紅楼夢人物事典


6.使用人
(1)女役者(女戯子)

全部で12人。元春の里帰りに合わせて賈薔が姑蘇から買ってきて、芝居を仕込まれます。2度にわたる人員整理で全員義母に引き取られました。

花芳官
正旦(たておやま)。宝玉づきになり、宝玉は「耶律雄奴」「温都裡納」「金星玻璃」の名をつけています。五児を園に入れようとの画策が王夫人にバレ、園を出されました。その後、水月庵に入って智通の弟子となり、賈芹の誘いにも乗らず真剣に信仰の道に入りました。

藕 官
小生(わかやく)。黛玉づきに。第58回で紙銭を焚いて薬官を祀っているところを宝玉に見つかりました。その後、園を出されて地蔵庵にて円信の弟子になりました。

韋葵官
大花面(わる)。湘雲づきに。湘雲は芳官に対抗して若党の扮装をさせ、「韋大英」と名をつけかえています。

蕊 官
小旦(わかおやま)。薬官の死後小旦を引き継いだそうです(齢官も小旦なんですけど…)。宝釵づきに。藕官とともに、地蔵庵に入って円信の弟子となりました。

荳 官
下花面(ちゃり)。宝琴づきに。女役者で最年少のようです。宝琴は「荳童」と名をつけかえました。その後は不明です。

艾 官
老外(ふけやく)。探春づきに。第60回では趙氏が怡紅院に怒鳴り込んだ原因が夏婆さんであることを探春に告げ口しています。その後は不明です。

茄 官
老旦(ふけおやま)。尤氏がもらって連れ帰りました(第58回)。後は不明。

文 官
少女芝居一座の座頭格。旦(おやま)役。史太君が手元で使う分に彼女を残しました(第58回)。後は不明。

齢 官
小旦(わかおやま)。貴妃省親の際、芸達者ぶりを誉められ褒美を賜りました。第30回では賈薔を偲んで地面に名前を書き付けていることろを宝玉に目撃されました。賈薔とのやりとりから女芸者にされたことを深く恨んでいることが伺えます。最初の人員整理で帰郷したものと思われます。

宝 官
小生(たちやく)。第30回で玉官と共に怡紅院に遊びにきています。人員整理で帰郷したと思われます。

玉 官
正旦(おんながた)。人員整理で帰郷したと思われます。

薬 官
小旦(わかおやま)。故人。藕官が毎年清明節に紙銭を焚いていました。

(2)執事(管家)

「管家」とは家政を執る主人を補佐する比較的地位の高い男女の召使、その元締めを「大総管」といい、通常は各々「執事」・「執事頭」と訳されています。

来昇(頼二・頼昇)
寧国邸の執事頭。第7回で焦大に悪態をつかれています。第9回では賈敬の誕生祝の宴席の準備を取りはからっています。

来昇の妻
可卿の葬儀の際には奉公人の名簿を持参し、熙鳳の下調べに立ち会っています。また総元締として邸内を検分して廻りました。

兪 禄
寧国邸の執事。第64回で賈珍のところへ賈敬の葬儀の費用支払いの相談に来ました。

林之孝
栄国邸の執事頭。栄国邸に代々仕える生え抜きの召使いの血筋。各地の家屋敷・田畑の管理を受け持っています。夫婦揃って無口だそうで、熙鳳に「錐で突かれても黙っていようという人たち」と言われています(第27回)。

林之孝の妻
熙鳳・探春・平児らの片腕として家事を厳しく取締っています。紅玉の母。

頼 大
栄国邸の執事頭。来昇の兄らしいです。家奴ながら暮らしは裕福で大屋敷に広い庭園をもっています。息子の頼尚栄から「賈政の機嫌を損ねた」との連絡を受け、暇をもらって邸を出ました。

頼大の妻
熙鳳の陪房。家事の奥向きを担当しています。息子の任官祝の家宴では当日の案内を務めました。

頼婆さん
頼大の母。賈家では父母の代から奉公してきた家人は、主筋であっても年の若い者よりは格が上として扱われるのが作法なので、第43回では尤氏や熙鳳を立たせて腰掛けに掛けています。

頼尚栄(32)
頼大の息子。20歳で役人になるための資格を手に入れ、30歳で任官、州知事になります。それを受けて3日間に渡る祝宴が頼邸で開かれました(第47回)。のちに賈政の機嫌を損ね、病気を口実に官職をやめました。

