紅楼夢関連書籍の最近のブログ記事

デジタル書店グーテンベルグ21から幻の書であった世界文学全集第3巻 紅楼夢(富士正晴・武部利男氏訳)が電子書籍で販売されています。私も未見でしたので早速購入して読み始めたところですが、抄訳とはいえ、他の名場面中心にまとめて端折ったものとは異なり、話を飛ばすことなく(回は原作と同じ)まとめている印象です。

http://www.gutenberg21.co.jp/kouroumu.htm

電子書籍になじみのない方も多いと思いますので、若干説明させていただくと、専用の電子書籍端末を購入しなくても(購入すれば持ち運びできますが)、PCで見ることができます。購入後(クレジットカードか電子マネー、楽天会員の方は楽天での支払いもできます)に専用ソフトをダウンロードすればすぐに見られます。詳しくはグーテンベルグ21のトップページ(↓)をご参照ください。

http://www.gutenberg21.co.jp/index.html

book019.jpg昨年11月に刊行された合山先生2冊目の紅楼夢専著です。ようやく読了しましたので紹介します。
タイトルがタイトルだけに恐る恐る読み始めたのですが(^^;、合山先生は本気でした。

性同一障碍害は日本でも近年知られるようになりましたが、当時も認知されていなかっただけで障碍者はいたはず → 宝玉の風変わりな言動や志向は、彼が性同一障碍者だったとすれば合理的に解釈できるのではないかという仮説から、作中の描写を性同一性障碍の診断基準に照会したり、実際の障碍者の方や医療関係者に意見を伺ったりしながら推察されています。

例えば、宝玉が少女を賛美し、交じって遊ぶのを好み、一緒に暮らす女性たちに性欲を示さず、女性の持ち物や化粧に強い嗜好を示すのは宝玉の内なる性が女性であるためであり、宝玉のモデルである曹雪芹こそが性同一性障碍者であり、宝玉が立身出世や社会との交わりを嫌い、最後に出家するのは性同一性障碍による社会不適合性を意識した結果であり、紅楼夢の執筆動機つまり非現実的な大観園を作中に出現させたのは、当時社会に認知されていなかった障碍者として現実の苦悩や悲嘆から脱却することを願ったものという具合です。

紅楼夢の執筆動機は一般には取り潰しにあった自家の冤罪をそそぐために書かれたものとされていますが、合山先生は作中で家中の悪事を暴露したり、元春の省親や大観園での生活など全く現実性のないものを描く理由にはならないことから、これには全く反対しています。

前作の「紅楼夢新論」で紅楼夢の仙女崇拝小説であると発表された時には、伊藤先生も執筆動機として成り得ないとして反対されていましたが、今回の説が広く認知されるかは正直疑問ですが、相当の説得力を感じました。まだまだ紹介の足りない部分がありますので、是非御一読をオススメします。
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『紅楼夢』―性同一性障碍者のユートピア小説
刊行 2010年11月
著者 合山究(九州大学名誉教授)
出版 吸古書院
定価 7000円+税

曹雪芹小伝

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book018汲古選書「曹雪芹小伝」は周汝昌氏の同著の日本語訳版で、本年7月に汲古書院より刊行されたものです。訳者の小山澄夫先生のあとがき等によれば、本書の発刊までは相当な難産だったらしく、最初に中央公論社から刊行されるはずだったのが、同社の読売新聞社への吸収合併により白紙に戻り、長いお蔵入り期間を経て汲古書院から刊行された経緯があるそうです。周汝昌氏の序文が書かれたのが1989年、伊藤漱平先生の跋文が書かれたのが2007年となっていますから、それだけでも相当な期間を経ていることが分かります。

邦訳にあたって補注も大きく書き足されており、私も先月購入し、勉強しながら読み進めております。

http://www.kyuko.asia/book/b71733.html

8月下旬にツアーで中国東北部を歩いてきました。今回は紅楼夢関連の場所には行けませんでしたが、合間に買ってきたグッズについて書いておきます。
また、上半期に当当網で購入した書籍から、画集について紹介しておきます。

