中国では万物は「気」からなるとされます。道教の思想の核となる神仙説によれば、不老長生(仙人)になるためには、永遠に輝きの失わない気(丹)を体内に宿せばよいとされます。「封神演義」でいうように仙人骨を持っていればいいというものではありません(誰も持ってないって)。丹には幾つかの種類があり、最高の丹は金色をしているので、「金丹」とよばれます。金丹が体内にあれば不老不死を得られます。
その方法として内丹法と外丹法がありました。内丹法は自分の気から体内で金丹を作る方法、外丹法は外で金丹を製造してそれを飲むこんで体内に入れる方法です。目的は同じなんですが、内丹法だと長く厳しい修行が必要なので、当初はてっとり早い外丹法が支持されたようです。
(1) 体の中には上丹田・中丹田・下丹田という3つの中枢があり、三尸(さんし)という病気をもたらす虫が住んでいるといわれます。三尸は穀物によって生まれ、活動すると考えられたので、これを撲滅するため。
(2) 五穀は俗人の食べ物なので汚れた気が含まれていると考えられ、それを食べないことで体内が純化され、また、野生の食物からより気のレベルが高い食物を取り込むことで気の塊の高濃度化を助けようというものです。
(1) 服気:内気を摂取する方法で、外気を吐く時に喉元に上がってきた「内気」を口内にため、丹田に導いてやります。
(2) 行気・練気:内気を循環させる方法で、体内の特定の部位に送ってやる(強い観念とイメージが必要)のが行気、体内を自由に循環させてるのが練気と呼ばれます。
長い間息を止められるということは気のエネルギーレベルが上がった証拠とされるため、胎息という状況は金丹が体内で製造された時に現れるともいわれています。
これは、初期の気の塊をその部分で特定の神を思うことで金丹に近づけていこうという操作です。道教の神には五行に基づいた性質があり、そのパワーを借りようとしているのです。ただし、全ての流派に共通した方法ではありません。
(以下、友人Kのメールを引用します)
房中術は気の塊を作ったり、濃縮する時に、自分の気だけでなく他人の気をもらってこよういう発想から産まれたようです。男女の性の交わりによって精気を摂取すると一般に云われていますが、性の交わりという部分は皇帝や貴族階級が享楽の為に考え出したものでしょう。その証拠に、性交の相手は年齢に反比例しなければならないと云っています。ですが、気の性質からすれば性交は不要で、例えば、元気な人の側に行くと元気になったりした経験があると思います。
金丹にも多くの種類があり、丹砂に雄黄(硫黄と砒素の化合物)や岩塩などを混合し、これを何日間も炉で熱する(この時ある種の儀式<人に見られてはいけない>が必要らしい)と、混合物の種類や分量によって様々な金丹ができたといいます。
つまり、仙人になるために水銀や砒素を服用していたということ。日本でも和歌山の砒素中毒事件があったばかりですが、中国では多くの権力者が不老不死を夢見て水銀・砒素中毒で死んでいったのでした。
そして賈敬も…「その腹の中は死んだ今でも、鉄のように固くなっているし、顔の皮膚や唇は赤黒く焼けただれて亀裂ができていました」
扶乩(扶鸞ともいう)とは日本のコックリさんと同様の民間呪術で、霊を降ろして行う占術の一種だそうです。その手順は
(1) 乩木(二股の木)の下に筆の役割をさせる棒をつけ、砂上に置く。
(2) 神降ろしを行うと砂の上に文字が書かれる。
(3) その文字を解読すると神意がわかる。
というものです。乩木を持つのは一人の場合と二人の場合があり、描かれるのも文字だったり象形だったりするそうです。紅楼夢では妙玉と岫烟が二人で支え、文字が書かれました。
乩木にかかる神霊もある程度決まっていて、妙玉が招いたのは鉄拐(てっかい)仙人でしたが、最もオーソドックスなのは呂洞賓という神仙だそうです。
友人Kのメールに基づき再編成しました。