一刻館探訪記

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○このサイトは「一刻館雑記帳」の一部を再編したものです。
(1)一刻館の所在
 めぞん一刻の主舞台「一刻館」は、東京都某市時計坂にあり、築70年前後とも推定される木造モルタル二階建てのおんぼろアパート。時計坂のモデルは東京都東久留米市とされますが、実際にはかなりの相違があって、作者の想像の産物というのが正しい見方のようです。一刻館は、町の名前にもなっている時計坂という急坂の途中にあり、周辺は民家や家屋が立ち並ぶ閑静な住宅街となっています。

  ○駅からどのくらいかかるのか?
 最寄駅は時計坂駅。駅から一刻館までの距離ははっきり分かりませんが、片側が切り立った時計坂の中腹からは街を一望できるということもあり、駅から歩いて数分というわけにはいかないようです。
 一方で、響子さんが買い物や惣一郎さんの散歩などで毎日頻繁に出向いていることから、駅から一刻館までは歩いて15〜20分(つまり1km)前後といったあたりが適当でしょうか?

(2)一刻館の外装

 一刻館の周囲は重厚な石塀がぐるりと取り囲み、謹直な楷書体で「一刻館」と書かれた表札が掲げられています。塀の上から響子さんが頭を出しています(第136話「100%SHONEN場」)し、五代君は塀の上で腕組みしています(第149話「ラブホテル事情」)ので、塀の高さは120〜130cmくらいでしょうか?
 アニメ44話で、大戦頃の写真(四谷家のアルバム)では板塀でしたので、終戦後に外周りだけ改築されたのかもしれません。昔は門の前に防火用水が置かれていたようですが、今はポリバケツが置いてあります。

 門から玄関までは4段の石段(注:原作のみ)になっており、広い敷地内には意外に緑が多く植わっています。植木の数は原作では不明ですが、アニメ前期では玄関の右側に2つ、左側に3つ、側面に2つが確認できます(中後期は不明)。

  ○壊れたままの大時計、なぜ直さない?
 一刻館正面の屋根の上には大時計があります。今は10時25分付近を指して止まっていますが、かつては正確に時を刻み、特定の時刻には電動式オルゴールによる鐘の音が鳴り響いたようです。
 「一刻館の思いで」では「スイッチさえ入れればオルゴールは作動するので、時計だって修理すれば動くに違いない」と書かれていますが、一刻館は雨漏りがひどいし、あの手のモノは動かさないと錆びついてしまうので、修理は容易ではないと思います。かつてはお寺の鐘のように時を告げる役割を担っていたのでしょうが、今はその必要性もないのでしょう。修理費・維持費もバカにならないでしょうし。

(3)一刻館の玄関付近(外側)

 玄関左前に惣一郎さんが寝ている犬小屋があります。一刻館の玄関は北向き(原作のみ)なので、惣一郎さんはあまり日の当たらないところにつながれています。以前MLで「惣一郎さんは響子さんの飼い犬なんだから、管理人室前の日の当たるところにつないでおくべきでは?」といった意見がありましたが、響子さんに何事か起こった時は飢え死にしかねません(笑)し、惣一郎さんは基本的に番犬ですから、玄関前がベストなのでしょう。

 玄関の外側には(アニメでは内側にも)電球が設置されています。第47話「キッスのある情景」を見る限り、電球の周りに丸いガラスカバーがついているのではなく、あれ自身が大きな電球なんですね(言ってること分かります?)。
 なお、アニメでは外の電球のスイッチは玄関を入って左側の壁にあり、内側の電球のスイッチ(1階廊下の照明も兼ねる)は下駄箱の左上にあります。
 古ぼけたとはいえ、ポーチや両開きのドアなどに見られる洋風の造りは、元々は由緒正しき建物であったことを偲ばせます。

  ○赤いポストは使われている?
 玄関左には赤いポストが設置されています。が、原作では一度も使われたことがありません。郵便屋さんは庭掃除をしている響子さんに速達を2回、小包を1回、一般郵便物(就職案内)を1回渡したことがあります。もちろん響子さんが庭先にいない時にはポストに投函していくのでしょうけど。
 アニメでは五代君がポストから新聞を取る場面がありました(第48話)。完結編冒頭でも新聞配達がポストに新聞を入れています。響子さんが新聞を購読していることは原作6話「サクラサクカ!?」でも分かります。

