Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.16 ) |
- 日時: 2009/01/28 21:08:30
- 名前: YO
- 北陸旅行の前に、三鷹が響子さんにプロポーズして一週間後に返事を聞かせて欲しいと迫ったことがありますが、この時も響子さんは、五代君に結婚を止めてもらいたくて待っていました。
三鷹を本当に好きなら響子さんは結婚に踏み切っていたと思うので、潜在意識下では五代君の方が好きだったのは明らかです。 三鷹コーチとの結婚に傾いたのは、五代君が就職に失敗してぶらぶらしており、プロポーズしてくれている三鷹コーチがいつまでも待ってくれるとは限らないという、現実に後押しされていた面が強かったと思っています。 三鷹コーチに対する本当の愛情から来るというものではありません。
なお、心の中から三鷹が完全に消えたのは、北陸旅行の後からだと思いますが、響子さんが五代君に潜在意識下ではあるものの多少なりとも好意を持ち始めたのは相当前で、響子さんが一刻館に来て半年くらいたったころ(七尾こずえが登場してやきもちをやくようになった時点)では、もう潜在意識下では、好意を持っていたと思っています。 まったく好きでもない相手に、やはりやきもちは絶対に妬きません。
そして、北陸旅行の以前に、二人の距離が一気に縮まり、響子さんが五代君に対して潜在下ではあるものの恋愛感情を持っているのが明らかになったのが、骨折騒動で入院した時です。 「宴会謝絶」の中で、最後に五代と響子さんがキスしそうになるシーンがあります。 ここで、響子さんは「あたし・・・・きっと・・・」と意味深なことを言っていますが、この後に続く言葉は、「あたし、きっと五代さんのことが好きなんだわ。」だと思います。 この時点で、響子さんが、少なくとも潜在意識下では、五代君を好きなことが完全に明らかになりました。 そして、それが三鷹コーチに対する好意より強いことも。
また、その後も、「ひとつだけお願い」(昭和59年暮れ)の話の中で、居酒屋で五代君が自分のふがいなさ・情けなさを恥じているのを聞きながら、響子さんは「でもそういう人の方が私は好きです。」と意味深なことを言い、さらに「別に慰めているわけじゃない」と内心で言って、五代君のことが好きだとはっきりと意思表示しています。
そして、北陸旅行に行く前に、五代君が「ぼく、もう響子さんをなんとも思っていませんから」というのを聞いて、響子さんは涙を流すシーンがあります。 仮に同じシチュエーションで、三鷹が響子さんをあきらめたとしても、響子さんは決して涙を流すことはなかったと思います。
結局、結論を言えば、響子さんが自分が五代君を好きなことをはっきりと認識したのは北陸旅行だろうと思いますが、いつから好きになったかといえば、一刻館に来て半年くらいの後には、少しではあっても恋愛感情は持っていたと考えられるので、五代を好きになった決定的な場面というのは事実上存在せず、だから響子さんが「いつから好きだったか、忘れちゃった」と言ったのではないでしょうか。
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.17 ) |
- 日時: 2009/02/03 16:31:57
- 名前: 四谷の弟
- ちょっと失礼します。
時代背景として、女性が結婚を急いでいるらしいことが読み取れます。こずえちゃんでさえ打算的な結婚に流れて行くんですから、今とはずいぶん違う時代です。女はとても不自由だった、と。
その点、三鷹さんは理想的な嫁ぎ先です。五代君などという選択肢はありえないわけで、響子さんがありえない選択肢を捨てきれずにいるのは、結局五代君が好きだからです。それ以外に五代君には何もありません。なにも響子さんがそばにいてやらなくても、こずえちゃんだっているわけですからね。
響子さんが恋愛問題で悩んでいたとするとどうも解せない感じになりますが、打算的なところで悩んでいたとすれば辻褄のあったものになります。この物語は始めから両想いの二人が幾多の困難を乗り越えて結婚にたどり着く話だと僕は認識しています。五代君の敵は惣一郎さんであり、それと自分自身の頼りなさだった、と。