呉新登
栄国邸の銀行取締。第8回では帳場の者7名で宝玉に出くわし、書の上達ぶりを誉め称えてています(お世辞お世辞)。

呉新登の妻
家事取締り。第56回で熙鳳の代わりに事務を執る李紈と探春をなめてかかり、逆に探春にやり込められています。

来 興
栄国邸の執事?第33回で賈政が「急ぎ璉と頼大・来興を呼べ」と叫んでいます。

単大良
栄国邸の執事?第54回で賈家宗祠の後、正月の祝宴が頼大・頼昇・林之孝・単大良・呉新登の家で行われていることが記されているだけです。

単大良の妻
家事取締り。宝玉が紫鵑の冗談を真に受けて錯乱した時(第57回)、林之孝の妻と共に見舞いにあがっています。

戴 良
栄国邸の倉庫主任

余 信
栄国邸の執事。お寺関係の毎月の金銭を担当。第7回で周瑞の女房と惜春の会話の中に出てくるのみの人物。

余信の妻
栄国邸の使用人。第7回で惜春のセリフ中に出てくるのみ。

(3)陪房

女主人が嫁入りする時に実家からつき添ってきた侍女。新家の小者と娶された場合、夫のことも陪房と言うそうです。

来旺(旺児)
栄国邸の執事。熙鳳の陪房。賈璉夫妻が栄国邸の家政を見ていることから執事を務めているとのことです。頼大と来旺は同一人物と見られるフシが多々あります(第93回等では別人に書かれていますが)が、旺児は賈璉付きと考えた方が自然なようです。

来旺の妻
熙鳳の陪房。家事の奥向きを担当しています。第72回で彩霞を息子の嫁にと強要しました。

旺児の息子(17)
大酒飲みのバクチ打ち。彩霞はブ男で能なしの彼を毛嫌いしていますが、結局押し切られてしまったんでしょうか(気の毒に…)。

周 瑞
栄国邸の執事。王夫人の陪房。周二とも呼ばれます。春夏2回の地代の取り立てを担当しており、賈政について南下しました。養子が邸に強盗に入ったため、役所に突き出されます。

周瑞の妻
王夫人の陪房。王夫人や熙鳳が外出する時の供。劉婆さんが無心に来た時、彼女を頼っています。養子の罪の咎めを受け、邸を追い出されました。

冷子興
周瑞の娘婿。都の骨董商。第2回で賈雨村と酒を飲み交わしながら賈邸の実状を説明しています。雨村に復職のため上京して賈政にすがるよう勧めたのも彼です。その後、売買絡みで訴訟沙汰になり、妻に頼んで丸め込んでもらっています。

何 三
周瑞の養子。史太君葬送時に、仲間を引き連れて栄国邸に強盗に入りますが包勇に打ち殺されました。

呉興の妻・鄭華の妻・来喜の妻
王夫人の陪房。第74回で周瑞の妻、旺児の妻と共に王夫人から園内の捜索を命じられました。

費婆さん
邢夫人の陪房。第71回で熙鳳が老女二人を軟禁したとの話を邢夫人に告げ口しました。

(4)乳母

李婆さん
宝玉の乳母。宝玉の侍女たちとそりが合わず、時々襲人に食ってかかっています。

李 貴
宝玉の従僕。李婆の息子。宝玉が入塾する時には賈政にはっぱをかけられていますが、塾騒動の時はこれを鎮め、茗烟を押え込み、賈瑞をなじっています。

趙氏・張氏・王氏
宝玉の乳母。第62回で宝玉が誕生日の挨拶で乳母の家を廻りました。ここだけ。

趙婆さん
賈璉の乳母。第16回で熙鳳の所へ、息子達の仕事を世話してもらいにきました。

趙天樑・趙天棟
趙婆の息子。第16回で元春の省親を受け、賈薔が姑蘇に買い出しに行くのに同行させるよう熙鳳が推薦しました。

王婆さん
迎春の乳母。第73回で大胴元になったため罰せられました。

王住児
王婆さんの息子。二の門詰めの若党。第39回で休みを願い出た若党に平児が「住児のせいで熙鳳にお叱りを受けた」云々と話しています。

王住児の妻
第73回で義母がお咎めを受けた時、取りなしてもらおうと迎春のもとを訪れ、繍橘と口論になります。来合わせた探春にたしなめられました。

王婆さん
黛玉の乳母。黛玉について雪雁と共に栄国邸に上がりました。第97回で黛玉が重態に陥った時、紫鵑がまさかの時に頼ろうと思って彼女を呼んできますが、ワンワン泣くばかりで役に立ちませんでした。

