽 鞍山」と書かれた建物の前にバスが停まっていますので、窓口で切符を購入して遼陽行きのバスに乗り込みます。瀋陽を出発したバスは1時間15分ほどで遼陽駅前のバスプールに到着します。

 なお、帰りのバスもここから出ます。遼陽駅前には全国各地に行くバスが並んでいますが、瀋陽行きのバスは駅のすぐ前に待機しており、「シェンヤンシェンヤン...」と声を上げているのですぐ分かります。バスは次から次へと出ており、切符は乗車してから買います。瀋陽では、出発したバス乗り場の近くに到着します。

  (2)曹雪芹記念館へ
 遼陽市曹雪芹記念館は駅の南東約2km強のところにあります。
 バスは1路と20路が利用でき、1路のバス乗り場は駅を背に右前方に進んで道路を渡ったところ、20路のバス乗り場は駅を背に左前方に進んで道路を渡ったところです。ともに「木魚石」下車ですが、1路バスは最短距離で曹雪芹記念館に向かうものの、バスを降りてからかなり歩くことになります(前方に見える信号を左折して200m先右側)。20路バスは駅の北東の方をだいぶ迂回しますが、記念館の目の前に停まります。
 こちらに地図を置いておきます。市内バスは一律1元です。

展示内容
 門楼を入ると曹雪芹の座像があり、その奥の建物が「家世祖籍展室」と「紅楼文化展室」になっています。前者はさらに以下の3室に分かれていました。

・「祖籍遼陽 軍功起家」 曹振彦(雪芹の祖父の祖父)と遼陽の関わりを示す資料展示
・「顕赫江寧 秦淮旧夢」、曹璽・曹寅(雪芹の曾祖父と祖父)に関する資料展示
・「燕京悲歌 著書西山」 曹家の家産没収~紅楼夢の成立までに関する資料展示
「紅楼文化展室」では記念館の由来と紅楼夢簡介(人物表や書籍)が展示されていました。

 他の曹雪芹記念館と比べると、曹振彦に関する資料は群を抜いていますが、他の資料は北京の使い回し(?)も見られました。所要時間は30分~1時間程度と見ておけばよろしいかと思います。

篇額 曹雪芹の座像
曹振彦に関する展示 紅楼文化展室