ゆうたさんはこの中で、「人魚の森」の舞台が能登半島である、とおっしゃっていますが、これはあくまでもOVAに限っての設定であって、原作に関しては不確かだと思います。
確かにアニメではそういう設定であることが作品の中で明示されていますが、原作では具体的な場所は示されていませんし、また暗示させるような物も全く存在しません。
作品が描かれたのが作者の北陸旅行の後(87年)なので、景色などが借用された可能性が無くもありませんが、この場合はアニメのスタッフによる脚色の一環だと考えるのが無難だと思います。
もっともどこか全然別の場所で、作者自身によってそのように語られているのであれば話は別ですが・・・
(私は今のところ聞いたことがありません)
(1)小林君の通う大学について
s_nさんの、五代君と小林君は別の大学に通っているのでは、という指摘に関してですが、私は学部は違うかもしれないが、少なくとも大学は同じだと思います。
例証とされている「青田枯れ」のシーンですが、私は坂本君の「そうだよ」という発言は、むしろ自嘲的なものであって、おっしゃるように他人事として言ったのではない、と解釈したいと思います。
あの場面は四人とも同じ境遇であるはずなのに、一人五代君だけがのほほんとしていることへあてつけ、皮肉ったものでした。
ここでは「同じ境遇」ということがベースにあるからこそ、あの会話が成り立つとも言えるわけで、少なくとも4人は同じ大学の学生ではないか、と思うのです。
また合格発表のときに小林君の合否に関する描写がなかったことについては、小林君はすでに別の学部に合格していたとか、教育学部は受験しなかったからとか解釈することもできます。
したがって、この事自体は五代君と小林君が同じ大学に通っているかどうか、の判断材料にはならないと思います。
それから鞄の有無に関してですが、例えば坂本君のように、いつも鞄を持たずに通学する人もいます。
(坂本君自身は五代君と大学が同じ、学部もおそらく同じと思われます。)
大学には鞄の類を持たずに通学する人も少なくない、と思います。
ですから、鞄の有無だけから内部の人間であるか、などの判断をするのもちょっと無理があるように思います。
(2)五代君の通う大学のモデルについて
時計坂の街と同様、大学自体はやはりあくまでも創作であり、特定の大学をイメージしたものではない、と思います。
もちろん個々の建物に関しては別問題で、こちらは具体的なモデルがあったと考えたいです。
(ちなみに時計のついた校舎は他の作品でも使用されています。)
また、特定の大学を念頭において設定された、という立場に基づく場合でも教育学部の有無に拘る必要はないと思います。
なぜなら五代君が教育学部の学生であることが明らかにされたのは、入学してから1年以上も過ぎた後のこと(「三年待って」)であり、当初からそういう設定であったのかどうか、わからないからです。
建物のモデルに関しては、それは東京やその近郊に存在するとは限らないと思います。また、それは大学でないかもしれません。
五代君の大学については、取材写真やその他の資料を元に描いたものとすれば、作者に全く関わりのない建物でもいいわけですから、モデル探しは相当困難を極める可能性があります。
一方では、候補の一つに考えていた日本女子大が、実は八神さんの大学らしいということでしたので、馴染んだ風景を取り入れたという可能性も高いですね。新潟大学は明らかに違うそうです(卒業した方の話)ので、私は一応、高橋留美子先生の活動圏内にあった都心の大学ということで探していきたいところです。
また、五代君が保母試験を受けた時の教室は、実際の早大の一教室だとされていますが、一般的に考えて(まして他大学出身の高橋先生が)写真を撮るような場所ではないことから、関係者に早大出身者がいたとか、何か早大を訪ねる機会があったとかで、あちこちまとめ撮りしておいたものを資料として使っていたということも考えられます。ですから早大も候補の一つとして考えていまし、室内や学食が似ているというのは、仮に早大がモデルの一つだとすれば、あり得ないことではないのかな、と思いました。
いずれにせよ、五代君の大学のモデルについては、s_nさんの情報以前には殆ど情報がなく、特定は容易ではなさそうです。教育学部が根拠にならないだろうというのは同感です。
偶然とは奇なるもので、私は、昭和61年に早稲田大学を卒業しました。
根拠として、次を挙げられます。
(なお、全てコミックによります。私は一度もTV版及びアニメ版を観たことはありません)
【建物】
・第何巻(多分第二巻)か忘れましたが、 彼の大学一年時の大学祭の時の大学構内の描写が、早稲田大学・本部(西早稲田)キャンパスの法・商研究棟(9号館)の屋上あたりから、商学部(11号館)と共通教室棟(7号館)を眺める風景と極似しています。
(なお、実際の11号館は三角屋根があるが、描写の屋根は平坦)
・やはり彼が大学一年時の人形劇の準備をしているとき、教室と建物が描写されています。
その描写は14号館(社会科学部)の建物と小教室に似ています。
私も、大学祭のときにしか、14号館の教室に入ったことがありませんが、室内が非常によく似ています。
(当時の14号館は壊され、新しい14号館の建て屋に建て直されているので、今日現在確認することは出来ない。)
・彼が大学一年時に黒木から人形劇クラブの勧誘を受けた学生食堂は、当時の大隈会館の近くの建物の1階の学生食堂に極似しています。
(但し現在この建物はこわされ、リーガロイヤルホテルになっているので、今日現在確認することはできない)
以上が描写からの根拠です。
他にもいくつか早大キャンパスや建物をアレンジして描写したものが散見されます。
なお、時計塔が真中にある大学校舎が描写されていますが、あれに類似した建物は、早大・本部・文学部・理工学部・高等学院にはありません。
作者は、作品の初期段階では、早大の風景をモチーフにしている部分が多いのですが、後半になるとそれをやめて、時計塔のある校舎ばかり描写しています。
恐らく、早大をモチーフにした風景を描写し続けたら、読者から大学が推定されてしまい、学校名秘密の面白みが失せると作者は考えたのかもしれません。
【受験者数】
・首都圏(それも都内近辺)、私立、教育学部というと創価大学、文教大学、早稲田大学ぐらいです。
この中で、入学受験者数が5300人以上となると、早大教育学部だけです。
(合格発表掲示板の合格者番号リストを見ると人数がわかります)
他の2大学では、教育学部の募集人員数が200人程度で、5300人も受験者数はいないおもいます。
【三流大学?と小林】
・アニメはみたことがないので、わかりませんが、原作では「三流大学」の発言が見あたりませんでした。
(もし、コミックに「三流大学」という発言みたいなものがあったら、その箇所をご教示いただけませんか?)
