- ■連載直前のコメント
- 「SFばなれをするかもしれないと思うんです。何のへんてつもないホームドラマとか、だんだんキャラクターというものを描いてみたいなあと思う部分もあるんです。それがだんだんやれるようになるといいなと…。やれたらほめて下さい。とにかく、それなりにがんばるので、SFの部分にひかれていた方も見捨てないで読んでってください。」
(少年少女SF競作大全集PART8/'80)
- ■連載開始時のコメント
- 「これまでの私の作品はSF的なものがほとんどだったのですが、『めぞん一刻』はSF的なタネやシカケはぜんぜんないのです。
創刊号のメンバーになれるだけでもうれしいのに、私にとっては非SFの連載という初めての試みができるなんて、ほんとに胸がときめきました。
おかげでいま私は、ノリにノッてます。アイデアだってどんどん出てくるのです。
スピリッツも第一歩。私も新しい一歩を踏み出したような気持ちです。」
(ビッグコミックスピリッツ創刊号/'80・10)
- ■最初は人情劇の予定だった
- 「アパートもいったん投げ込まれちゃったら、引っ越す以外、そこで暮すほかない。アパートの住人を拒めない。その中でうまくやってかなくちゃいけない。
アパートの物語を描くことで、いろんな人間のドラマが描けたらいいな、人情ドラマを描きたいな、と思ったんです。(中略)
2人の話でストーリーをころがせておいて、徐々に人情ドラマに行ってみようかなと思っていたんですが、描いているうちにラブストーリーの方が面白くなっちゃった(笑)
じゃあ、この路線でいくかということで、あの作品は描いていて楽しかったんですね。人情ドラマという方向には描けなかったけれど、またそれはどこか別の場を借りて、別の形でチャレンジしてみようと思っています。」
(少年サンデーグラフィック・スペシャル「うる星やつら」完結編・ボーイミーツガール/'88・02)
「人情味みたいなのをやってみようかな、やりたいなと。とりあえず空を飛ぶ人がいない、普通の設定の漫画も描いてみたいなということで、『めぞん一刻』は始まりました。(中略)未亡人のヒロインがいて、それと浪人生とのラブストーリーとかいう流れは、最初はストーリーに縦糸がないと辛いんじゃないかということから。(中略)ラブストーリーだけでなく、その周り、一刻館でおこる人情モノをやろうというのを、元々は考えていました」
(My First Big「うつ星やつら」水乃小路家の娘/'02・01)
「『うる星』がSFのドタバタだから、もっと普通のものを描こう、という感じで、おおまかにアパート人情もの、というふわっとしたイメージ、アパートのデザインとか間取り、キャラクターデザイン、というふうに何もないところから作っていった感じです。」
(ビッグコミックスピリッツ2010年第10号/'10・02)
- (ラブストーリーに軌道修正したのは)「縦糸を作りましょうってことに、かなり早い段階でなったんですよね。当時の編集の方が、軌道に乗るまでは何か一つ引っ張れる要素を作ろうよ、ということで。だから釣り合いの良さそうな二人をチョイスして、学生の片思いものみたいな。そんな感じで行きましょうか、みたいな。」
(クイック・ジャパン vol.71/'07・04)
- ■“美女”が好き
- 「まー、話にしやすいってこともあるんですけど、とにかく私って女…しかも美女が好きでして、電車に乗ってても女ばっかり眺めてるくらいで(笑)。女の方が絵になりますし。やっぱり美しいものの方が書いてても気分いいですから。で、ダメ男が何かバカなことをしでかして、美女がそれに反応するっていうパターンが、まー、きっと性に合ってるんですね」
(宝島/'82・02)
- ■未亡人として登場させたのは
- 「話を作るにしても、やっぱり、制約がほしいんですね。好きだから一緒になるというのではねェ。そうではなくて、思いどおりにいかない社会構造というか、足カセがいろいろとあるでしょう、社会には。そうなると、話が面倒になってきますから、当然、ストーリーも展開が楽になるわけです。」
(糸井重里対談集「話せばわかるか。」/'84・11)
「管理人で未亡人ってちょっと良いじゃないかみたいな(笑)。深いことは考えてなかったです。それと最初のイメージはもっとキツイキャラクターだったので、キツイ未亡人というのもありかなと思ってたんですね」
(クイック・ジャパン vol.71/'07・04)
- ■五代君と響子さん
- 「『めぞん一刻』は、比較的描きやすかったですね。私自身の性格が響子さんと五代君を足して二つに割ったようなところがありますから。優柔不断だったり、わがままだったり(笑)」
