南京地下鉄3号線

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 2015年4月に南京地下鉄3号線が開通しました。全29駅(2015年11月現在)のうち9駅の構内の壁面に「紅楼夢」の場面を描いた彫刻や絵画が飾られています。

 まず、起点となる「南京站」、その2駅北にある「五塘広場」、南京站から4駅南にある「大行宮」から連続した5駅(「大行宮」、「常府街」、「夫子廟」、「武定門」、「雨花門」、「卡子門」)、そして「卡子門」から7駅南にある「九龍湖」です。

 壁絵は改札の近くに設置してあり(改札の中にある駅と外にある駅がありましたが)、全て改札を出なくても見られる位置にありましたので、最後に改札を出る駅までの切符を買っておけばOKです。

 電車の運行間隔は約7分でしたので、目的の駅に着くと改札のあるフロアに駆け上がり、写真に収めて次の列車へ...という行程で動きました。
 「南京站」から北の「五塘広場」へ行き、一気に「九龍湖」まで南下し、再び北上して「卡子門」から各駅停車した後、「大行宮」から出るというスケジュールでした。「九龍湖」だけが外れた位置にあり、かつ、「五塘広場」から「九龍湖」まで約40分ほどかかりましたので、結局2時半以上を要しました。


壁画の内容
(1)五塘広場
 五塘広場站の壁絵は改札の外の通路にあり、電車を出て改札フロアに上がるとフェンス越しに全景を見ることができます。
 テーマは「太虚幻境」で、作者は呉達立さんというフランス国籍の女性華人画家です。ダイナミックなタッチで、日輪らしき光を中央に、すぐ右に僧と道士、最も右に宝玉(神瑛?)、最も左に牌坊が描かれています。

(2)南京站
 南京站の壁絵も改札の外の通路にあり、電車を出て改札フロアに上がるとフェンス越しに全景を見ることができます。
 テーマは「元春省親」で、作者は金延林さんという画家です。紅学会の会員でもある金氏は、細部まで詳細な考察を行い、古典的なタッチで、駕籠(八人大轎)に乗って帰省する元春一行を待ち受ける史太君ら賈家の人々の様子が描かれています。この絵が南京駅に設置されたのは「南京にお帰りなさい」との意味も含んでいるそうです。

(3)大行宮
 大行宮站の壁絵は2号線と3号線の乗換通路に設置してあり、前を通る通行人がなかなか途切れないため、写真撮影はちょっと大変でした。
 テーマは「金陵十二釵」で、各人を囲む白枠は宝玉の通霊玉を模しているそうです(作者に関する情報はネット上に見つけられませんでした)。
 問題はこの12人が誰なのかがいまいち判然とせず、ネットでも話題になっています。私は左から宝釵・巧姐・黛玉・惜春・煕鳳・湘雲・探春・元春・迎春・可卿・李纨・妙玉と推定しましたが、あまり自信はありません(^^;

(4)常府街
 テーマは「品茗(茶を味わう)」で、絵画ではなく彫刻です。改札の中にあるので間近で見ることができます(触っている人もいましたが)。
 いくつかの場面で構成されており、左から晴雯が扇子を裂く場面(晴雯撕扇)、宝玉らが妙玉に茶を振る舞われる場面(妙玉品茗)、宝玉が宝釵の腕に見とれる場面(宝玉見宝釵)を確認しました。

(5)夫子廟
 テーマは「除夕夜宴(大晦日の夜宴)」で、ステンドグラス調のイラストが描かれています。こちらも改札の中にあります。
 中央に史太君があり、そのまわりに宝玉・煕鳳ら多くの人々が侍っています。左側では舞が、右端では楽器の演奏が行われており、賑やかな大晦日の夜宴の様子が描かれています。

(6)武定門
 テーマは「眠芍」で、タイル状のものを細かく貼り合わせたような貼り絵状の作品です(間近で見るとスゴイです)。
 こちらもいくつかの場面で構成されており、紅香圃で宝玉らの誕生祝が開かれた場面、煕鳳が平児をビンタする場面、劉婆さんが大観園で酔いつぶれる場面、湘雲が芍薬に埋もれて眠る場面を確認しました。

(7)雨花門
 テーマは「黛玉葬花」。改札の外にあります。
 今風のコミック調のイラストで、左から黛玉・宝玉・宝釵を並べ、そのバックに黛玉葬花、双玉読曲、宝玉見宝釵、宝釵撲蝶の各場面を描いており、三者の微妙な関係を表しているようです。

(8)卡子門
 テーマは「大観園」。改札の内側にあります。
 こちらも貼り絵状の作品で、大観園の情景が細かく描かれています。(場面の特定はできませんが)。絵の両側にはレリーフが設置されています。

(9)九龍湖
 テーマは「詩社」。改札の内側にあります。
 水彩調のデフォルメされたイラストで、海棠詩社の詩会の様子を描いているようですが、中央に宝玉がいて、その周りで少女たちが思い思いの動きをしており、それぞれの場面は特定できません。

 なお、各壁画はバラバラに撮った写真を合成していますので、多少いびつになっていますことをお詫び申し上げます。