李婆さん
巧姐の乳母。第101回では巧姐が泣いた時に居眠りしていたのを平児にたしなめられ、愚痴をこぼしています。

劉婆さん
巧姐の乳母。第92回で巧姐が「私も劉婆やについて(針仕事の)稽古中です」と言っています。

周婆さん
湘雲の乳母。第31回で湘雲と共に栄国邸に来た折、史太君に泊まっていけるのかを聞かれて「2、3日はご厄介に」と答えてるのみです。

(5)侍童(小廝)

「小廝」とは力仕事や曲芸用として主人に仕える未成年男子のことで、日本語訳では場合に応じて書童・若党・小童などとされているようです。

葉茗烟(焙茗)
宝玉の書童。外出や塾に行く時の供。塾で賈薔に「主人が馬鹿にされている」とけしかけられて塾に怒鳴り込み、騒動を引き起こしました。第19回の襲人宅訪問や第43回の水月庵で金釧児を祀った時など、宝玉がこっそり出かける時は彼だけを供につけています。

葉婆さん(葉媽)
茗烟の母で実直な年寄り。怡光院づき。鶯児の母と懇意にしており、鶯児の義母になりました。第56話で大観園の香草の係に任じられます。

鋤薬・掃紅(掃花)・墨雨
宝玉の書童。塾騒動では金栄が孟宗竹の棒で茗烟に殴りかかるのを見て、鋤薬と掃紅は乗馬用の鞭、墨雨は閂をかかえて押し寄せています。

伴鶴・引泉・挑雲
いずれも宝玉の書童。第24回で賈芸が宝玉のもとへ向かった時、綺霰斎で掃紅と共に軒ばで雀を巣から取り出して遊んでいました。賈芸にどやされて散り散りになっています。

雙瑞・雙寿
宝玉の書童。第28回で宝玉が馮紫英の屋敷に行く時に焙茗・鋤薬と共にお供をしています。

彩 明
熙鳳の書童。文字を知らない熙鳳が書記として召し使っています。可卿の葬儀の際には熙鳳について寧国邸に入り、帳簿の管理をしました。

興 児
賈璉の侍童で二の門詰め。尤二姐の件が発覚した時に熙鳳の前で、賈璉が尤二姐を囲った顛末の全てを告白しました。

隆 児
賈璉腹心の小童。第66回では賈璉が賈赦の命で平安州に遣わされることを尤二姐に伝えています。

昭 児
賈璉の侍童。揚州へ行った時の供。第14回で林如海の遺体を蘇州に送っていく旨を報告するため、賈邸へ帰還しました。熙鳳からの荷物を託されて再び賈璉の元へ発っています。

喜児・寿児
賈珍腹心の小童。第65回で賈珍が尤三姐に会いにいった時、お供をしています。第67回では喜児と興児が尤二姐の話をしていたのを熙鳳の見習いに聞かれ、賈璉が尤二姐を囲っていることが熙鳳が露見しました。

(6)小者

[寧国邸の男女僕]

焦 大
寧国邸の老僕。幼時より寧国公に仕え、出陣の折に主君の命を救ったいきさつで別格扱いされていましたが、年を取って酒びたりになり、邸の者に煙たがられています。悪態をついて荘園に追いやられました。
第105回では寧国邸の資産差押えの際、邸を抜け出し、賈政に東邸の様子を伝えています。

鮑 二
寧国邸の者でしたが賈璉に見込まれ栄国邸へ移りました。女房の死で再び寧国邸へ戻り、その後、尤二姐に仕えました。第105回では賈珍逮捕の際に引っぱり出されています。邸に強盗が入った後、盗難物が出てきて逮捕されています。

鮑二の妻
熙鳳が誕生会で留守の時、賈璉が引っ張り込んだ浮気相手(第44回)。踏み込んだ熙鳳に責められ、恥じて首を吊りました。その直後、親戚が「訴えてやる~!」と邸に押しかけ、賈璉は200両支払ってなだめています。

[栄国邸の男女僕]

多 官
栄国邸の男僕。飲んだくれの料理番。意気地なしで役立たずなので「虫けらの多」と呼ばれています。小さい時分に両親が嫁を取ってくれましたが、他の男と遊び歩く女房に一向に構わず酒を飲んでいます。その後、肺病を患って死んだようです。第21回のみ

