「人情ものみたいなのをやってみようかな、やりたいなと。とりあえず空を飛ぶ人がいない、普通の設定の漫画も描いてみたいなということで、『めぞん一刻』は始まりました。(中略)未亡人のヒロインがいて、それと浪人生とのラブストーリーとかいう流れは、最初はストーリーに縦糸がないと辛いんじゃないかということから。(中略)ラブストーリーだけでなく、その周り、一刻館でおこる人情モノをやろうというのを、元々は考えていました」
(My First Big「うつ星やつら」水乃小路家の娘/2002.01)
「「アパート人情もの」をやろうという所から始まったんですが、連載を続けるにあたって縦軸をつくろうということで、年格好もちょうどいいから、この五代という浪人生と響子さんいう管理人さんの2人を中心にやっていこうかな、と思ったんです。そうやって描いているうちに自分も面白くなってきて、はあ最後はこの2人が結ばれる形で終わろう、そこを目標に描いていこう、と。」
(大阪芸術大学 大学漫画 vol.6/2006.06)
「『うる星』がSFのドタバタだから、もっと普通のものを描こう、という感じで、おおまかにアパート人情もの、というふわっとしたイメージ、アパートのデザインとか間取り、キャラクターデザイン、というふうに何もないところから作っていった感じです。」
(ビッグコミックスピリッツ2010年第10号/2010.02)
(ラブストーリーに軌道修正したのは)「縦糸を作りましょうってことに、かなり早い段階でなったんですよね。当時の編集の方が、軌道に乗るまでは何か一つ引っ張れる要素を作ろうよ、ということで。だから釣り合いの良さそうな二人をチョイスして、学生の片思いものみたいな。そんな感じで行きましょうか、みたいな。」
(クイック・ジャパン vol.71/2007.04)
─五代くんの青春記の形になりましたね。
「結果的にそうなりましたよね。もともとはアパート人情ものをやりたかったんですが、結局のところは青春ものが正解だったのかなって思います。人情ものを描くにはあまりにも子供というか、経験値が少なかったですから」。
(コミックナタリー 月刊ヒーローズ創刊5周年特集 高橋留美子×白井勝也対談/2016.12)
「笑いの要素は残すにしても、読者の年齢を考えたらちょっと大人っぽい現代劇がいいかなと思いましたので。それとその頃『じゃりン子チエ』のはるき悦巳さんがすごい好きで、ああいう人物劇をやりたいという気持ちも少なからずありました。(中略)もちろん、五代が響子さんに惹かれる展開は考えていましたが、それよりはむしろ一刻館を舞台にした人間ドラマを描きたいと思っていました」。
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)
「何か方向性があった方がいい。じゃあ、この浪人にほれさせようかと。
2人の話でストーリーを転がしておいて、徐々に人情ドラマに行ってみようかなと思っていたんですが、描いているうちにラブストーリーの方がおもしろくなっちゃった。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)
「管理人で未亡人ってちょっと良いじゃないかみたいな(笑)。深いことは考えてなかったです。それと最初のイメージはもっとキツイキャラクターだったので、キツイ未亡人というのもありかなと思ってたんですね」
(クイック・ジャパン vol.71/2007.04)
「管理人さんを未亡人として登場させたのは、ナゾ解きというか、秘密がほしかったのです。とにかく、キャラクターに何かあるらしい、という感じ。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)
「『めぞん一刻』は、比較的描きやすかったですね。私自身の性格が響子さんと五代君を足して二つに割ったようなところがありますから。優柔不断だったり、わがままだったり(笑)」
(オレのまんが道/1989.11)
「五代というのは、結局、私みたいなものですから(笑)。(響子さんも)同じなんです。だから、何を隠そうヒーローとヒロインと二人、性格が同じなんですよね」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)
「『めぞん一刻』は、メロドラマでストーリー主体の漫画だから、ネタがなきゃ始まらない『うる星やつら』とはかなり異質なんですけど、結局美女とダメ男の絡み、という点では共通しています。ダメ男が何かバカなことをしでかして、美女がそれに反応するというパターンが、きっと性に合っているんですね。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)
「キャラは、いつもネーム段階で考えるんです。まずストーリー上の役割がある。主役は五代で、三鷹は明確なライバル。その関係性に沿って、キャラ同士のやりとりをふくらませていく。絵は、原稿を描くときにようやく最終決定します」
(ダ・ヴィンチ/2013.11)
横山裕二氏「五代、一の瀬、三鷹…メインキャラに数字がついてるんだー!って気付いた時のあの感動!! 練りこまれた設定のはずなのですが! どこまで最初に決めてたんスか!?」
高橋先生「あれは偶然です。あはは…」
横山氏「ぐう ぜーん!!」
高橋先生「うーむ…マジで偶然だったんです! もちろん一刻館の住人は部屋の番号が付くってのは意識してたけど他の人はほとんど偶然で… あ、そろってる!って。ファンレターで気付いたんですよ、「響子さんが音“無”で“0”、そこから数字で繋がってるんですね!」って言われて…」
(週刊少年サンデー第18号「サンデー非科学研究所」/2017.03)
「ここら辺にいてもおかしくないんじゃないかという存在が好きなんですよね。要するに、日常生活の中に一緒にひょっと入ってしまっていて、そういうふうに化けおおせながらやっていられるような人々が好きなものですから。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)
「たまたま私がその頃住んでいたアパートの、本当に隣というか目の前に、おかしなアパートがあったんです。学生さんのアパートだったと思うんですけど。変な人がいっぱいいるような雰囲気で。たまに聞こえてくる声とか、あとその生活道具が干してあったりして、とにかく変なところだったもので「これはいい入れ物だ」と、モデルにしました」
