高橋先生コメント集

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その1][その2]
音無響子について

「安下宿の管理人といえば未亡人、未亡人が犬をつれていないわけがないと、もう「めぞん一刻」の設定はいきなりひらめきましたね。
最初に何か方向性があった方がいい、じゃあ、この浪人にホレさせようかと。響子さんと五代くんの関係は、作者のいいかげんな出来心からはじまった(笑)」
(少年サンデーグラフィック・スペシャル「うる星やつら」完結編・ボーイミーツガール/1988.02)

「最初の予定ではもっとキツイ…怖い女の人でもいいかなと思っていました。よりコメディっぽくするんであれば、そういう人でもありかなと思って。で、1回目のネームを描いていたら、そうじゃなくなってしまった。どちらかと言うと、まあ、天然系な感じになったんですよ。でもこれはこれでいいんじゃないかしらって、思って。だから考えて作ったと言うよりは、なんとなく描いたらそうなったみたいなキャラクターですね。ある意味キャラクターが勝手に動いたみたいな。」
(My First Big「うつ星やつら」飛鳥ふたたび/2002.02)

「すごくオンナが好きというか関心があるんです。ですから、“管理人さん”っていうのは、まさにオンナを描く……というところがあるわけです。(中略)私が抱いている、オンナの理想像といったらいいかなァ。要するに、ほんとうのオンナというのは、こうあるべきだといった……。あるいは、自分がなれなかったオンナというんですかね」
(糸井重里対談集「話せばわかるか。」/1984.11)

-キャラクターとしては、五代と響子さんのどちらを先に思いつきましたか。
「響子さんだったかな。ビジュアルより先に、「未亡人」で「管理人」というキーワードが最初に浮かんだんですよ」。
「もともと聖女みたいなヒロインにするつもりはなかったんですよ。あくまでも一刻館にいるキャラのひとりというイメージでした。ただ、最初に登場する場面をネームで描いた時に、何か言葉ではうまく言えない手応えみたいなものを感じましたので、徐々に主要キャラのひとりにしていったわけです。聖女どころか、最初の設定段階ではもう少し意地悪で勝ち気なキャラだったんですけどね(笑)。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)

「当時学生だったので、未亡人って謎めいてて面白そうだなと思い。担当者に縦軸で五代との絡みをやろうと言われまして、五代とくっつくのは最初は想定してなかった。当初はキツイ女性を出そうと思ったが、ネーム時「若さが多めに出ている」人となり、ヒロイン像が固まった。」
高橋留美子情報/2022.05)

「響子は、珍しく連載前に設定表を作りました。『うる星~』のサクラみたいな気の強い女性にしようと思っていたんですが、ネーム(原稿の下描きのようなもの)を描いてみたら全然そういう人じゃなかった」
(ダ・ヴィンチ/2013.11)

「『うる星やつら』のメインキャラクターの中では一番大人なのがサクラという巫女さんだったんですけど、ちょっとそれに寄せるつもりで考えようかなーと思っていたのです。」
「響子さんは何もしていないのですけれどね。一刻館の玄関から入ってきてアップになった。それで十分みたいな。でもそこで「あ、この人はこういう人なのかな」というのがわかったので、それでよかったんですよ。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)


五代裕作について

「「めぞん一刻」は、原作者としては、あくまで五代くんから見た世間であり、一刻館であり、響子さんであるというような作り方をしています。」
(実写版「めぞん一刻」パンフ/1986.09)

「当時はちゃんと意識していたわけではないのですが、後々考えると、五代くんというキャラを作る時、『やっぱ青年誌の主人公は、等身大の人がいいのだろうか?』と思ったんじゃないですかね、私は。青年誌っていうのは、少年漫画だとありえない類の夢を見ていい世界だと思ったんですよ。こう…『かなうかもしれない夢』みたいな。そういうものを仕組んでいくんだったら、やっぱ主人公は普通の…より普通の人がいいかもってね。」
(My First Big「うつ星やつら」飛鳥ふたたび/2002.02)

「『めぞん一刻』は五代というキャラクターが虐げられないと成立しない話なので(笑)、自然な流れでまわりのキャラを変わり者として立てていきました。五代はいわば『普通な人』なわけですけど、あの中に入れば彼がある意味ではいちばん『変』に見えるというね。そういうギャップもおもしろいかなと思って。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)

「最初は主人公ではなく住人の一人だった。響子と恋仲になるとは想定していなかった。
三鷹みたいなのが出てくるから嫉み妬みはあるけど、人のせいにはしない。彼なりに努力はしなければならなかったので、試練をいっぱい与えた。最後はまあまあ成長してくれたかと。」
高橋留美子情報/2023.03)


