南京江寧織造博物館

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 江寧織造府は、清代に現在の南京市大行宮地区に置かれた、皇室に納める衣料品の製造調達を行なう機関でした。曹家は曾祖父・曹璽から三世代四人がこの職に就き、康煕帝は6度南巡した際に、江寧織造府に5回行宮(仮の宮殿)をおくほど曹家は信を受けていました。
 江寧織造府は260年余り存続しましたが、太平天国の乱の際に戦火につつまれて灰燼に帰しました。2002年に江寧織造博物館の建設が決定し、2009年に完成し、2013年5月から公開されています。

アクセス
 2014年11月現在、中国東方航空が成田-南京、関空-南京の直行便を週2便ずつ運行していますが、上海から南京へのアクセスは非常によいため、上海を経由して高速鉄道で南京に入るのが一般的なルートです。

 上海と南京は和諧号(CRH,中国鉄路高速)で約2時間で結ばれており、十分に日帰りが可能です。現在、上海のメインの鉄道駅は上海火車站から上海虹橋火車站に移っていますが、南京への便は上海火車站からの方が多いようです(1時間に3本程度)。

 駅には自動券売機もあるのですが、2011年に実名制度が導入され、外国人はパスポートを提示して窓口で購入することになります。上海駅(上海火車站)では「鉄路上海站售票処」と書かれたビル(聯合售票大楼、下の写真)が東側に隣接しており、3日前からの切符が買えます。席は1等と2等があり、全席指定です。

 乗車時は、遅くとも30分前までには駅に着き、入口(進口)でパスポートと切符を見せ、手荷物のX線検査を受けてから中に入ります。切符に書かれている(電光掲示板にも表示されています)待合室(候車室)に入って待つと、15分ほど前に改札(検票)が開くので群衆についてホームに入り、切符に書かれた車両に向かいます。

上海聯合售票大楼和諧号

 さて、南京駅(南京火車站)に到着したら、そのまま地下鉄1号線に向かいます。
南京の地下鉄は絶賛延伸中ですが、主要な観光地は2号線沿いにあり、「新街口」で乗り換え、曹雪芹記念館へは「漢中門」、江寧織造博物館へは「大行宮」、紅楼芸文苑へは「苜蓿園」が最寄り駅になります(それぞれのページを確認ください)。

 江寧織造博物館の南口が「大行宮」の2番口に直結しています。


展示内容
 南口から入ると「紅楼夢館」「雲錦館」のある地下1階、北口から入ると「江寧織造庁」のある1階になります。

・「紅楼夢館」  地下1階。紅楼夢に関するテーマ館
・「雲錦館」   地下1階。雲錦織物(歴代皇帝の衣に使われた複雑な模様を織り込んだ南京伝統の織物)と清朝皇帝の龍袍の展示
・「江寧織造」  1階。江寧織造の全景模型、3D表示された「康煕南巡図」、関連資料などの展示
・「中国旗袍館」 2階。旗袍(チーパオ=チャイナドレス)の展示と試着

 紅楼夢館に入ると、「紅楼夢曲」と題された大観園の風景と雪芹先生が動画表示された大屏風が目に入ります。
 まず、曹雪芹の家系に関する「曹雪芹身世」、曹雪芹の生涯に関する「紅楼夢閲読」のコーナーがあり、通路中央に脂批本(甲戌本・俄藏本・鄭藏本)が展示されています。

「紅楼夢曲」 「曹雪芹身世」
「紅楼夢閲読」 脂批本の展示

 続いて、円形のホールが広がっており、巨大な通霊宝玉の中に女媧補天~大石と道士たちとの出会いのCG動画が流れる「頑石通霊」があります。
 ここから右側には好了歌、左側には紅楼夢人物関係図譜が記されており、その奥にはタッチパネルで十二釵たちの画像と詩詞が画面表示される装置が数台並んでいます(操作がよく分かりませんでした)。
 ホール中央はミニシアターになっており、宝玉が太虚幻境を訪れた場面のCG動画が流れています。

好了歌 太虚幻境のミニシアター

 その先のホールには灯謎がぶら下がっており、清代の挿画展示、元春省親の模型、海棠詩社の塑像などがあります。
 その奥に宝黛初会・共読西廂・黛玉葬花・黛玉焚稿のCG動画が見られる装置が並んでいます。
 その先には宝玉出家のCG動画「帰彼大荒」が大型モニターに映されています。

元春省親の模型 海棠詩社の塑像
宝黛のCG動画(3画像の合成です) 帰彼大荒

 その先では紅学の歴史が紹介され、通路には脂批本が電子書籍で読めるタッチパネルの装置が置かれています。
 最後のホールは「紅楼夢文化」のコーナーで、戯曲や映画と並んで87年版紅楼夢の紹介がなされ、おなじみの音楽が流れています。で、新版紅楼夢については全く言及されていません(^^;
 出口のアーチ状の壁には、曹雪芹と金陵十二釵の絵が描かれています。

紅楼夢文化 曹雪芹と金陵十二釵