(オレのまんが道/'89・11)
「五代というのは、結局、私みたいなものですから(笑)。(響子さんも)同じなんです。だから、何を隠そうヒーローとヒロインと二人、性格が同じなんですよね」
(語り尽せ熱愛時代/'84・11)
- ■一刻館のモデル
- 「私は学生時代、中野の5万5千円のアパートに住んでいたんですが、そのアパートの裏にかなりヤバイ感じのするアパートがあったんです。(中略)「めぞん一刻」はあのアパートを描いてみたかった。結局、私は怖くてそのアパートには一歩も踏み込めなかったんですが、外から見た感じは典型的な安アパートなんです。玄関があって廊下が連なっている。「めぞん一刻」で描いたアパートの構造は、おそらくあの安アパートに似ているんじゃないかと」
(少年サンデーグラフィック・スペシャル「うる星やつら」完結編・ボーイミーツガール/'88・02)
- 「たまたま私がその頃住んでいたアパートの、本当に隣というか目の前に、おかしなアパートがあったんです。学生さんのアパートだったと思うんですけど。変な人がいっぱいいるような雰囲気で。たまに聞こえてくる声とか、あとその生活道具が干してあったりして、とにかく変なところだったもので「これはいい入れ物だ」と、モデルにしました」
(My First Big「うる星やつら」水乃小路家の娘/'02・01)
- ■ストーリー展開について
- 「あれは主役が学生ですから、まだあれで大丈夫だという反面、ちょっとずつ進めたいという願望はあるわけなんです。だから、それなりに心は動いているはずなんで、年に一遍、何か必ずポイントというのは置いてあります。ただ、二つほどあるにはあるんですよ、こことここは締めてかかるぞというようなところは。そこ以外は淡々とやって、年二回のポイントのところで、キャラクターがいままでのことを思い返しては心の整理をしてみて、あ、こんな段階なんだなあと本人が自覚する。そういったふうな作りのはずなんですよね」
(語り尽せ熱愛時代/'84・11)
五代くんと響子さんがお墓の前で、こう…「会えて良かった」みたいなこと言ってる部分は、結構気に入っています。初期段階からとりあえずそこ目指して、それを最終回ぐらいのつもりで、そこまで持っていくぞってつもりでやっていたので、「たどり着いた」っていう気持ちになりましたね。
(My First Big「うつ星やつら」電飾の魔境/'02・09)
- ■人気について
- 「「めぞん一刻」で感情移入するっていうのは、よくわかるんです。大の男が女一人に6年もかけてね(笑)………、それだけの話なんですから。ほかに目標があったわけでも何でもない。一人の女を落とす男の話に、6年もかけて(笑)、志が低いとかいわれてもしょうがない部分があったりするわけじゃないですか(笑)、そんな話に私も入れこんだし、読者も入れ込んで下さった」
(少年サンデーグラフィック・スペシャル「うる星やつら」完結編・ボーイミーツガール/'88・02)
- ■最終話を描き終えて
- 「やっぱり、日本の結婚式はキモノです。格が違います。ウェディングドレスなんて目じゃない!描いててもとても厳粛な気持ちになれたし…ピッと気が引き締まりましたネ」
「こずえちゃんは、ぜったい名古屋だと思ったし、三鷹もなんとなく双児って感じでした。キャラクターの個性が自然にそうさせるんです。別に深く考えてそうした訳じゃなくって…」
「ご愛読ありがとうございました。一生懸命描きました」
(MOVEMENT/'87・04)
- ■TV版「めぞん」について
- 「私はあまり、原作の絵と比べようとかは思わないようにしているんです。もはや、原作と似ているか似ていないかというレベルの問題ではなく、本当に魅力があるかないかという所だけを押さえていれば、私は絵はいいんだと思っています。だからTV「めぞん」の方は、本当に最近、とっても“いいなぁ”と思いながら観ています。でもそれは絵の問題ではなく、やっぱり、押さえるところを押さえているからだと思います」
(MOVEMENT/'88・03)
- ■映画「完結篇」について
- 「最初はちょっと心配していたんです。でも、一刻館の中の一夜だけのできごと、と演出的に難しい構成ながら、意外に退屈しないで見ることができました。表現も、ハデさをおさえて、淡々としたふんい気になっていたようです。(上映時間の面でも)大作とはいえませんが、時間にみあった以上の内容がつまっていたと思います」
(アニメージュ/'88・02)
「構成のつなぎが良かったです。1シーンのものなんですが、たいくつせずに最後まで観せてくれたなぁという感じですね」
(MOVEMENT/'88・03)