三鷹瞬について

「(三鷹は)とりあえずステロタイプみたいなかたちで、(中略)役割ではありますけれども、それなりに肉づけした部分もありますから、自分なりにその人にも感情移入をするわけですね。三鷹さんというキャラクターをかく場合は、その人の身になってみないとダメなんです。ただただこれだけのためにというキャラクターをかくのはいやなんです。」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)

「最初からきっちりと決めていたわけではないんですけど、いずれ片付けないといけない人たちが、何人かいたわけですよ。その中で、じゃあまず三鷹という人をどうする?みたいな話になって、とりあえずコイツ絶対見合い結婚するんじゃないか?っていう印象があったので、じゃあそうしようって。彼の見合いを設定したあたりから、物語はなんとなく終息に向かっていきましたね。」
(My First Big「うつ星やつら」電飾の魔境/2002.09)

「ぶっちゃけて言いますと、三鷹さんについては担当さんから「五代のライバルを出してくれ」と言われて出したキャラなんですけど、たしかに彼がいたことで、物語を転がしやすくはなりましたね。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)

-過去のインタビューで「三鷹さんの終盤を丁寧に書いた」と仰っておりましたが、先生は三鷹さんのどういった所に惹かれましたか?
「かなり早い段階で出ていたライバルキャラだったので、それなりの花道を用意してあげたかったという事です。」
-三鷹さんが身を引く展開はスムーズに決まったのでしょうか? 五代との関係性の変化や他のアイデアなど、決定するまでの経緯を教えてください。
「犬が苦手という設定が決まった段階で、「この男はいつか犬で身を滅ぼすであろう」と、担当編集者が予言してくれ、私もそれは面白いなと思いました。
身を引くエピソードも要所要所で犬を絡めながら時間をかけて描いていきました。
明日菜と結婚を決意する回は原稿段階で大幅に改訂しました。最初のネームは「あきらめ」みたいな感じが強めでしたが、やはり本人納得の上で前向きに生きて欲しかったので、アルバムのエピソードと明日菜のダジャレを加えて明るい感じに仕上げました。」
ダ・ヴィンチWeb/2023.02)


音無惣一郎について

「(惣一郎さんの顔を出さないというテクニックについて)あの描き方は昔からない手法ではないのですが、顔を出さないことで「五代が敵わない感じ」を強調できればなと思いました。」
「響子さんみたいなタイプのヒロインに似合う男性って、きっとあまりかっこいい人じゃないんじゃないかなと最初に思ったんです。見た目的にも内面的にもね。でも、基本的には優しくて、悪い人じゃないという、そういう感じの男性が描けていたとしたら、作者としては成功だと思います。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)

-惣一郎さんの顔が最初から最後まで出てこないというのも印象的でした。
「あれは最後まで出すつもりはありませんでしたし、出しどころってあるんでしょうけれど、タイミング的に出す時がなかったんです。どうせ描いたって、そんなにびっくりするような顔ではなかったと思いますし、この人は普通の顔になるんだろうなと。だったらいっそ顔はいいやって感じです。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)


一の瀬花枝について

「側にいたら困る人。大人が昼間っから酒飲んでて、でもこれがあの人の生き方なので、しょうがないかなと。でもちょっとは良い人というか、まともな面はあります。じゃないと、あの生活態度は許されないかなと。」
高橋留美子情報/2022.05)

一の瀬賢太郎について

-一の瀬夫人の息子がさっぱり出てこなくなっちゃいましたね。
「あれも実は中学生になっていなければならないので、出すのが怖いんです。」
「今度登場させる時は、やはり考えないといけないなあと思いましてね。でも背を伸ばすわけにいかないものですから。」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)

「小さい子を出す癖がありまして。あと一の瀬さんが1人で飲んだくれてると辛いと思い、家庭を与えたかった。一刻館の住人が色んな角度から五代を傷つけているなか、子供からの攻撃も堪えるだろうなと思った。子供の悩みや運動会等、エピソードを作れてよかった。」
高橋留美子情報/2022.10)


二階堂望について

「連載当初、二号室には住人がいて、それが旅にでも出ていて、なかなか帰ってこないが、いずれは帰ってくるんだろうというつもりでやっていたんですが、そのまま何年かたってしまったので、これでは話にならんと思いまして。」
「登場当時はある程度目立ってもらわないと困るんですが、その後は流れて組み込んで行くといいましょうか、好きな時に出てもらって、要らない時は引っ込んでいてもらいます。まだなかなかうまくものになってくれませんけど。いずれは何とかしてみせるというところでしょうか。」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)

