めぞん一刻のカセットレーベルが欲しくて、小学館の音楽雑誌「(なんとか)パル」もそのためにだけ買っていました。
ところで、「豆辞典」で、めぞん一刻連載前にモデルの建物はすでになかったと高橋留美子さんが言っていた、とありました。
しかし当時、前庭から建物の外観(時計塔まである)何から何までそっくりなアパート(たぶん)が、杉並区の環状八号線と早稲田通りがぶつかるすぐ近く(確か)に実在していました。高校に通う通学路にあったので、毎日「これかぁ」と感激に浸りながら、その前を自転車で通り過ぎたものです。
ちなみに、「一刻館」という名称のアパートは練馬区に実在しています(した?)。こちらはスピリッツ誌上で写真入で掲載されていましたっけ。もう23~24年ほど前の話です。
(1)原作の「沈黙は金ヅル」で、「アケミちゃんいくつ?」と尋ねられた朱美さんが「18」と答えるシーンがあります。
もちろん朱美さんが18歳のはずはありませんが(汗)、これは千昌夫の「アケミという名で十八で」(1973年発売)に引っ掛けたのだと思います。
(2)原作のサブタイトル「青田枯れ」に関して
文化庁の平成16年度「国語に関する世論調査」では慣用句の誤った使用例として「会社が学生を青田刈りする」という言い方を取り上げています。
もっとも「辞書によってはそういう使い方もあると認めている」という指摘もありますが。
で、高橋留美子氏の名誉のためにも、と言っては大げさですけど(笑)、誤用かどうかはともかく、こういう使い方は世間一般に認知されていたように私は思うのです。
つまり「内々定」といった言葉と同じく、一種の”業界用語”だったのではないかと。
しかもこれは単なる学生言葉ではなく就職活動の関係者全般、採用する側の企業、大学の就職担当者などの間でも普通に用いられていたようです。
(どうも高度経済成長時の人材難時代から使われていたらしいです。)
そういう前提があるからこそ、あのタイトル(もちろん青田刈りに引っ掛けた)も扉絵(鎌を持った響子さんと稲穂の上でしょんぼりする五代君)もいかにも高橋氏らしいウィットに富んだものとして生きてくるのではないでしょうか。
他にも何かあったような気もするのですが、とりあえず思いついたものを揚げてみました。
ところでドラマ化を契機に当時を知らない新しい読者も(おそらく)増えることでしょう。
連載開始から四半世紀が経過して、めぞんにもいよいよ「脚注」のようなものが必要な時代になってきたのかも・・
(「めぞん一刻の時代」コーナーなど重宝されそうですね。)
私も気づいたことがあればお役に立ちたいと思っています。
他のサイトでちょくちょく見かけるのが「ソープに行ったくせに“あなたしか抱きたくないんです”なんておかしい」という意見です。(コチラでもありましたね)
う~ん、そうかな? このシーンの私の見解は…
このホテル前のシーンまで、いろいろありました。こずえちゃんへのプロポーズ疑惑、響子さんの家出、朱美さんのラブホテル疑惑、茶々丸での大ゲンカ。
響子さんは電車の中で、数々の疑惑が全て自分の誤解であることはわかってるのですが、それでも五代君に対しての反発心が消えないでいます。五代君は完全に誤解を解いてもらいたい気持ちでいます。まあ二人とも、まだ少し興奮状態にあるのでしょう。(なんせさっきまでケンカしてましたから)
で、五代君は「…好きです響子さん」と正面きって告白。たぶんシラフでちゃんと言ったのは始めてではないでしょうか。でも、響子さんに「なんか誤魔化されてるみたいで」と否定される。そこで五代君は「好きです」より、もっともっと強い愛情表現をしなければならない。で、勢い余って出てきたのが「あなたしか抱きたくない」であると。
つまり、それまでの流れと勢いがあっての会話であって、「ソープ」の事をツッコむような空気ではないと言うことですね。ニュアンス的には「響子さん好きじゃあああ」のシラフで真剣で生々しいバージョンというかんじかな(笑)
まあ、めぞんは読者それぞれの人生や恋愛経験などで解釈が違うので、そこが面白いんですけどね。みなさんはこのシーン、どう思います?
キャラクターはあくまで作者の産物ですから、高橋先生自身が五代君がソープに行ったことに対する罪悪感や不純さを感じていらっしゃらないとすれば、響子さんや五代君も感じていないということになります。少なくとも作中では「五代君のソープ行き」は一過性のエピソードにすぎません。
あとは我々外部の人間の解釈の問題で、五代君のソープ行きについては、許容できるかどうかの話になると思います。
「あなたしか抱きたくないんです」といった場面については、はずみで口走ってしまった強い求愛表現であることは明らかですから、文字通りに捉えて云々する必要はないと思います(ちなみに、アニメでは「あなたしか僕の瞳の中にいないんです」と言い換えられていますが)。