柳湘蓮は、自分が婚約を破棄した尤三姐の自刎を目の当たりにし、道士について出奔するという結末を迎えています(第66回)が、曹雪芹の原意では、第81回以降で再登場することになっていたとする説があります。
岩波文庫第8巻の解説で、松枝先生は次のように書いています。
第1回の「好了歌」の注釈に「たとえ厳しく教え導きたりとも、後日手に負えぬ子にならぬとは保しがたし」とある一句の脂評に「柳湘蓮ら一群の人を指す」とある。とすれば、湘蓮は後に緑林の徒になったのであろうか。
緑林の徒とは、山賊強盗を渡世とした輩(つまり盗賊・匪賊)のことです。
探佚学により柳湘蓮は出家後に緑林の徒となったものと推定したのは周汝昌氏(「紅楼夢新証」)であり、さらに梁帰智氏は、湘蓮は緑林の徒となったのち、尤三姐の仇に報いんとして、同じく尤二姐の仇に報いようとする張華と手を結んで煕鳳に復讐を果たすという独自の推論を展開しています(「紅楼夢懸案解説」より)。
しかし、太虚幻境に還った尤三姐と、道士に導かれて仙界に戻った柳湘蓮がついに結ばれるという結末がもっとも美しいことから、湘蓮の再登場はないとする考え方もあります(私もこの意見に賛成です)。
「曹周本」では、江南に向かう途中で窮地に陥る煕鳳と鴛鴦を湘蓮が救い、鴛鴦と結婚するという展開を見せましたが、さて「紅楼夢新補」ではどうなるのだろう?(まだまだ先でしょうが...)
こんばんは。
本家のHPでこのブログについて拝見しお邪魔させていただきました。更新を楽しみにしております。
先日読んだ「紅楼夢と王国維」という本で、柳湘蓮について、80回以後に登場し元春を殺すという説が紹介されていました。80年代のドラマでも80回以後にあたる部分で、彼が船が難破した宝玉とたまたま出会い救う、という話が出てきたように思います。
まとまりませんが、柳湘蓮の最後について興味があるのでとても楽しく記事を読ませていただきました!