響子さんが三鷹さんにも気があるように見えるときがありますが、よく読むと直前に五代君が何がしかの影響を及ぼしているパターンばかりで、五代君へのリアクションがあたかも三鷹さんに気があるように見えているだけのように思います。
<つづく>
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.18 ) |
- 日時: 2009/02/03 16:46:15
- 名前: 四谷の弟
- <つづき>
三鷹さんは犬の惣一郎に悩むばかりで、死者である惣一郎さんとは戦うことすら出来ないわけです。これは三鷹さんが恋愛問題の外側にいることを示しているのだと思います。三鷹さんにとっての九条明日菜が響子さんにとっての三鷹さんである、と。または五代君にとってのこずえちゃんが響子さんにとっての三鷹さんである、と。三鷹さんは自立した強い男なので明日菜には目もくれませんが、響子さんは女なのでそういうわけにはいかない。五代君は単にだらしないw
素晴らしい就職先である三鷹さんと、本当に好きな五代君と、捨てるわけに行かない惣一郎さんとが彼女の中でせめぎあっている。極端な言い方をすれば、「打算の三鷹」「愛の五代」「同情(または愛)の惣一郎」です。三鷹さんが登場した時にはすでに五代君のことばかり気にしています。本当に「ずっと」前から五代君が好きだったんだろうと思います。
この話は弱い男と不自由な女がお互いにお互いを救済する話だと思うんです。五代君は弱さを克服できずに苦しんでいるし、響子さんは未亡人であることを含めて女の不自由さゆえに苦しんでいます。響子さんの中での心境の変化というのは、誰かと誰かを比べてどっちが好きか、ということよりも、五代君をどこまで信じられるか、どこまでの覚悟が固まるか、どこまで待てるか、というところだと思います。北陸での一泊で固まった気持ちというのは、「この人が好き」ではなくて、「この人を信じる」ではなかっただろうか、と。
響子さんの揺れ動く様をすべて恋愛感情の結果だと思うとちょっと辻褄が合わないような気がします。
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.20 ) |
- 日時: 2009/02/05 00:01:14
- 名前: 四谷の弟
- またまた失礼します。
響子さんは三鷹さんをどのぐらい想っていたのかについて私見を。
おっしゃるように響子さんが三鷹さんを完全に拒み続けているわけではありませんが、五代君だってこずえちゃんを拒みきれないでいます。自分からキスしようとしたり、エッチまでしちゃおうかとさえ考えるわけですね。
でも五代君のこずえちゃんへの気持ちは恋愛感情というほどの物ではないと思います。響子さんへの気持ちと比較するほどのものでないのは明らかです。響子さんが三鷹さんを想う気持ちもこの程度のものだろうと解釈しています。結婚相手としてずっと候補に残るのは、打算があるからだろう、と。
ファンは響子さんを「すごいヤキモチ焼き」と言いますが、読者だって響子さんが三鷹さんを拒まないからといって「どうせ好きなんでしょ」と思ってしまうわけです。でもこれは、作者によって仕組まれているような気がします。
この作品の登場人物がすれ違いの中で誤解しまくるように、作者は読者さえ誤解させようとしているんじゃないでしょうか。実際、最後まで響子さんの腹の内はよく分からないままに終わってしまうわけでね。
まずまとめておきますが、響子さんが三鷹さんに気があるように見える場面では、「響子さんが五代君、三鷹さんがこずえちゃんだと思って見直してみる」「三鷹さんに気があるからこんな態度を取るんだ、というのを発見したら、そうではなくて実は五代君が原因なのではないかと考えてストーリーをさかのぼってみる」ということを試して見てください。けっこう面白いです。
<つづく>
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.21 ) |