多 姐(22前後)
多官の妻。美貌と浮気ぶりが桁外れなところから「多姐」と呼ばれています。巧姐の疱瘡で半月間別居していた賈璉とでき合いました。平児が賈璉の荷物から彼女の黒髪を発見して小競り合いになっています。後に鮑二と再婚し、尤二姐に仕えました。

李 徳
栄国邸の男僕。門番。第93回で賈芹を中傷する紙が栄国邸の門に貼られた時にそれをはがしてきました。

銭 華
栄国邸の買出し方。第8回でうやうやしく敬礼して宝玉に挨拶しているだけの人物。

王栄・張若錦・趙亦華・銭啓
栄国邸の男僕。第52回で宝玉が王子騰の誕生祝に出かける時に、李貴・周瑞と共にお供をしています。王栄・張若錦・趙亦華は宝玉の乳母の王氏・張氏・趙氏の息子だと考えられます。

拴 児
賈赦の家人。第102回で大観園に妖怪が出るとの噂が立った頃、賈赦について園に探りに入ります。大きな雄の雉が飛び立ったのを見て「出た~!」と大騒ぎし、真に受けた賈赦は妖魔退散の法要を行いました。

慶 児
熙鳳の小者。第68回で張華が尤二姐の一件を都察院に訴えた(熙鳳が訴えさせた)時、熙鳳の命で様子を探り、裏工作を行っています。

王 信
熙鳳の従僕。第68回で張華が尤二姐の一件を都察院に訴えたとき、熙鳳の賄賂を都察院長官に廻して裏工作しています。尤二姐の野辺送りにも参加しました。

張材の妻
熙鳳の所へ、糸を受領するため割符(第14回)や刺繍職人に渡す工賃(第27回)を受領に来ています。夫の張材が一度も登場しないのはなぜだろう?

王興の妻
第14回で熙鳳の所へ、車と轎の幌の仕立て代の銀子を受領するため割符を受領に来ています。

鄭好時の妻
第34話で宝玉が賈政に打擲されて寝込んでいる時、周瑞の妻・呉新登の妻と共に見舞いに来ています。

宋婆さん
宝玉づきのばあや。第37回で襲人の命で史家に届け物をしました。第52回では墜児が盗んだ平児の腕輪を見つけ、熙鳳に報告しました。

祝婆さん
第56回で大観園の竹林の掃除係に任じられました。夫も息子も竹林の掃除を受け持っているとのことです。

田婆さん
農家の出なので稲香村一帯の田畑の管理係に任じられました(第56回)。

張婆さん
裏門詰め。第74回で入画が兄の品を園内に持込む時に取持ちをしたものと推定されています。王善保女房の親戚ですが絶交中。

黒 児
第90回で老婆について園に入り、邢岫烟の部屋を覗きこみます。ちょうど失せ物があったので侍女が老婆に尋ねたところ、老婆は「泥棒扱いされた!」といってわめきました。

[薛家の使用人]

張徳輝(60すぎ)
薛家の手代。幼い時から薛家に質屋に勤め、家にも二、三千両の資産を持っています。第48回で薛蟠を連れて帰郷し、第97回で宝釵の婚儀を取りしきりました。

李 祥
薛家の小者。薛蟠が逮捕された時、薛蝌と共に当地(太平県)に赴き、役所の上下に運動しています。

(7)食客(清客)

詹子亮(詹光)
宝玉に「緻密な楼台画が上手」と評されています(第42回)。第16回では程日興らと共に省親別園内の配置や据え付けを行っています。

程日興
宝玉に「彼の美人は絶技」と評されています(第42回)。他の食客が去った後も一人残りました。

王爾調
名は作梅。骨董商で碁が上手。第84回で張家の娘と宝玉の縁談を賈政にもちかけますが、相手は婿取りということを聞いて史太君が即座に断りました。

単聘仁、卜固修
元春の省親を受け、賈薔が姑蘇へ女の子や支度品を買いに行くのに同道しました(第16回)。

胡斯来
宝玉が薛蟠の誕生祝に招かれた時(第26回)、他の食客達と共に薛蟠の書斎で待っていました。

嵆好古
第86回の宝玉のセリフに登場。賈政に琴の演奏を所望されますが、「こちらのは使い物になりませんので今度自分のを持ってきて弾きます」と言ったきり、もう来ませんでした(逃げたのか?)。

