完結篇の設定

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「完結篇」について

劇場用オリジナル・アニメーション映画「めぞん一刻完結篇」は1988年2月に劇場公開されました。制作は(株)キティ・フィルム、配給は東宝(株)です。
五代君・響子さんの結婚式の2日前の夜~翌朝のエピソードで、作者の手を離れた映画用のオリジナルストーリーです。監督の望月智充氏は「当初は、ひと宴会をそのままリアルタイムで、つまり70分間の出来事を70分間でやれないだろうか、とまで考えていた」(完結篇パンフより)と述べています。
高橋留美子先生自身は「大作とはいえませんが、時間にみあった以上の内容がつまっていた」「響子よりも八神のほうがヒロインっぽく見えたのは残念」(アニメージュ88年2月号)といった感想を述べています。

 映画「完結篇」はスタッフや声優さんはアニメとほぼ一緒ですが、作中の設定は実は原作に基づいています。

(1)設定年月
完結篇の予告編で四谷さんが「西暦1987年春、めぞん一刻館五号室の住人、五代裕作は管理人・音無響子との結婚を数日後に控えていた」と言っており、完結篇の年設定は1987年です。

まず、原作とアニメの時間設定の違いを確認しておくと
○原作では五代君は1年半余りの就職浪人期間を経て卒業後2年目の春に響子さんと結婚しました。
○アニメでは五代君は卒業・就職が決まってすぐ響子さんにプロポーズし、1年後、つまり卒業1年後の春に結婚しました。
つまり、原作とアニメでは1年のタイムラグが生じ、完結篇は原作の設定になっていることが分かります。

次に桜の季節であることから3月~4月だと分かりますが、次の人物設定から4月に設定されていることが分かります。
○五代君が郁子ちゃんに「どう、郁子ちゃん、大学は?」と聞いており、郁子ちゃんは昭和43年度の生まれなので、大学生になっているためには1987年4月以降でなければなりません。
○予告編で五代君と響子さんの年齢がそれぞれ25歳、27歳となっています。
○八神さんが「八神いぶき本日無事二十歳になりました」と言っています。
○管理人室のカレンダーは1987年3月の曜日(ぼやけていますけど)に見えないこともないんですが、数字すらよく見えないので無視しました。

(2)人物設定
他の人物についても原作の設定が使われています。
○アニメでは出番がなかった二階堂君の登場。ちなみに彼はこの時大学4年生です。
黒木さんがブチョー(早乙女さん)と結婚していること。
→アニメでは五代君が就職浪人しないので、黒木さんが保育園に入り、ブチョーと結婚するくだりは描かれませんでした。
バニーのマネージャー(飯岡さん)が坂本君の先輩であること。
→坂本君が「先輩が先に来てるはずなんだけど」と言っています。アニメでは飯岡さんは坂本君の単なる知り合いでした。

(3)一刻館のつくり
○2号室が二間あることや階段の段数(踊り場の下)等は原作と一致します。
→5号室は完結篇では6畳ですが原作では不明です(アニメでは4畳半)。
○廊下のつくり(消火器・ボード・観葉植物・貼り紙・流しのでっぱり等)はアニメ中後期の設定を使っています。

(4)結婚式の月日(推定)
原作を見る限り、平日にあれだけの数の結婚式が同一式場で行われるとは考えられず、結婚式は土日に行われたものと思われます。そして、坂本君が仕事を抜け出して駆けつけていましたが、当時は週休二日制はまだ一般的ではありませんでしたので、結婚披露宴は土曜日の午後に行われたと考えられます(坂本君が休日出勤したとも考えられますが)。
1987年4月の土曜日は4、11、18、25日でしたが、原作「桜の下で」で「昭和63年3月」に音無老人が「もう来週挙式か」と言っていることから、4月4日(土)がその日だったのではないかと思います。

しかし、完結篇では郁子ちゃんが既に入学式を終えている(らしい)ことを考えると、もう少し後に設定されているのかもしれません。
早乙女さんが帰り際に「私たちは勤めがありますので」と言って帰り、坂本君が「まあ、五代、今夜も飲みあかそうな」と言っているので結婚式の前日が平日らしいことは分かります。殆どの人が寝ずに翌朝を迎え、一の瀬さんが朝っぱらから宴会開始を宣言しているのですが…(^^;


「完結篇」の時間設定(推定)
時刻出来事根拠
19時半五代、保育園より帰る五号室の目覚まし時計より
20時頃響子から電話がくるが住民たちの妨害で出られず郁子「8時頃電話したのに…」
20時過ぎ八神、一刻館に参上
四谷、二階堂を五号室に引っぱり出す
 
20時50分響子の父、一刻館に参上五代の机上の時計より
茶々丸のマスター参上 
飯岡(バニーのマネージャー)参上 
21時半頃?響子、郁子と共に音無家より帰る。音無家から一刻館までは約1時間か
「音無響子さん五代裕作君両名の
結婚記念10日連続宴会の9日目」開始
 
坂本参上 
0時過ぎ三鷹・明日菜参上
郁子が「終電だから」と帰る
黒木・早乙女夫妻参上
時計坂駅の終電は原作では0時半すぎ
八神と響子、屋根裏部屋へ 
5時頃?黒木夫妻帰る早乙女「ぼちぼち始発が動き始めますので」
6時頃?響子の手紙の謎が解ける日の出直後