紅楼夢人物図解

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(20)尤三姐


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*「電視連続劇紅楼夢」の周月さん

尤二姐の妹、烈女・尤三姐。

彼女の様子に関する本文中の記述は僅かですが、容貌については「面差しから体つきまで(黛玉に)そっくり」であると興児が言い(第65回)、賈璉は「古今無双の美人」、宝玉も「実際あんなに器量の良い人は珍しい。確かに絶世の美人」と柳湘蓮に話しています(共に第66回)。

各イラストでは気の強い様が表情から見て取れます。勿論、鴛鴦剣を持った姿が描かれています。彼女は剣で頸を刎ねた以外にも、鴛鴦剣を持って柳湘蓮や尤二姐の前に(幻想や夢枕に立って)現れています。

○纏足(てんそく)について

「纏足」とは御存知のように、幼女の足指を布できつく縛って発育を止め、極端な小足にしていた中国の風習で、歩行を困難にして女性を家庭にとじこめ、男女の風紀の乱れを防ぐためとも、男性の愛玩の対象にするためとも言われています。五代十国~民国中期まで続き、足の小さいことが美人の第一条件とされていました。その形容に「三寸金蓮」という言葉があり、文字どおり10cm前後の足がよしとされました。

一方、紅楼夢の作者・曹雪芹の家庭は満州族の包衣(奴隷)だったため、この風習に馴染まず(満州族には元々纏足の習慣がなかった)、前80回中には纏足に関する描写は殆どないとされています。

下記の尤三姐の記述以外には、史太君が尤二姐の足を見た上で「非の打ち所がない」と言っていること(第69回)、馬鹿姉やの足が大きくて仕事をてきぱきとやってのけること(第73回)、恐妻家の夫が妻の纏足を嘗めたという賈政の落とし話(第75回)等がある程度です。

清王朝はしばしば纏足禁止令を出しますが、漢人に押し切られて中止させることができず、逆に纏足しないことは恥で嫁に行けないという認識が広まります。そこで禁止令を満州族の女性に限定したものの、国民の圧倒的多数を占める漢人が「美人の最大条件」としていた以上、全く効果がなかったそうです。


本文中の記載

服装について

「尤三姐は頭髪をゆるくわがね、緋色の上衣を半分はだけて、その間から薄緑色の胸当てと雪のような白い肌を覗かせていました。下には緑色のズボン、赤の短靴をはいた一対の金蓮(纏足)は上に下に動いて少しもじっとしておらず、両耳のイヤリングもブランコをしているかのようです」(第65回)