7.その他

(1)寺院関係

妙 玉(21) /金陵12釵
櫳翠庵の有髪の尼。蘇州の役人の子。幼い時、玄墓山の蟠香寺で修行し、17歳の時上京して牟尼庵に入りました。師匠の死に際して賈邸に入り、櫳翠庵にて修行に励んでいました。性格は偏屈で気難しく、宝玉・惜春・岫烟以外は彼女を苦手にしているようです。史太君の出葬中、賊に浚われ、言うことを聞かずに殺されました。

浄 虚
水月庵の老尼。長安県内の善才庵で出家しました。可卿の葬送で熙鳳が泊まった際に話し相手をつとめ、張家から受けた相談をもちかけています。

智 善
水月庵の尼。浄虚の弟子。第15回で智能が秦鐘にお茶を出した時に呼びに来ただけの登場です。

智 能
水月庵の尼。浄虚の弟子。幼い時から師匠について栄国邸に出入りしていました。秦鐘の人柄に惚れ込み、第16回では寺を抜け出して秦鐘の見舞いに訪れますが、秦業に気づかれて追い出されています。

色 空
鉄檻寺の住職。第14回で可卿の出棺前に、柩を安置する場所の飾り付けを行っています。

智 通
水月庵の老尼。第77回で芳官を弟子に引き取りました。

沁香・鶴仙
水月庵の女道士。他の小尼や小道士達と共に鉄檻寺に預けられていましたが、この二人に賈芹がちょっかいを出します。賈芹の振舞が賈政の激怒を招き、全ての小尼・小道士が寺を出されました。第93回のみ。

円 信
地蔵庵の尼。第77回で蕊官と藕官を弟子に引き取りました。

大 了
散花寺の尼。第101回で施餓鬼を行う際に史太君のところへ参詣を勧めに来ています。翌々日、熙鳳が散花寺に参詣しました。

時 覚
第70回のみ。僧なのか地主なのかも不明。「紅楼夢語言詞典」では天文生とされています。尤二姐が死んだ時、賈璉は彼を通して尤三姐の墓のほとりに埋葬しました。

(2)王氏関係(農家)

小役人の祖父の代に王家の一族に加えてもらいました。長安城外の村に住んでいます。

王 成
故人。父の死後、家運が傾いて郊外に逼塞します。周瑞が田地買入れの件で一悶着起こした時に収めたらしいです。第6回のみ

王狗児
王成の息子。一家4人で農業で暮らしていましたが、子供の面倒を見てもらうため、劉婆さんを引き取りました。第6回で劉婆さんに栄国邸に無心に行ってくれるよう促しています。

劉 氏
王狗児の妻。第6回で劉婆さんの提案を聞いて「恥さらしに出かけることはない」と口をはさんでいます。セリフはその一言だけ。

王板児(11~12)
王狗児の息子。劉婆さんが最初に栄国邸に行く時にお供しました。雪芹の遺稿では巧姐と結婚するはずだったそうです。

王青児
王狗児の娘。劉婆さんが史太君死去の話を聞いて栄国邸に行く時にお供しました。巧姐と仲良くなり、巧姐が難を逃れて劉婆さんの家へ来た時も相手役をつとめています。

劉婆さん(劉姥姥)(77)
劉氏の母。寡婦で跡取りの息子もなく、わずかな田地で生計をたてていましたが、狗児に引き取られました。第6回で栄国邸に無心に行って熙鳳の施しを受け、その後も野菜を持って度々邸に足を運んでいます。巧姐が売り飛ばされんという時、家に匿いました。

(3)甄家(姑蘇)関係

姑蘇閶門の由緒ある家柄

甄士隠(65)
名は費。金陵の士人。第1回で試験に臨む隣人の雨村の世話を焼いています。晴耕雨読の優雅な日々を送っていましたが、娘の英蓮がさらわれ、火災で家を焼失し、岳父の元へ世話になります。失意の日々を送っていた折、びっこの道士に会って悟りを開き、妻を捨てて出家しました。最終話で香菱が死亡する際に迎えにいっています。

封 氏
士隠の妻。「性質が賢く淑やかで、礼儀にも深く通じた人柄」と紹介されていますが、一人娘はさらわれるわ、夫は家出するわで実に気の毒な女性。生活苦のため侍女二人と針仕事をしていましたが、嬌杏のお陰で多少はいい思いができたでしょうか。でも結局、生き別れの娘とは会えなかったわけですよね…

