『春の墓』での音無惣一郎の死と音無響子の対応などの回想シーンを見ると、音無惣一郎は「突然死」であることが解ります。音無響子が帰宅した時、音無老人から音無惣一郎のことを聞き、病院へ向い、着いたときには音無惣一郎は既に死んでいて、霊安室に運ばれていました。音無響子が「そんな・・・・・どうして・・・?どうしてっ!?」と音無惣一郎の遺体に泣き崩れた事から、音無惣一郎は「病気持ち」ではなく、まさに青天の霹靂のような「突然死」である事が解ります。
では、どんな死を迎えてしまったのか。
「自殺」はどうなのか?これは違う。
なぜなら『めぞん一刻』のストーリーを見てみると、音無惣一郎は無職でブラブラしていた時期も落ち込まず食欲旺盛で、むしろ家族の方がおろおろしていた点等から、音無惣一郎の性格上「自殺」というのは考えられず、また、もし仮に「自殺」だとしたら、『めぞん一刻』の描写も自ずと変わってくるはずでは(物凄く悲壮感の漂う内容になっていただろうね)。音無響子も自分を責めて責めて責めまくるだろうね。でも、音無響子にはそのような態度は見当たらず。
よって「自殺」は有り得ない。他にも理由が有るが、後で述べます。
「事故死」はどうか?『タッチ』の上杉和也の様な劇的な「死」だったのか?これも違う。
音無響子の父が「現に惣一郎はあっというまに死んじまったじゃないか。もっとイキのいい若いもんを選べばよかったのに。」と言っている点や千草律子が娘・音無響子の結婚相手にしたがっている三鷹瞬に「病気」に関する執拗なまでの遺伝的な質問を投げかけたりしている点等から、もし「事故死」なら音無響子の父の「もっとイキのいい若いもんを選べばよかったのに。」と言う発言は出ないはずだし、千草律子の三鷹瞬に対する「病気」の執拗なまでの遺伝的な質問も出ないはず。なお千草律子の三鷹瞬に対する「病気」の執拗なまでの遺伝的な質問から、音無惣一郎は「事故死」のみならず「自殺」でもないことが裏付けられます。
音無惣一郎の死因は「病死」ですね。では何の病気で逝ってしまったのか?「突然死」だから「病気」も限られてしまいます。
桜の咲く季節に音無惣一郎は死んでいますので、まず「熱中症」だとは考え難い。
「食物アレルギーによるショック死」は?三鷹瞬が九条明日菜とのお見合いを断った後、一刻館で音無響子が音無惣一郎の墓参りに行くことを知り、音無響子に音無惣一郎の好物や好きな花を聞いたときの音無響子の返事は「好き嫌いのない人でした。花は確か菊が・・・」、「おひたしにもできて得だと・・・」と答えている点から、音無惣一郎には「食物アレルギー」はなかったようですね。
では、何の「病気」で音無惣一郎は亡くなったのか?青天の霹靂のような「突然死」であることを考慮し、さらに発症率の高いものを選ぶと、まず以下の2点が考えられます。
1.脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血等の「脳血管障害」(脳血管障害のうち、急激に発症したものは脳卒中と呼ばれる)
2.心筋梗塞や狭心症等の「心疾患」
千草律子が娘・音無響子の結婚相手にしたがっている三鷹瞬に「病気」に関する執拗なまでの遺伝的な質問を投げかけたりしている点(「体質で、必ず盲腸になるとか糖尿病になりやすいとか・・・」)を考慮すると、音無惣一郎の死因はさらに一つにしぼれます。
ズバリ、心筋梗塞や狭心症等の「心疾患」であります。
脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血等の「脳血管障害」(脳血管障害のうち、急激に発症したものは脳卒中と呼ばれる)の場合、先天性のものではなく、また遺伝的要素というよりはむしろ自己体調管理による「病気」なので、千草律子が娘・音無響子の結婚相手にしたがっている三鷹瞬に「病気」に関する執拗なまでの遺伝的な質問を投げかけたりしている点を考慮すると、音無惣一郎の「病気」による「突然死」は、遺伝的要素の弱い「脳血管障害」でもなさそうです。
心筋梗塞や狭心症等の「心疾患」の場合は、遺伝的に「心臓の弱い」体質ということも考慮できる点から、音無惣一郎の死因はズバリ、心筋梗塞や狭心症等の「心疾患」であります。