- 日時: 2009/02/05 00:05:32
- 名前: 四谷の弟
- <つづき>
ご指摘の、怒りのウィドウで響子さんが三鷹さんの抱擁を目撃する場面。あれは五代君への当て付けでデートに来たわけで、あの怒りの大半は五代君への嫉妬や、自分の惨めさだと解釈しています。
「キッスのある情景」では五代君が朱美さんにキスされてしまったことと、響子さんが三鷹さんの強引なキスを拒みきれなかったこと(未遂に終わりますがね)が対比されています。
五代君が朱美さんに気があったはずはないですよね。でも響子さんがくよくよ悩むように、読者も五代君みたいに「響子さんは三鷹に気があるんだ、拒めば拒めたはずだ」と考える。
響子さんは「五代さんて気が弱いんだもん、強引に迫られたらすぐおちるタイプだわ」と言いますが、気が弱くて落とされそうになるのは響子さんなんですよね。
響子さんは五代君の唇に執着して夢にまで見てしまうのに、三鷹さんに迫られたときは「だめ」と言っています。すでにこの時点では決着がついてしまっているような。
病院で抱きしめられてしまう場面も、女だってイケメンにセクシーに迫られたらくらくら来るんでしょう。作者は女性ですし、五代君にも童貞を捨てさせようとしました。響子さんが男の肌を恋しがる場面なのでは。
三鷹さんに群がる女の子に嫉妬する、という場面も、「自分は男に飢えた女なんじゃないか」と気に病んで五代君への想いすら疑い始めていたわけです。プレイボーイに落とされそうになったことへの腹立たしさでは。
三鷹さんはこずえちゃんと役回りが似てるんですよ。響子さんがこずえちゃんにヤキモチを焼く心情を読者も体験しているわけです。
うがった見方をしすぎているのかもしれませんが、こういう読み方もできる、ということで。しかし名作ですね。
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.22 ) |
- 日時: 2009/02/05 01:34:01
- 名前: YO
- 響子さんは、プロポーズの返事をする日に明日菜さんが犬たちを連れて現れなければ、三鷹のプロポーズをOKしていたと思います。
「結婚してやる」と完全に決意していますから。
ただ、三鷹に対する好意はあるものの結婚を決断させるまでの愛情とまで言えるものではなく、三鷹がこれ以上もう待ってくれないという現実に後押しされている面が強く、また当時、既に潜在意識下では五代に対する想いのほうが強かったため、その五代に結婚を止めてもらいたくて最後まで迷っていたのだと思います。
その直後、五代君に、「自分のことをもう何とも思っていない。」と言われて響子さんは涙を流します。 そして、北陸傷心旅行で五代君に出会ってから、自分が実は五代君のことを惣一郎さんと同じくらい好きなことが、そして三鷹よりも好きなことも、はっきり分かったのだと思います。 夢の中で、惣一郎さんに「なぜ泣いているの?」と問われ、「なぜか分からないけど悲しいの。」と響子さんは答えていますが、それが何故なのかはっきり分かったのでしょう。 このとき以降、三鷹をまったく見なくなりました。
ただそれ以前は、やはり三鷹に対しても嫉妬はしており、まったく何とも思っていない相手に嫉妬は絶対しません。 だから、わずかではあっても三鷹にも好意を抱いていたのは間違いありません。
響子さんが打算最優先の人ならば、五代君が好きであっても五代君とは絶対に結婚しなかったはずですから、まったくの打算だけで三鷹との結婚を真剣に悩んだとも思えません。
また、五代君は、自分が響子さんしか好きではないことを最初からはっきりと認識した上でこずえちゃんとも付き合っていますが、響子さんの場合、北陸旅行の前までは、打算もあったにせよ五代か三鷹かまだ決めかねています。 だから、響子さんにとっての三鷹と、五代君にとってのこずえちゃんを、同列に扱うことはこの段階ではまだできません。
だいたい、五代君がこずえちゃんとの結婚を考えたことは、ただの一回もなかったのですから。