甄英蓮 =香菱

封 粛
士隠の岳父。大如州の人。裕福な農家。転がり込んできた士隠につらく当たっています。嬌杏のお陰で雨村から百両以上の銀子を貰うわけですが、この人が有終の美を迎えているのは許せないなぁ。

嬌 杏
士隠のところの侍女(二人いたうちの年上)。雨村が貧乏書生やっている時にたまたま甄家で顔を合せ(二人とも一目惚れだったのだと思います)、雨村が知事となった時に妾として迎えられます。まもなく男子を産み、正妻の死後に正夫人となっています。

霍 啓
士隠のところの家人。第1回で元宵節に花灯籠を見に出かけた際、英蓮を浚われて(しかも目を離して小便している最中に!)そのまま逐電しました。

(4) 官僚・王侯

賈雨村
湖州生。名は化、字は時飛。代々文官を出した家柄ながら、雨村の頃には一族落ちぶれていました。葫蘆廟に身を寄せる貧乏書生でしたが、甄士隠の手助けで上京し、科挙に合格します。その後、任官(某府知事になり霍啓を妾に)→罷免(この間甄宝玉と黛玉の家庭教師)→応天府知事(賈政の手づる)→大司馬→京兆府知事(知機県の急流津で士隠に会う)。賈赦らと組んで悪事を重ねています。その後弾劾を受けて逮捕されましたが、大赦令で庶民に落とされます。

水 溶(~24)
北静郡王。昔、四郡王の中でも北郡王の武功が高かったため、子孫は王爵継承を許されています。可卿の葬送の時に宝玉と初対面し、数珠を進呈しました。家産没収の折には沙汰を届けて趙全を排除したりと尽力してくれています。
なお、「四王家」とは南安郡王・東平郡王・西寧郡王・北静郡王を指します。

馮 唐
神武将軍。一度も物語に登場しません。

馮紫英
馮唐の息子。第10回で賈珍に「いい医者はいないか?」との相談を受け、恩師の張友士を紹介しています。第28回では宴を設け、宝玉や薛蟠を招待しました。第93回では舶来四品を栄国邸に売りにきています。

雲 光
長安節度使。第15回で水月庵の老尼・浄虚が、張家と守備の家のもめ事を雲光に取り計らってくれるよう、熙鳳に頼んでいます。

王 忠
雲南節度使。第101回の官報で、銃火薬を持って辺境から出た一味18人を捕縛した、とあります。一味の筆頭は鮑音といい、太師鎮国公賈化の家人を自称していました。

夏守忠
六宮都太監。時折栄国邸に金を無心に来ています。第16回では元春が鳳藻宮尚書に封じられた時に、栄国邸に注進に来ました。

裘世安
総理内庭都検点を務める太監。第101回で賈璉が会いに出かけていますが、不在でした。海疆事件(王子騰が公儀の会計に欠損を出した件)で王子勝と王仁に弁償さすべき、と御史に弾劾された二人に泣きつかれ、その赦免を働きかけるためでした。

呉大人
巡撫。かねて賈政の仕事ぶりに心服していたそうで、朝見の儀の際に賈政を推挙しました(第85回)。これにより賈政は郎中に昇進します。

戴 権
大明宮の宦官長。第13回で寧国邸に可卿の弔問に訪れた際、賈珍の申し出を受けて賈蓉に竜禁尉の官職を手配しました。

張如圭
揚州の人。雨村とともに弾劾されましたが、都で役人の復職裁可を申請するとの話を雨村に伝えています。登場は第2回のみ。

趙 全
錦衣府長官。趙堂官ともいいます。第105回で西平郡王に従って賈赦の家産検めに来ました。差押えにかかろうと目を輝かせていた時に北静郡王が沙汰を届け、引き上げるよう下命されています。

傅 試
通判。賈政の門下生(賈政が科挙にたずさわった時の及第者)。賈家の力をバックに立ち回っているようです。

傅秋芳(25)
傅試の妹。兄が名門と姻戚になろうとして、そこいらの縁談にのらないので23歳にして独身でした。第35回で傅家の老女が、宝玉を花婿候補として下見に来ています。第94回でも未婚のようです。