まず、大連の新華書店で紅楼夢ゲーム第2弾の初回限定版を購入しました。当当網では売り切れ、卓越網では海外発送できず、なので私には中国で買うことしか思いつきませんでした。これで設定攻略集が手に入りましたので、整理しながらゲームを進めてみたいと思います。

book017同じく大連の土産物屋で紅楼夢のトランプ(皇城根系列珍蔵撲克)を購入しました。50元でした。いずれ人物図解のほうに入れておきます。

当当網からは「唯美人物插画絵制技法-紅楼夢中人之十二金釵」(人民郵便出版社)と「滕少泉工筆人物画集」(中国文聯出版社)を購入しました。前者(左の写真)はパソコンCGによる人物画の描き方に関する本ですが、対象が金陵十二釵になっています。とても美麗です。
後者は滕少泉氏の画集で半分以上が紅楼夢に関するものとなっています。原価も320元と高価ですが、大きさも重量もなかなかなので、訪中時に購入するのも難しそうです。

book01610年以上前から探していた君島久子さん訳の「中国文学名作全集8《奥野信太郎編集》紅楼夢」(盛光社)をついにネットで見つけて購入しました。児童書と聞いていましたので、もっと薄い本かと思っていましたが、全252頁の厚手の本でした。

とりあえず感想です。
宝黛釵の主要なエピソードから20余りを抜粋して順に羅列したという感じです。他の抄訳本が1冊に詰め込むために前後のエピソードを交錯させたり、回想シーンを入れたりと構成上の工夫をしているのに対し、この本は、入らないものは無理に入れないというスタンスのようです(^^; また、前80回と後40回が分量的には半々です(中盤はすっぽり抜けています)。
雨村も可卿も劉婆さんも尤姉妹も登場せず、湘雲・惜春・妙玉・平児などは一瞬で終了です(^^;

正直、他の抄訳本に比べると物足りないですが、対象は「小学校高学年~中学生」という画期的なもので、訳はやわらかく、文章も平易で読みやすかったです。
また本書は、切り絵作家・滝平二郎氏のイラストがふんだんに使われており、こちらも見物です。

ネットでも滅多に見つからない幻の本ですが、図書館には置いてあるところもあるそうです。

book015  書虫で「彭連煕 紅楼夢群芳図」を購入しました。今年1月に出版されたばかりの本です。

 紅楼夢オンリーの画集で、金陵十二釵ら22名の人物画と「芙蓉女児誄」などの場面画からなっています。出版社は天津人民美術出版社、値段は38元(書虫は2,460円)です。

彭連煕氏はもともと神話や古典に題材をとった人物画を多く手がけているようですが、突筆すべきはその緻密・繊細な美しさ。A3版の大判本ですが、それでもかなり縮小されているのでしょう。

とにかく美麗です。お勧めの本と申し上げておきます。
book014  芦辺拓氏の「紅楼夢の殺人」を久々に再読しました。
この本のあとがきにも書かれているのですが、芦辺氏は執筆に当たって本サイトを参考にしていただいた(たぶん人物や項目の検索・整理に利用いただいたのだと思いますが)そうで、2004年の発刊の際にはお礼として本書を寄贈いただきました。このような個人的なサイトが多少なりともお役に立てたことはいまだに光栄に思っています。

2007年に単行本化された際にはすぐに購入しましたが、井波律子先生の解説などには何度も目を通していたものの、本文は数年ぶりに読み返してみた次第です。すでにいろいろな方が書評を書かれていますが、私もあらためての感想を述べてみます。

物語は元春妃の省親に始まり、宝玉と姉妹たちが入った大観園で次々に不可解な殺人事件が引き起こされ、頼尚栄と宝玉が謎の解明に立ち上がるというストーリーです。基礎となる場面設定や再構成されたエピソードなどには紅楼夢の世界観が緻密なまでに再現されており、大半を占めるオリジナル部分も違和感なく読むことができます。紅楼夢を知らない方には人物関係を理解するまではやや骨が折れるかもしれませんが、テンポもよく、すぐにぐいぐいと引き込まれていくことを受け合います。

宝玉の性格を改変せざるを得なかったところは違和感を覚える紅楼夢ファンがいるかもしれませんが、最後の謎明かしに続いて明らかになる(紅楼夢ならではの)核心部分にはやはり圧倒されます。芦辺氏が長い構想期間と周到な下準備のうえに苦心して生み出した作品というのも頷けます。中国に「公案小説」なるものがあったことも本書で知りました。

この書を機会に原作を読んでくれる方もいるようですし、紅楼夢に関する質の高い二次作品を世に出したいただいた芦辺氏には、日本における紅楼夢の知名度アップを願う一ファンとして本当に感謝しています。
book013斜め読みで恐縮ですが、「夢続紅楼」を読了し、簡約「夢続紅楼」を終えました。熱が冷めないうちに感想などを。