  ○扉が内側に開けられる時
 一刻館の扉は両開きです。原作では内側にも外側にも開けられていますが、アニメでは殆どの場合、外側に向かって押し開けられており、内側に開いたのは次の箇所だけです。なぜなんでしょう?
(1)響子さんが初めて一刻館に来た時(第1話)
(2)家出中の五代君がパンツを取りに来た時(第5話)
(3)五代君が大学から帰ってきた時(第15話冒頭)
(4)響子さんが外出から帰ってきた時(第26話)
(5)五代君が、遊びに来たこずえさんを初めて一刻館に入れた時(第26話)
(6)五代君と響子さんが同時にドアを開けた時(第52話)
(7)三鷹さんの叔父が一刻館に来た時(第75話)

(4)一刻館の玄関付近(内側)

 ドアを開けて中に入ったところで靴を履き替えます。左側にドアつきの下駄箱がありますが、なぜか玄関に履き物が散らばっていることもあります。下駄は五代君が銭湯に行く時に履くモノと、四谷さんが浴衣姿で庭先に出る時に履くモノが別にあるようです。
 玄関のドアは内側から鍵がかかり、響子さんが毎晩寝る前に戸締まりします。五代君や二階堂君が内鍵をかけられて閉め出されたことがあり、外に合い鍵を隠しておくといったことはしていないわけです。鍵は響子さんのみが持っているのでしょうか?
 玄関内の右側には鉢植えの花が置かれています。おそらく響子さんが管理しているんでしょう。

  ○スリッパについて
響子ピンク
一の瀬赤orピンク
賢太郎水色
五代水色
四谷水色
朱美黄色
○アニメでスリッパの色は表のとおり(51話だけ一の瀬さんが黄色、朱美さんが水色のスリッパ)ですが、意外にスリッパをはかないで館内を歩いていることが多いし、賢太郎君は殆どスリッパをはかないようです。
○八神さんが家庭教師で一刻館に来た時は黄色か水色のスリッパを履いていました(ゆかり婆ちゃんが上京した時も)。
○八神さんが一刻館に籠城した時におそろいで買ったスリッパ(緑色地に赤い星)を五代君はしばらく履いていたようです(アニメ79話で確認)が、その後、水色のスリッパに戻ったようです。

(5)一刻館の廊下と階段

 廊下は無駄に広く(笑)、2号室や5号室前で一の瀬さん・四谷さん・朱美さんが宴会をするにも十分なスペースがあります。
 1階の廊下隅にピンクの電話が設置してあり、黒板が設置してあります(黒板は管理人室前にもあり)。

 1階はピンクの電話の横・1号室の前・3号室の前、2階は5号室の前・6号室の前に流し台があります(全部で五カ所)。3・6号室前の流し台はトイレ用でしょうか? 
 2階の流し台前のガラス(右側)は連載当初ヒビ割れていましたが、その後、取り替えられたようです。

 トイレは各階の隅にあり、水洗トイレのようです。トイレの電気のスイッチは、アニメ前期はドアのすぐ左側にありますが、中期はドアの左側(階段に面した方)の壁にあるようです。原作とアニメ後期では不明です。

 原作で一刻館の階段は15段+3段です。踊り場の上の段数がはっきり分かるのは第154話「TEL YOU SWEET」だけですが、第49話「なんて器用なの」と第123話「発覚」でも15段が確認できます。
(2001年10月1日加筆)
 そのうち学生?さんから、階段の上の踊り場と2階廊下にはさらに1段の段差があるとの指摘をいただきました。第9話「アルコール・ラブコール」の五代君が響子さんを抱きかかえたまま階段を踏み外しているコマなどで確認できます。つまり『1段+15段+3段』が一刻館の正確な階段の段数ということになります。

  ○館内に貼られている貼り紙
貼り紙場所備考
「階段は極力静かに!」3号室と階段の間 第1話「隣はなにを…!?」等。アニメ前期では「廊下は極力静かに」
「廊下は清潔にしましょう」階段上がった左側 第9話「アンコール・ラブコール」のみ。アニメには登場せず
「廊下は静かに!」1・2号室の間と4・5号室の間 アニメ中後期及び「完結篇」。横に「一刻館管理人」と小文字で添えられている場合もあり
「トイレは清潔に」1・2階トイレの前 アニメ中後期。または「トイレはきれいに」。「完結篇」では「トイレは綺麗に」