(My First Big「うる星やつら」水乃小路家の娘/2002.01)
「学生時代、55000円のアパートに住んでいて、裏にやばい感じのするアパートがあった。それを舞台に描いてみたかった。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)
-『めぞん一刻』なんかは、やっぱり二十代で終わるんじゃないでしょうか。
「そうですね。何ともわからないんですけど。ある程度まで行けば終わらざるをえないというか、それがリアルタイムの限界で、やっぱりきれいなまんまでというんでしょうか。少なくとも顔に小じわが出てくるようなところは書きたくもないですから(笑)」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)
「五代くんと響子さんがお墓の前で、こう…「会えて良かった」みたいなこと言ってる部分は、結構気に入っています。初期段階からとりあえずそこ目指して、それを最終回ぐらいのつもりで、そこまで持っていくぞってつもりでやっていたので、「たどり着いた」っていう気持ちになりましたね。」
(My First Big「うつ星やつら」電飾の魔境/2002.09)
「主人公が、就職を含めてあまりにも物事がうまくいかないので、このままゴールさせる訳にはいかんな、ちゃんとするまで見届けたいなという思いがあったんです。(中略)でも、ラストはこれ、というのは何となく見えていても、そこへ至る過程は全く見えない訳ですから、描きながらそこへ辿り着くしかない。」
(大阪芸術大学 大学漫画 vol.6/2006.06)
「方向性はぼんやりと考えていたと思いますけど、具体的にどうこうというところまでではなかったですね。手さぐりでやっていたので。終盤の展開は、終わる1年前くらい前から見えてきたというか、だんだんこうなってくるんだなと、描いていてわかってきた感じです。」
(コミックナタリー 月刊ヒーローズ創刊5周年特集 高橋留美子×白井勝也対談/2016.12)
「比較的最初の頃に響子さん自身が未亡人だとわかる回があるのですけど、その回のテーマを描いている時に、物語のクライマックスで五代が惣一郎さんのお墓の前にいるイメージが浮かんできたんですよ。いずれにせよこの漫画はハッピーエンドで締めるしかないと思って思っていましたので、ふたりにはくっついてもらわないと。」
「(「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」という)あのセリフはあとで考えました。さりげないセリフなんですけど、自分なりにものすごく考え抜いて書いた台詞です。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)
「「めぞん」は物語が進むにつれラブコメ色が強くなっていったわけですけど、そうなった以上はやはり最後に響子さんと五代が幸せになってくれることを願いながら描きました。(中略)自分が生み出したキャラクターはすべてかわいいものですし、そのひとりひとりに、最終回ではいいかたちで着地してもらいたいと思っているんですよ、だからこの漫画でいちばん描きたかったのは、最終回で五代と響子さんのふたりが結ばれる場面であり、それを祝福するまわりの人たちの姿だったりします。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)
「ほとんど想像で描いています。体験したほうがよりこまかいところは描けるでしょうね。でも、あまりこまかい心の綾を描いても、読者が男性ですから、かえってわかりにくくなってしまう場合もあるんです。」
「ラストは自分の中で、お墓の前に五代と響子がいる…くらいなイメージは持っていました。ただまあ、実際にそこまで行ったらまだ描くことあったなあという感じですが。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)
-五代君はそんなに童貞であってはいけませんか。
「やっぱりいけません。」
-確信をもっておっしゃいましたね。
「いけないと思うんですけどね。編集長さんのほうは、確信をもって「一生、童貞のままだァ」と断言しているので、とんでもない話だと思って…」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)
福田宏氏「『うる星やつら』と『めぞん一刻』の同時連載ってどんな感じだったんですか?」
高橋先生「途中までアシが2人でさすがにこのままじゃ死ぬぞって思いましたねー。」
福田氏「連載2本でアシ2人!?」
高橋先生「逃避って言うのか、『うる星』描く時は『めぞん』のことがよく思いついて、『めぞん』の時は逆にっていう…」
福田氏「理解不能です!」
(週刊少年サンデー第19号「サンデー非科学研究所」/2017.04)
「お話をいただいたのは大学卒業の少し前だったと思いますが、卒業後は漫画専業になれるので、2本くらいなら連載できるかなと。創刊時の「スピリッツ」は月刊でしたしね。「めぞん」の連載は、以前「うる星」の担当をしてくださっていた米内さんという方から誘われた話でしたけど、「創刊誌に描く」というのも漫画家として気持ちが高まるものでしたから、「ぜひ、やらせてください」と」。
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)
「(最終回がほぼ同じ頃だったことについて)それは意識的に合わせたものではなくて、「めぞん」の場合はある段階からゴールが見えてきていましたので、その流れと「うる星」の終わりがちょうど同じ時期に重なったというだけなんです。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)
「構成のつなぎが良かったです。1シーンのものなんですが、たいくつせずに最後まで観せてくれたなぁという感じですね」
(MOVEMENT/1988.03)
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