序文によれば、作者の胡楠女史は12歳で紅楼夢を読み、15歳で続作を書き始め、27歳で三稿を経て出版に至ったそうです。紅楼夢の続作者としては最年少であり、内容も極めて成熟したものであると紹介されています。

おそらく現代版の続作に共通していると思いますが、ストーリー展開や各人の結末は探佚学に基づいたものになっています。「曹周本」と「夢続紅楼」に限っても、香菱・迎春の死、黛玉の死と宝釵との結婚、探春の遠嫁、襲人の結婚、元春の死、惜春の出家、寧栄府の破滅、獄神廟、煕鳳の死、巧姐の受難、賈蘭の科挙及第、宝玉の貧窮と出家、警幻情榜といった展開はほぼ共通です(細部は相当に違いますが)。

ただし、そこに至る過程や間隙、探佚学でも諸説分かれる事項については作者の腕の見せ所といった感じで、現行本では生かし切れなかった伏線を上手に拾ってまとめており、いくつもの仕掛けが用意されていて楽しめました。

例えば、曹周本・夢続紅楼ともに宝玉が家を留守にしている間に黛玉が亡くなっています(テレビドラマもそうでしたね)が、「曹周本」では、黛玉は賈母が宝玉との結婚を考えていることを知らされますが、その後、宝玉と宝釵の結婚について元春妃のお声がけがあり、やむなく「甄」宝玉と結婚させられることを知って絶望して亡くなります。「夢続紅楼」では、趙氏が宝玉を陥れるために馬道婆と謀って、黛玉や侍女らとの淫行の噂をばらまき、ついには皇帝の耳に入って、宝玉は問責のため帰郷を命じられ、これを聞いた黛玉が潔白を証明するために死を決意する、という展開になっています。

「夢続紅楼」は「曹周本」より回は少ないのですが、逆に内容は凝縮されている感じでした。また、時に表れる女性らしい(というか少女らしい)描写が印象に残りました。
簡約の各回紹介と年表でおおよその内容はお分かりいただけるかと思いますが、いつの日か抄訳にも挑戦してみたいです(「意訳曹周本」が終わってからですね...)。

井波律子先生の「中国の五大小説(下)」(岩波新書)が3月19日に発刊されます。Amazon.co.jp、紀伊国屋BOOKWEBなどで予約が始まっています。
既刊の上巻(昨年4月刊)では三国志演義と西遊記を、今回の下巻では水滸伝・金瓶梅・紅楼夢を扱っています。

紹介文によれば「一度は通して読んでみたかったあの物語を、練達の案内人と共に楽しむ。講釈師演じる「語り物」から生まれた中国の白話長篇小説には、他に類を見ない面白さが満載。とりわけ五大小説を読むことは、まさに「小説」が生まれ成熟してゆく歴史に立ち会う、限りなく魅惑的な経験に他ならない。読後は原作に手がのびること請合い」 とのこと。

私も併せて購入するつもりでしたので未読ですが、物語紹介+作品論が展開され、原書の面白さを伝える書になっているとのことです。

「要訳紅楼夢」を手がけた王敏さん(法政大学教授)のインタビュー記事です。

日本で活躍している王敏さん(中国国際放送局)
http://japanese.cri.cn/1021/2009/02/20/1s135658.htm

要約紅楼夢の書評です。一つ気になったのは...紅楼夢って「読破した人が少ない作品として知られている」んでしょうか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090209-00000097-scn-cn

book012以前購入した「色は匂へど―『源氏物語』と中国の情艶文学」をやっと読んでみました。上智大学比較文化学部の教授である吉田とよ子先生が書かれたものです。

第1部は源氏物語と中国小説のヒロインの比較、第2部は源氏物語と紅楼夢の比較となっています。分量的には第1部が2/3を占めています。

で、源氏物語と紅楼夢の比較についてですが、「直接の影響関係」はないと前置きしながら、新奇性・艶の世界・悲運・シンボリズムといった類似点があると論じています。紅楼夢の概説に続いて各論となり、光源氏と賈宝玉、紫の上と林黛玉、六条院と大観園とを対比させて論じています。機会があれば読んでみてください。