この当時、響子さんが三鷹に対しても、五代に対するものほどではないにせよ、多少は好意を持っていたのはやはり明らかなんですよ。
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.23 ) |
- 日時: 2009/02/05 01:39:12
- 名前: YO
- 青田枯れ(昭和59年夏)という話で、五代が定食屋を継ごうと実家に帰った時(響子さんは、五代君が結婚の許可を得るために実家に帰ったと誤解しているのですが)、「五代さんの両親が結婚を許したとしても困るわ、やっぱり。私、五代さんと一緒になってもいいなんて一言も言っていないのだから。」と内心で思っています。
この時、五代が仮に響子さんにプロポーズしたところで、OKしてくれなかったでしょう。
ただ、五代骨折による留年騒動の時(昭和59年早春)、響子さんは「一年くらい私待ちますから」と意味深な発言をしています。 やっぱり、この当時から響子さんは五代君が好きで、卒業して一人前になるのを内心では待っているんですね。 今プロポーズされても困ると思っているのは、五代を好きではあっても、結婚に至るほどには愛情が熟成していないということもありますが、まだ五代が学生で頼りないというのが最大の理由だと思います。 三鷹となら結婚しようと思えばすぐできたはずなので、この当時から、三鷹に対しても多少は好意を持ってはいるものの、内心では実は五代君しか見ていなかったように思いますね。
そして、響子さんは、確かに潜在意識下では、五代君に対して好意を最初から抱いているものの、「雨降って地固まる」の言葉どおり、二人の距離を一気に縮める大きな事件がいくつかあったのも事実です。
それは、やきもちや嫉妬、誤解から来る大喧嘩や別れを契機としたものですが。
一つ目は、こずえに対するやきもちから起こった「骨折入院騒動」。
二つ目は、三鷹との抱擁現場を目撃して五代が響子に別れを告げた後の「北陸傷心旅行」。
三つ目は、こずえちゃんへのプロポーズ騒動と朱美とのラブホテル騒動を経た後の「契り」です。
響子さんは、最初から潜在意識下では五代君に好意を持っているものの、こうしたいくつもの事件を経て、二人の距離が縮まっていったのは確かです。 ただ響子さんは、潜在意識下では五代君のことを最初から好きなわけですから、こうしたいくつもの事件を経て想いを深めたというよりも、むしろ「雨降って地固まる」の言葉どおり、五代君が自分にとってかけがえのない大切な人であることを、それらの事件を経て再認識した、といったほうが、むしろ正しいだろうと思っています。
それにしても、八神いぶきだけは、五代君と出会った当初から、響子さんが五代君を好きなことを見抜いていました。 こずえちゃんの鈍さに比べると彼女の鋭さには感服しますが、やはり八神の後押しがあったからこそ、響子さんは惣一郎さんへの想いを振り切り、五代君と再婚できたんだろうと思いますね。
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.24 ) |
- 日時: 2009/02/05 18:25:22
- 名前: 四谷の弟
- 意見交換が楽しいのでまたレスです。
さて、長くなりますよ。
枝葉末節では色々あると思うんです。でも核心は惣一郎さんですよね。
響子さんは惣一郎さんへの思いをかたくなに守っていて、五代君のことが好きだと言うことも否定しようとしています。でも彼女は想いに気づいていないのではなくて嘘をついているだけです。理由は「好きだと認めてしまうと、すべてが嘘になってしまいそうで怖い」からですね。このことは「弱虫」の話で響子さんから告白されています。
五代君への想いは「弱虫」の段階になっても肯定しきれずにいる。つまり嘘をつき続けている。ところが「結婚してやる」事件では、「三鷹さんのことは好きだけど…」とあっさり認めています。三鷹さんへの想いは惣一郎さんに気兼ねするレベルのものでないことが明らかになっているんです。「こずえちゃんのことは好きだけど…」と五代君が心に思う場面を描いて見てください。