(6)管理人室

 「管理人室はどこです?」「そこを曲がって…」(第27話「引退宣言」)
 一刻館の管理人室は原作では何畳なのか特定できません(「引退宣言」の回では12畳あるようにも見えますけど)。アニメでは8畳となっています。また、一刻館の裏側から見ると、アニメでは管理人室が出っ張った構造になっていますが、原作は亜空間なので(笑)平面に収まっています。

 ドアの左側(アニメは右側)に黒電話が設置されています。第27話「引退宣言」で管理人室の荷物が運び出された時、電話だけ残されたところを見ると、黒電話は響子さんのものでなく、一刻館にもともと備え付けられていたものと考えた方が良さそうです。
 電話の上にはカレンダーがあり、日時を特定するのに大変お世話になりました(私が)。

 その他の物で目につくのは、まず鏡台。第51話「一刻館の昼と夜」で大きな鏡台を購入するまでは、茶箪笥の上にあった小さな鏡を使っていたようです。
 それから座椅子。第2話「惣一郎さんっ!」で響子さんが座椅子を使っている場面がありますが、その後は第19話「ケガの功名争い」で響子さんが捻挫した時に使われたのみです。
 そして目覚まし時計。当初はアナログの時計を使っていましたが、途中からデジタルの時計に買い換えたようです(原作のみ;アニメでは最後までアナログ)。

 管理人室にのみ縁台があって、中庭に出ることができます。表には二槽式の洗濯機が備えてあり、響子さんは毎日午前中に洗濯をしているようです。アニメでは一の瀬さんもこの洗濯機を借りて使っています。
 洗濯物は中庭の物干しに干しています。一の瀬さんは二階の物干し台を使っています。

  ○コンセントについて
 管理人室には冷蔵庫・洗濯機・テレビ・コタツ・ストーブ・アイロン・炊飯器・掃除機等の電器製品があります。原作ではテレビはタップで電気を引いているようなので、コンセントは反対側の壁にあるようです。洗濯機や冷蔵庫は別にコンセントがあると思われます。 アニメではテレビの横にコンセントが確認できます。

(7)1号室

 「うちも家族三人でスシづめだから…」と一の瀬親子3人が生活している一号室。
 テーブル・タンス・小さな鏡台に炊飯器・冷蔵庫・テレビ・コタツ、と飾り気のない生活臭のする部屋。流し台の下の引き出しには買い置きの日本酒が詰まっているのでしょうか?
 1号室でも宴会が開かれたことがあり(第132話「Help Meコール」)、三鷹さんがあがりこんでおかゆを炊いたこともありました(第44話「風邪に抱かれて」)

 見落とされがちですが、1階は2部屋ずつあります。第66話「一の瀬氏、走る」の賢太郎君の寝ている場面と、第144話「出たとこ勝負」の最後のページ(二号室)を見ると、ふすまで仕切られていることが分かります。アニメでは一部屋しかなく、3人で寝るにはさぞ窮屈でしょう。

(8)2号室

 二階堂君の部屋には他の住人と違って高級感が漂い、ガラステーブル、テレビにオーディオ、大きな本棚、冷蔵庫、クーラーなどが見られます。2号室でも一度だけ宴会が開かれました(第83話「なんでもありません」)
 もう一つの部屋にはベッドがしつけてあり、二階堂君は寝ながら雑誌を読んでいます。

(9)4号室

 四谷さんの部屋の描写があるのは、第115話「キック・オフ」だけです。部屋にあるものは招き猫・木刀・碁盤・提灯などなど。壁には「火の用心」の貼り紙が貼られています。
 四谷さんの部屋で宴会が開かれたこともあります(135話「白昼の疑惑」)が、四谷さん自身は押入で生活している時間の方が長いのではないでしょうか?

