▩本文で詩が欠けている(空白)部分があり、その脚注に、脂硯斎本には「詩稿は曹雪芹待ちである」と書いてある、とありました。この一文で、曹雪芹は完全に作者と区別されていると感じました。彼は紅楼夢の詩の部分を主に担当した、というのが本当では。後半は詩作が少ない気がしますし、彼の死後、作者は苦労したのでは?と感じました。
▩前80回と後40回は、確実に同一人物によるものです。でなければ、多少の矛盾はあるものの、大きくストーリーを逸脱させることなく終わらせることは困難です。前80回での伏線は、後40回のストーリーにかなりの部分が生かされています。読んでいて、「ほほぅ、あれがここにつながるのか!」と感嘆させられることしばし。しかも無理がない。あの綿密さは、全120回に渡って一貫していました。これは同一作者でないと、絶対に成し得ないことです。別人が書くとかなりストーリーの色合いが変わってしまい、違和感を感じることが多いものですが、紅楼夢では、それはほとんどありませんでした。ましてや紅楼夢のように、多くの登場人物を動かす物語は、相当の力量がないと完結はおろか、引き継ぐことさえ困難だと思います。
▩秦可卿については、初めて紅楼夢を読んだときから、かなりの違和感を感じていました。どう見ても高貴な出自の者の見識・行動様式としか思えないのに、「孤児出身」?天上界でも同姓同名の人物が登場し、死後も度々現れて紅楼夢のキーマンであり続けています。この扱いからして、一種特別な崇高な存在であったとしか思えないのです。このサイトを読んで、やはり謎とされていたことだったのだと、妙に納得しました。
このサイトの考察を読んで、自分の感覚に自信が持てました。その根拠となる文献も読んでみたいのですが、日本語に訳されたものは一般には出回っていないようで、本当に残念です。
これからも更新を楽しみにしていますね♪
後40回の初稿?は前80回とはかなり異なるものであったことは周知の通りですが、程偉元と高顎が続作をする前に、既に120回本が出回っていたとも言われていますから、120回本が同一作者の物であり、何かの圧力を受けて後40回を大幅に改ざんしたというのはありうるのかなと思います。
秦可卿は、劉心武氏の説では賈家に匿われた皇族の娘とされていますね。
ありがとうございました。
彼の言うように,脂硯齋が紅楼夢の共著者で,曹雪芹の表妹の李姓の一人で,小説上では史湘雲だとすると,本来の81回以降を何としても知りたい欲求にかられます。
口頭語が多く,たいへん読みやすかったので,帰りの飛行機と残業を止めて捻出した時間を使って,一週間ほどで読み終わりました。
秦可卿が康煕帝の廃太子の女子で,幼くして寧國府に隠されて育ち,それを密告したのが元春だという推理は,当時の政治背景の解説と並んで,なかなか納得させるものがありました。
この本は前半の18講が今年八月に出ただけで,後半の36講までは,放送が終わりしだい出るということですが,上海の店員が,「発行されたら電話をするから番号を教えろ。」と商売熱心だったのには感心しました。
ちなみに上海で人気だった「思考楽」はなぜか閉店してしまっていました。