ここですでに、五代君と三鷹さんは恋愛感情という点では壁のアチラとコチラに別れています。つまり次元が違うということ。
三鷹さんは上手に誘惑して響子さんをドキドキさせたりします。でもそれは淋しさや性欲や五代君への反発につけ込んでいるだけで、程度の低い感情です。響子さんが守ろうとしている聖域に踏み込んでいないんですね。この場合、比較対象は惣一郎さんと五代君と響子さんの三角関係が出来上がっている「すべてが嘘になりそうで怖い」レベルでの恋愛なんです。三鷹さんはこのレベルの恋愛問題になると、外側の人です。
<つづく>
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.25 ) |
- 日時: 2009/02/05 18:45:24
- 名前: 四谷の弟
- <つづき>
打算的という言葉がどうも引っかかったようですが、この時代の女性は「どっちがより私を幸せにしてくれるか」という基準で結婚相手を選ぶこともあります。こずえちゃんも、坂本君の彼女たちもそうやって相手を選んでいますし、女性にとって結婚が就職と言える時代だったのですから、将来のことを考えずに恋愛感情だけで相手を選ぶのは子供のすることです。実際、三鷹さんと結婚すれば、最初は両想いでなくてもいずれ情が移って深い愛で結ばれるようになったことでしょう。結婚なんてそんなものだし、こずえちゃんや一ノ瀬氏のような幸福が響子さんにも手に入ったはずなんです。(惣一郎さんの影がありますけどね)
響子さんはちゃんとした大人なんですから、そういう計算をしていなかったら不自然です。まるで性欲のない女のように。
五代君の方が幸せにしてくれそうな気もするし、三鷹さんの方が幸せにしてくれそうな気もするし、という基準で響子さんが迷っているからこそ、彼女の嘘や純愛は守られているんです。私はどっちを愛しているんだろう、と響子さんが自問することは絶対にありません。なぜならどっちも愛していないことになっているからです。それが惣一郎さんを守るための嘘であり、その嘘は五代君との幾多の事件によって崩れて行きますが、完全に崩れるのは「契り」で五代君と体の関係が結ばれ、惣一郎さんを完全に裏切ってからです。そこで初めて彼女は「本当はずっと前から好きだった」と嘘を捨て、正直に告白できるようになります。
<つづく>
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Re: 音無響子が五代裕作を好きになった決定的な場面はどこ? ( No.26 ) |
- 日時: 2009/02/05 19:06:37
- 名前: 四谷の弟
- <つづき>
五代君が酔って告白した話のとき、冗談で告白したのだと言われて響子さんが泣き、惣一郎さんに謝る場面がありますね。
彼女は謝らなきゃならないようなことはしていないように見える。となると、心の中で惣一郎さんを裏切ったと考えるしかない。
つまりこの時点ですでに惣一郎さんを守ろうとしている響子さんが、五代君に恋愛感情を感じているんです。三鷹さんにはついに感じる事のなかった感情を。
「好きだと言ったくせに他の女の子に手を出すなんて」という感情は三鷹さんへの嫉妬を説明するのには通用しますが、五代君への嫉妬を説明することはできません。最初っから度を越しているからです。
響子さんが五代くんと三鷹さんの両方に惚れていて、そのくせ惣一郎さんのことも忘れられなくて…という柔軟な女であると見なすと、惣一郎さんを巡る核心のストーリーや、響子さんの苦悩が説得力を失います。作者はそんな失敗をしていません。
潜在意識、顕在意識、という言い方をされる方がいますが、僕の考えでは、響子さんは五代君を愛してしまっていることに早くから気づいていて、彼女が徐々に気づいていくのは「嘘をつきとおせないほどに愛している」ということだと思います。三鷹さんへの気持ちと比べてどうのこうのではないところが重要。
というわけで、キーポイントは惣一郎さんと彼のための嘘です。
長文乱筆失礼。
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