(10)5号室

 「散らかってるなんて…なんにもないじゃありませんか」(第89話「こころ」)
 五代君の部屋。2階の各部屋も原作では広さが特定できません(第41話「誤解の方程式」、第48話「見るものか」からは6畳っぽくも見えますが)。

 4号室側の壁には四谷さんの出入りする穴があいています。八神さんが籠城した時や、面接から帰った五代君が5号室に閉じこもった時にも、4号室から進入すればよかったと思うのですが、なぜか実行されませんでした。
 一方、6号室側の押入には四谷さんのあけた覗き穴があいており、響子さんが一度はふさいだものの、第48話「見るものか」で四谷さんが再びあけてしまいました。また、五代君は浪人時代には「天の岩戸」と称して、宴会中に押入に逃げ込むクセがあったようです。

 部屋を見渡すと、小さな机が窓際に置かれ、受験勉強から保父試験勉強まで活躍しました。ほかに折り畳み式のテーブルがあり、冬場にはコタツが引っぱり出されます。コタツが確認できるのは1983年正月からなので、前年末の響子さんへの借金返済のアルバイト残金で購入したのではないかと思います。
 机の隣と入り口にカラーボックスがあり、コミックや参考書が並んでいます。窓の右側には鏡が設置してあり、こずえさんとのデート前には覗き込んでいくようです。

 その他の物で目につくのは、まずテープレコーダー。学生時代まではテレビもなく、五代君はテープレコーダーで音楽を聴いて気晴らししていたようです。
 そして目覚まし時計。五代君は7年間同じ目覚まし時計ものを使っています。メーカーはGITISEN。アニメ12話で五代君は窓から力一杯放り投げてしまいましたが、四谷さんがすぐに枕元に持ってきてくれました(how?)。

  ○座布団について
 原作では五代君は7年間同じ柄の座布団を愛用しています。たまに叩くと猛烈なほこりを出していますが、同じモノを使っていたのでしょうか?
 受験時代は自分専用のものが1つだけ使われていましたが、「メモリアル・クッキング」から来客用に2つ使われるようになり、「今夜待ってる」では一の瀬さん・四谷さん・朱美さんがめいめいに枕にしています。つまり最低3枚はあの座布団があるわけです。

  ○ストーブについて
 五代君のストーブは何ストーブでしょうか? 当初、次の理由をつけて原作も電気ストーブだと考えたのですが、「やかんのお湯が勢いよく沸騰している」「ファンヒーター等、電気を使うストーブ=電気ストーブとは限らない」とのご指摘をML内で受け、「電気製品らしい」という段階で保留にしてあります。
○タップに2つプラグが差し込まれています。五代君の持っている電気用品を考えると電気スタンドとストーブと考えるのが妥当かな、と思います。トースターは戸棚の上にありますし、テープレコーダー(注:ラジオは多分入らない)をオンにしておくのも不自然ですので。
○一刻館が停電になった時、一時的に部屋が真っ暗になりましたが、石油やガスストーブの場合は消火されずに明かりが残るはず。
(注)アニメ3話で五代君が使っているのは電気ストーブです。

(11)6号室

 朱美さんの部屋。ビールの缶が転がっていたりしますが、部屋内は綺麗に片づいています。洗面台の前にはカーテンがかけられたり、クッション・鏡台などに女性部屋らしい雰囲気が見られます。
 2号室と同じく部屋にベッドが置いてありますが、その割に部屋が広く見えることから、2階の各部屋も8畳以上あるのではないでしょうか?

(12)物干し台

 階段を登った先に物干し台があります。踏み板や手すりが腐っていて、五代君が「ふたりも乗ってて崩れないかな」という状態でした(第26話「家族の焦燥」)が、響子さんが大工さんに修理を依頼し、安心して洗濯物が干せるようになりました。五代君と一の瀬さんがここで酒を飲んだことがあり(第39話「事件」)、賢太郎君が「いつか抜け出してやる」と手すりに腰掛けながら星に誓ったこともありました(第51話「一刻館の昼と夜」)。

(13)天井裏

 時計部屋になっていて、原作ではネズミが線をかじって停電になった時(第4話「暁に鐘は鳴る」)、響子さんと五代君がのぼったことがありました。
 四谷さんにハシゴを外されて、二階堂君が屋根から降りられなくなった時(第80話「仲良き事は」)には、五号室の天井を開けて降りてきたことから、屋根裏部屋へのドアは通常鍵がかかっていて出入りできないと考えられます(開いてるならそっちから出てくればいいから)。ただし、アニメ44話では賢太郎君が一の瀬さんに怒られて天井裏に逃げ込んでいますし、「完結篇」では、八神さんと響子さんが屋根裏部屋で話し合った時、「以前籠城した時に探検した」ということを言っていて矛盾するんですけど。

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