以上、これが私の見解であります。
結論としては「内因性(病気による)の突然死」と推測します。
状況の確認ですが、惣一郎さんが亡くなられた情景は「春の墓」での響子さんの回想で語られています。
買い物帰りに一報を聞いた響子さんは「うそでしょう。だって...。」と信じられない顔をします。
家族が病院に駆けつけた時には惣一郎さんは故人となって病室のベッドに安置されていました。
現実を突きつけられた響子さんは「どうしてっ?」と叫びながら故人にすがりついて泣き崩れます。
この状況から下記のことが推察されます。
1:亡くなる日の朝までは死亡が予測出来ない状況であった。
2:家族が惣一郎さんを看取ることが出来なかった。(死に目に間に合わなかった。)
また家人が故人と対面したのが救急室では無く一般個室病室ということから下記が推察されます。
3:病院に搬送された時には救命処置を施す状況では無く、御遺体を家人が来るまでにしかるべき御部屋で安置していた。
急変した患者さんが病院に搬送された場合、救命処置を施します。(気道確保、循環補助、輸液ルート確保など)
また家人と連絡が取れて病院に向かっていることが確認出来れば、到着まで救命処置を続行することが殆どです。
(家人の到着を待って死亡確認するので家人は救急室で故人と対面することになります。)
しかし回想シーンでは家人は安置された故人にいきなり対面しています。
少なくともその部屋では救命処置を受けた形跡はありません。
となると、惣一郎さんは自宅から出かけた後に出先で症状が出現、急いで病院に搬送されるも病院到着時には処置無し(手の施しようが無かった)の状況であったでは無いでしょうか。
そこで家人が到着するまでに個室病室に御遺体を安置していたと推察します。
また音無家家族の連絡を受けたときの様子より、連絡時は惣一郎さんがまだ生きていた。
(そしてとても危険な状況あることを告げられた。)ことが推察されます。
恐らく救急車が現場から搬送先の病院に向かった頃に連絡があったのではないかと思います。
またここで、「入院していた惣一郎さんが突然急変、家人の到着を待たずに亡くなられた。だから病室で家人と対面した。」という可能性も挙げられますが、その場合でも、当然救急処置を実施することになるので、家人が故人と対面する時には救急処置を継続している筈です。この場合家人の到着を待たずに救急処置を中断することはまず考えられないので、この状況は除外出来ると思います。
(上記の推定は原作で描写されている場面が故人との初めての対面という状況より成り立っています。もし描写されているシーンが死亡確認、死後処置が終わった段階での改めての対面ということであればどのような想像も出来ます。しかし響子さんの行動(叫びながら故人にすがりついて泣き崩れる)を考えると故人への初めての対面という感覚を強く受けます。)
では、死因の推定に入ります。惣一郎さんが享年30歳と若いこと、突然死に近い状況であったことを考えると予想される疾患は絞られてくると思います。
まず心疾患でしょうか。致死的な不整脈や突然発症した重度の心筋梗塞などが挙げられます。若さを考えると発症したベースに先天性の基礎疾患が存在したのかなと推察します。掲示板で述べられていた肥大型心筋症などがそうです。あとは脳血管障害(くも膜下出血、脳出血など)が考えられます。血管の動脈硬化性変化に伴い発症するリスクが高くなる疾患ですが脳動脈の奇形が引き金となる場合は若年性で起こりえます。
原因を挙げればきりがないのですが、結論として発生頻度から心・脳血管イベントにおける突然死、その背景に先天性の基礎疾患の存在があったというのが妥当なのではないでしょうか?
事故死の可能性に関しては病院到着時に救命処置を施すような状況では無いと判断されるような外傷を受けているわけですから、御遺体の状況(布団をかぶせているので何とも判断出来ない部分もあるが)から考えて考えにくいと思います。
あくまでも限られた情報からの推察なので真実は闇の中なのでしょうが、以上のように推察しました。