ひとつ難点を言えば、宝玉をめぐる女性関係という観点から、黛玉の悲劇性を際だたせるために、宝釵はライバルの彼女を陥れるために徹底的に策をめぐらす悪女であったように述べているのは同意できませんし、湘雲や襲人などに対する一面的な見解も肯えません。中国のかつての紅楼夢観を思い出してしまいました。

新編・紅楼夢

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book004 1958年に春陽堂書店から刊行された石原巌徹氏の「新編・紅楼夢」をオンライン書店で先日購入し、ようやく読了しました。ちなみにこの本は、紅楼夢関連の古書では、ネットでも比較的入手しやすい部類に入ると思います。表紙と挿絵は棟方志功氏によるものです。

 ちょうど50年前に書かれた紅楼夢抄訳本であり、当時は中国で紅楼夢研究批判(紅楼夢論争)が始まって間もない頃です(奥野新太郎先生のあとがきでも触れられています)。
 そんなこんなで感慨に浸りながらページを紐解くと、「~ですヮ」「~なのョ」などの表現に時代を感じつつも、訳文は意外にも軟らかく、本文中には適度に補完(改変も多々ありますが(^^;)もされていて読みやすいものでした。

 個人的な印象ですが、先日刊行された同じ抄訳本の「要訳紅楼夢」は、回想や挿入話でなるべく多くのエピソードを盛り込もうとしていたのに対し、こちらはあまりつまみ食いせずに、宝黛絡みの主要なエピソードのみを時系列で並べて、あとはばっさりカットといった感じです。編訳のしかたによって随分変わるものだなぁと思いました。

 松上さんは「紅楼空間」で「智能児、万児、多官などが登場するのに詩社の話がほとんど出てこないという編訳の仕方に好き嫌いが分かれるかと思います」と述べていますが、これは私も同感です。ただし、同じように中盤をカットした「要訳紅楼夢」ではあまり印象に残らなかった人物たちが活躍しているのは逆に面白いと思いました。

  book003のサムネール画像先日講談社から発刊された王敏著「要訳紅楼夢~中国の「源氏物語」を読む」をさっそく買ってみました。

てっきり書き下ろしだと思っていたのですが、「本書は、自民党発行の女性のための政事情報誌「りぶる」2004年4月号から2006年3月号まで、24回にわたって連載したものに、加筆・修正したものです」とのこと。おっと、機関誌連載だったんですね。どれほどの人が読んでいたのでしょう。

内容は要訳の名にふさわしく、原作に極めて忠実で、オリジナルのエピソードなどは入っていません(ちょっとだけ気になる改変がありましたが)。主要なエピソードのみを追いながらも、回想や挿話などで他のめぼしいエピソードについても逐次挿入されており、1冊で紅楼夢全般についてよくまとめています(序盤と終盤のエピソードが主体になるのはやむを得ないのでしょうが)。

ただ、やはり紙面の限界は感じられ、抜け落ちたエピソードも多いですし、主要人物以外はほとんど印象に残りません。一度読破した方には非常に良い本だと思うのですが、全くの初心者で何の予備知識もない方だと、果たしてどの程度理解できるものなのでしょうか。

私は出張の行き帰りに読了しましたが、テレビドラマや続作本などでいろいろな結末を見てきたため、オリジナルの81回以降に触れるのは久しぶりで、なんだか新鮮でした(^^; そういえば賈芸って各種の続作の影響で、すっかり快男児っていう印象を持っていましたが、現行の続作では巧姐の売り飛ばしに手を貸す小者にすぎないんだっけ...

芦辺拓氏の「紅楼夢の殺人」が翻訳され、「紅楼夢殺人事件」として中国でも刊行され(書虫でも購入できます)、中国国内で賛否両論を巻き起こしているようです。この小説については既に読まれた方も多いと思いますが、大観園で巻き起こる連続殺人事件に対し、宝玉が探偵役としてその真相解明に挑む、という推理小説です。

反対意見としては、中国の至宝に対する冒涜だ。清浄な大観園に血生臭い殺人事件を持ち込むことは紅楼夢の思想に反するものだ。源氏物語をホラー物に改変すればいいものを!などというものです。
賛成意見としては、人物の性格づけや背景は原書に添っており、作者は中国文化を汚すつもりはない。外国人作家によって紅楼夢が「発揚」されたことは評価すべきだ、といったようなものです。
出版社では日本では殆ど知られていない紅楼夢を、日本人が好む推理小説という形で出した普及本のようなものだとも述べています。