「編集部の評判は悪かった。結構小言を言われた。読者の反応も今ひとつで、頑張ったんですけど、とても残念でした。みんなが空気読んで黙っちゃうところで、無神経な一言を言う役割を与えていました。
頑張ったんだけど、ごめんね二階堂。」
高橋留美子情報/2023.02)


四谷について

「別の作品で四谷さんのキャラクターなるものの原型を描いていて、「めぞん一刻」を始める時も、あのキャラクターをと思い描いたものでした」
(実写版「めぞん一刻」パンフ/1986.09)

「四谷さんというのは、昔からそんな人が好きだったんで、なんとなく描いてしまったんです。あれはいかにも“自分がつくったキャラだ”という気がします。 実際にいたら嫌ですけど(笑)。描いている分には、とても興味深いというか、どこかしら好きですね。」
(MOVEMENT/1988.03)

いわしげ孝氏「当時お会いした時に、この四谷という人の職業は何なんですか、と、当然決めていらっしゃると思って訊いたら、何も決めていないと答えられてびっくりしたんですよ(笑)。
高橋先生「四谷さんの仕事は、いまだにわからないという。ノープランにも程があります」。
(ビッグコミックスピリッツ2010年第10号/2010.02)

「(『ダストスパート!!』について)キャラクターということで言えば、個人的には背古井さんに一番肩入れして描いてたかな。『めぞん一刻』の四谷の原型といっていいようなキャラですが、ああいうタイプのキャラが昔から好きなんですよ」。
「(『めぞん一刻』で気に入っているキャラは)やはり四谷さんです(笑)。あのタイプのキャラがなぜか好きなんですよ。描いてて飽きることがありません。」
(漫画家本vol.14 高橋留美子本(少年サンデーコミックススペシャル)/2019.11)

「デビュー当時に描いた『ダストスパート‼︎』の背古井もそうなんですが、あのデザインの男性は前からちょくちょく描いていました。結構好きな感じだったので、めぞんで四谷として生まれ変わりました。色々な世界線に、この男性はいるんだろうなと思います。」
高橋留美子情報/2022.05)


六本木朱美について

「年頃の浪人生の隣に住むなら、ああいう感じのほうが面白いかなと思って。最初からレギュラー入りは決めてました。
終盤響子に結構ズバッと言いますが、ずっと響子と五代を見ていたからこそ言えたのかなと。最後の展開は、朱美にも幸せになって欲しかったからです。」
高橋留美子情報/2021.10)

-終盤は朱美さんの動きが展開を大きく動かしました。これは想定通りでしたか?
「朱美は1回目からのレギュラーで、五代と響子のエピソードはほぼ把握しており、色々言えるポジションだったので、響子のまあまあ理不尽な行動言動に突っこむ役割を果たしてくれました。これも物語の積み重ねに応じてなので、最初から想定していた訳ではないですが、いい感じに機能してくれたかなと思います。」
-本当は五代君のことを好きだったと思われますか?
「少なくとも作者は、それはないだろうと思っています。」
ダ・ヴィンチWeb/2023.02)


七尾こずえについて

「動かしづらいキャラといえば、こずえちゃんですね。謎の人というかああいう女の子の気持ちがわからないんですよね。いったい何を考えているんだろうといったようなところがあります。この人がこういう状況に置かれたらどう反応するんだろうかというのは、よっぽど考えないとわからないところがあるんです。(中略)
結局、まだ人間の大切な部分がないんですよ。悲しみとか恐れとか怯えとか…たとえば恋愛だったらそういう陰の部分があって、何とか人間らしい恋愛になれるんじゃないかなあと思うんだけど、(中略)悩みで遊んでいるような感じがあって、わかんないなあというところです。」
(語り尽せ熱愛時代/1984.11)

「響子のライバルとして出したキャラです。ライバルというより、響子の心をざわつかせる存在でしたね。こずえなりの話の持っていき方といいますか、「大切なことを言わせない」術は描いてて楽しかったです。マイペースで可愛い、普通の女の子を意識していました。」
高橋留美子情報/2021.11)


八神いぶきについて

「五代を女子校に放り込んだら面白いかなと思ったのと、響子と惣一郎の思い出をリンクさせるのが主目的だった。その中で生まれたキャラ。
恋に恋するみたいな感じの子。制服は出身校がモデルで、懐かしい気持ちで描いていた。素直に描けて、動かしやすかったです。」
高橋留美子情報/2021.08)

九条明日菜について

「よく「のの字を書く」ってあるじゃないですか。この人だったら「犬」かなあって。だからまあ、けっこうこのキャラクターを表すポイントとして意外と楽に思いついたところだったですね。」
(高橋留美子原画集COLORS1978-2024/2024.03)

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