李 孝
蘇州勅使。第101回の官報で、軍民を凌辱し強姦未遂・殺人を起こした男の事件を弾劾しています。犯人は時福といい、世襲三等職銜賈範の家人を自称していました。

[八 公]
→以下の六家と栄・寧両家を合わせて「八公」と称されています

牛清・牛継宗
牛清は鎮国公。牛継宗はその孫で一等伯爵。第14回に名前だけ登場。第11回では「鎮国公牛家等の六家」から賈敬誕生祝の頂戴物が寧国邸に届いています。また、可卿の出棺が近い頃、鎮国公の奥方が長子出産とのことで、熙鳳が祝賀の贈物を用意しています。

柳彪・柳芳
柳彪は理国公。柳芳はその孫で一等子爵。第14回に名前だけ登場

陳翼・陳瑞文
陳翼は斉国公。陳瑞文はその孫で世襲三品・威鎮将軍。第14回に名前だけ登場

馬尚・馬魁
馬魁は治国公。馬尚はその孫で世襲三品・威遠将軍。第14回に名前だけ登場

侯暁明・侯孝廉
侯暁明は修国公。侯孝廉はその孫で世襲一等子爵。第14回に名前だけ登場。

石守業・石光珠
石守業は繕国公。石光珠はその孫。第14回に名前だけ登場。可卿の出棺が近い頃、繕国公の奥方が亡くなったため、葬送には参会しませんでした。

蒋子寧
平原侯の孫。世襲二等男爵。第14回に名前だけ登場

謝 鯨
定城侯の孫。世襲二等男爵で京営遊撃を兼ねています。第14回に名前だけ登場

戚建輝
襄陽侯の孫。世襲二等男爵。第14回に名前だけ登場。第13回では戴権が「襄陽侯の舎弟の三男坊」に竜禁尉の株を買うための依頼を受けたことを賈珍に話しています。

裘 良
景田侯の孫。五城兵馬司。第14回に名前だけ登場

韓 奇
錦郷侯の息子。第14回に名前だけ登場。第71回では史太君80歳の祝宴に、錦郷侯の奥方が陪客として扱われています。

衛若蘭
公子。第14回に名前だけ登場。探佚学によれば、金麒麟のとりもつ縁で湘雲を結ばれたとされますが、単に湘雲を宝玉に送り届ける役回りだったとの説もあります(「曹周本」もこれに従う)。

陳也俊
公子。第14回に名前だけ登場


(5)その他

[医 者]

張友士
紫英が幼少の頃就いていた恩師で医学にも通じています。子息に役人の株を買うために上京した折、紫英の推薦で可卿の病気を看ました。その病状をピタリと当て、処方を立てています(専門の医者っていったい…)。

畢知庵
城外の隠れ寺に住む貧乏医者。第98回で結婚後に患った宝玉を診察しています。この時も各地の名医がお手上げ状態(笑)。

王済仁・王君効
王済仁は栄国邸かかりつけの医者。王太医。宮中の侍医。王君効は王済仁の叔祖父で太医院の長官を務めました。

胡君栄
藪医者。晴雯を見れば劇薬を処方して宝玉に悪態をつかれ(第51回)、尤二姐を見れば誤診して堕胎させる始末(第69回)。賈璉に訴えられる前に店をたたんで逐電しました。

[占い師]

劉鉄嘴
測字屋。第94回で紛失した通霊宝玉の在処を占い、「賞」の字を引き当てて「質屋にある」と述べました。

毛半仙
易者。江南の人。八卦の見立てがよく当たるとの評判でした。第102回で尤氏が病臥した際に邸に招かれ、「旧宅で夕刻に伏屍の白虎にぶつかってかかったもの」との卦を立てます。

[道 士]

馬道婆
宝玉の名付け親。趙氏の嘆きを聞いて(というより銀子に目がくらんで)宝玉、熙鳳を呪う法を授けました(第25回)。この人は呪いの道具をいつも持ち歩いているのでしょうか。その後、諸方の悪事が露見し死罪に問われています。

藩三保
第81回で馬道婆を告発した男。家を高値で売ろうとしていましたが、質屋が承知しなのので、馬道婆に呪わせて邪病にかからせます(何故この人は道婆を訴えたのだろう?)。

王道士
天斉廟の庵主で薬売り。その膏薬がよく効くとかで「王一貼」とあだ名されています。第80回で願ほどきにきた宝玉の話相手になり、宝玉は「女の人の焼き餅に効く膏薬はないの?」と尋ねています。

張道士(80以上)
道録司の印。その昔、栄国公の身代わりに出家、のちに道録司の長官まで務め、先帝からは「大幻仙人」と呼びかけられました。今上陛下からは「終了真人」の封号を授かっています。第30回で清虚観に法要に出向いた賈家一堂を出迎えました。その際に金麒麟を宝玉に進呈しました。