これまでにも、フジテレビ系でドラマ化された西遊記が中国文化を侮辱しているとしてバッシングされたり、三国志や紅楼夢を題材としたと思われるアダルトゲームがネットで叩かれたりしていました(叩かれて当然ですが)が、これらについては、インターネットの普及により両国の距離が近づいたからこそ起こり得た問題とも言えるんですよね。

↓元ネタはこちら(中文)。ほかにもあちこちにあります
改编作《红楼梦杀人事件》表达敬意还是糟蹋名著
谈谈日本辱华小说《红楼梦杀人事件》

↓日本語で記事を読みたい方はこちらを
http://www.gesomoon.org/modules/weblogD3/details.php?blog_id=974

book003先日書虫で購入した本ですが、2006年11月に出版されたようです。内容はもりだくさんで、紅学(版本、曹学)、人物、主要場面、詩の解説、用語解説などが図(絵画本、剪紙など)や写真をふんだんに使って掲載され、付録として「87版電視劇」から十二釵などの写真がのっています(ちなみに「人物図解」で使った陳暁旭さんの写真はこちらから採りました)。
全255Pで字が大きいので、各専門辞書に比べれば収録内容はずっと少ないのですが、その分コンパクトにまとめられていておすすめの一冊です。

なお、久々に書虫を使いましたが、注文画面で「中国から直送」を選ぶと、これまでより若干安く買えるようになりました(しかもカード払い可)。その分時間がかかるのかなとも思いましたが、これまでと数日と違わずに北京からの段ボール箱が届きました。

001だいぶ以前にほーめいさんからいただいたテレビドラマの写真本「大観園-電視劇《紅楼夢》画冊特輯」 に載っていた欧陽奮強さんの写真です。

ほーめいさんが「賈宝玉役の欧陽奮強さんは、いがぐり頭の兄ちゃんで笑えます。やっぱりかつらのせいなんでしょうね」と言われているとおり、扮装した宝玉とはかけ離れたイメージですね(^^)

新版紅楼夢での宝玉役が難航しているのも、ひとえに彼の宝玉役があまりにハマっていたためでしょう。13歳の張君鈺クンが子供時代の宝玉を演じる可能性が高いのではないかと言われていますが、彼も確かに欧陽奮強さんに似ています。
ちなみに張君鈺クンも欧陽奮強さんと同じ四川省出身とのこと。

日本紅学史稿

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book002去年の訪中時に、北京図書大厦で購入したものです。
著者は孫玉明氏で、2006年11月に北京図書出版社から出版されたものだそうです。
日本における紅楼夢の伝来から近年の研究状況まで、時代を追いながら実に丹念に描かれています。
また、付録として「日本《紅楼夢》研究論著目録」と「《紅楼夢》日文訳本一覧表」が掲載されています。
私のサイトで日本の紅学について紹介した際に、伊藤漱平先生の著書ともども参考にさせていただきました。
個人的には大高巌氏や松枝茂夫先生、伊藤先生の写真が収録されていたのがお気に入り(^^)

ちなみに
中国の大きな書店では、古典文学のコーナーとは別に「紅学」のコーナーがあって、紅学家の方々の専著がずらりと並んでいるのが嬉しいかぎりです。
ちょうど劉心武氏の「劉心武掲秘紅楼夢」の第三部が刊行された後でしたので(ベストセラー書にも並んでいました)、第一、二部ともども平積みになって売られていました。

私版・紅楼夢

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book001.jpg先日、古本屋のネットを利用して飯塚朗先生の集英社版世界文学全集「紅楼夢」全3巻と「私版・紅楼夢」を購入しました。

このうち、「私版・紅楼夢」は、飯塚先生が昭和23年に大阪国際新聞に執筆されたもので、30年以上たった昭和57年になって刊行されたものです。残念ながら現在は入手が難しくなっています。

宝・黛・釵の恋愛模様を中心に紅楼夢のあらすじをなぞっているのですが、細部や人物描写、後半の展開などは原作と大きく異なる点が多く、かなり面食らう部分が多かったです。

例えば、賈赦が妾に求めるのが鴛鴦でなくて襲人だったり、晴雯が王夫人に食ってかかったり、薛蟠が宝玉や宝釵を諭したり、香菱が賈蓉と駆け落ちしたり、とどめに賈雨村が実は曹雪芹だったりといった感じです。

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