・三流大学の根拠は、五代の予備校時代からの友人、小林(メガネで、髪がウェーブ)の発言です。
原作6巻PART7で、就職訪問の際、小林は学校名を告げたら、袖にされたと言ったところが巷の根拠となっています。
(場所は喫茶店。登場者は、坂本、五代、小林、氏名不詳者の4名。全員、教科書やかばん類を持っていない。大学の授業の帰りではないと思われる)
しかし、坂本はそのあと「そうだよ」とまるで他人事のように発言しています。これは、「坂本・五代」と「小林・氏名不詳者」の大学が違うことが推察できます。
・五代と同一大学と明らかに確認できるのは次の登場者だけです。
-坂本(五代の入院中、代返をしたりノートを収集していた。)
-黒木(彼女が五代と同一学科であるというシーンがある→人形劇部勧誘の際)
-人形劇部部長
以上の3人ぐらいです。
・小林は、五代と一緒に大学合格発表を見に行っています。
五代は自分の合格を確認していましたが、小林の合格確認の描写はありません。
よってもって小林の合格の是非は不明です。
・小林と五代は1~3年生時に、学内で会う描写は見当たりませんでした。
確か、新宿と思われる繁華街で、坂本と五代が、小林を待っていて、その後小林がやってきた描写はあります。
・小林と五代が学内で会っている描写は、4年生の後半時期(12月頃1回、1~2月頃1回。計2回)しかありません。
その2件も、次の共通事項があります。
-五代は肩掛け鞄を持っている。
-坂本、小林、氏名不詳者の3名
の鞄、テキスト・ノート類は見当たらない。
-会っている場所は食堂。
当時の早稲田大学学生食堂の場合、大隈会館近くの早大学生食堂に学外者が食事をしているところを見受けることが実際にあ
りました。この早大学生食堂では学生証を見せなくても食事ができました。
(但し早大生協食堂(16号館裏)で学外者が食事をすることはない。早大生協組合員証が無いと食事ができないため)
これは、坂本・小林・不詳者3人が遊びかバイトの行く途中又は帰る途中、早大学生食堂に立ち寄ったという説明もできます。
(要は、この3人はこの時授業に出ていないが食堂だけは立ち寄った。)
また、上記の1~2月頃の4人の会合の後、五代は校舎内で黒木に会って後、二人で喫茶店に行きました。
この時、黒木はカバンとノートを持っていました。なお、その際、黒木は何気なくカバンからノートを出しています。
【原作5巻PART12】
・千草家で、五代は響子の母親より、学校名を尋ねられています。
この時、彼は「別に答えられないほど恥ずかしい学校ではない」と思っています。
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これからは、所見ですが、前述の通り作者は、この作品で、実際にある町や大学を想定したりアレンジして描写しています。
また、作者は学校名を秘密にすることで、作品の興味や面白みを増そうとしています。
そのため、余り事実と同じような描写ばかりをしていると、読者に推定されてしまうので、途中から、読者にばれない描写を書くようになったのではないでしょうか。
これが八神さんを欺くための虚言でなく、五代君の大学がそこそこの大学だということは、作中に多くの証拠を見いだすことができます。
○第5話「春遠からじ」の一の瀬さん;「うまくころがりこんでも二流大学が関の山だし」
○同話で五代君の受けた大学が「二流大学」
○第6話「サクラサクカ!?」のばあちゃん;「国立はまずだめじゃろ」
○第8話「惣一郎の影」で響子さんが郁子ちゃんに「いい成績とりたいなら、それなりの人に教わったほうが…」
○第12話「行きがけの駄犬」の一の瀬さん;「ありもしない将来性タテにとって…」
○第113話「チャート式恋愛」の四谷さん;「高三の英語…五代君には無理じゃないですか?」
などなど…枚挙にいとまがありません。
ということで、五代君の大学が早大というのは無理があるのですが、大学のモデルが早大ということであれば、可能性があると思います。高橋留美子さんは漫画家という職業ゆえか、極端に外出を嫌う人らしく、彼女の活動圏内にある大学をモデルにしたんだろうなとは想像がつくからです(もちろんそれでも、絞りきれない程の大学がありますが)。
「一刻館の思いで」でも文教大学と創価大学を候補に上げていますが、私は地理的にも難しいと思っていました。
> 時計台が真中にある大学校舎が描写されていますが、あれに類似した建物は、早大・本部・文学部・理工学部・高等学院にはありません。
ということであれば、後半はまた別の大学をモデルに使ったとも考えられますね。
また、小林君は五代・坂本君と別の大学ではないかとのご意見ですが、上述のように五代君の大学は「三流私大」ですから、同じ大学と見たほうがやはり自然かと思います。
私も、泊まってみたいとは思うのですが結構人気のある旅館らしく予約は7月まであいていないようです。
なので、今回は「むろうや旅館」の方へとまってこちらのほうにドライブするつもりです。
もし、よければ行ってみてください。