[その他]

倪 二
高利貸しのゴロツキ。酔金剛。賈芸の近所に住んでおり、第24回で金に困る彼に無利子で15両の金を貸しました。第104回では酒に酔った勢いで賈雨村の行列につっかかり逮捕されます。釈放後、賈芸が全く力になってくれなかったことを妻子より聞いて逆上し、一騒動起こす目論見をしています。寧国邸の家産没収は倪二の告発に端を発しているらしいです。

柳湘蓮
侠気ある良家の子弟。素人芝居の立役もこなす通人。薛蟠を懲らしめ逐電しました(第47回)が、平安州で強盗から薛蟠を助けて仲直りし、義兄弟の契りを結びました。賈璉の世話で尤三姐と結納しますが、心変わりから尤三姐を死に至らし、渺渺真人について出家、そのまま行方知れずになりました(第66回)。

杏 奴
湘蓮の小者。第47回で湘蓮が薛蟠を懲らしめに出かける際、門外まで出た時に「先に家に帰っておれ」と言われています。

張 華(20)
父の代まで皇糧荘頭を務めていましたが、公事沙汰で没落しました。かねて尤二姐と許嫁でしたが、賈璉が尤二姐を娶る際に離縁されます。熙鳳の計略でこれを告訴し、その後逐電しました。後に賈珍逮捕の折に引っ張り出されており、尤二姐の件を証言したものと思われます(第105回)。

馮 淵
応天府の郷士の息子。女嫌いで通っていたのに、人さらいが売りに来た香菱に惚れてしまい、嫁にとることを決めます。ところが人さらいは薛家に二重売りしてしまい、薛家と争った末に薛蟠の手下に袋叩きにあって死んでしまいました。

雲 児
錦香院内の芸妓。第28回で馮紫英が設けた宴席に招かれ、琵琶を弾いて歌っています。襲人のことを紫英や玉函に説明していますので、賈家の内情には詳しいようです。おまけに薛蟠より学があるようです(笑)。

張 三(23)
太平県で薛蟠が殺した相手。居酒屋の給仕。第86回で江南に向かう途中に立ち寄った薛蟠が彼の対応に腹を立て、投げた杯が額に当たって死亡しました。

張 大
張三の父。故人。第86回で張王氏が「18年前に死に別れた」と供述しています。

張王氏
張三の母。知県の訊問に際して張三のことを供述し、薛蟠の有罪を訴えています。

張 二
張三の叔父。張王氏と共に知県の訊問に立ち会っています。

李 二
張三が働いていた居酒屋の店主。薛蟠が張三に杯を投げつける現場を目撃しましたが、薛蝌に銀子を掴まされて証言を変えます。

呉 良
薛蟠が張三を殺した時、薛蟠と同席で酒を飲んでいた男。知県の訊問の時は、薛蝌に金を掴まされて証言を変えます。

呉天祐
呉貴妃の父。第16回で今上陛下が貴妃達の省親を裁可するらしい事を受け、別院を建造するため、郊外まで場所の下検分に出かけています。

方 椿
植木屋。第24回で大観園に花を植える仕事を任された賈芸が、彼の家へ植木の買入れに出かけています。

二丫頭(21~22)
可卿の葬送時に休憩所に使われた農家の娘。宝玉が紡車を廻転させた時、「いじり回して壊したりするでねえ!」と言って飛び込んできました。

張金哥
長安県・善才庵の一檀家の娘。長安守備の屋敷の若君から結納を受けていましたが、長安府長官の李若君に惚れられ、縁談を申し込まれます。これがこじれて守備の家えは張家を訴え、裁判沙汰になりました。
 熙鳳の働きで長安節度士の雲光が動き、守備の家との破談が決まりますが、金哥はこれを恥じて首を吊り、守備の若君も河に身を投じてしまいました。

烏進孝
黒山村の庄屋。寧国邸の荘園を管理しており、第53回で荘園からの上がり物を届けて上京します。賈珍は予想より遙かに少なかったため眉根を寄せています。弟は栄国邸の荘園を管理しています。

李十児
江西省本庁の門番。近習たちがやめた後、賈政を言いくるめて采配を振るい、賄賂を取り込みます。後に不祥事として賈政が弾劾されました。

詹 会
江西省役所の糧米係の書記。李十児と共に賈政を言いくるめる策を練っています。