旅行報告・その2

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栄国府に関して、出発前に夕陽さんからいただいた質問の報告です。
結論からいえば、よく分かりませんでしたm(__)m

質問は次のものでした。
《紅楼夢》第3回で黛玉が栄国府に入った時に目にした建物の中で"两边厢房鹿顶耳房钻山"というのがありますけれど、"鹿顶"という屋根は実際にどんなものなのか

まず、確認になりますが、
「两边厢房鹿顶耳房钻山」は作中における栄禧堂の描写で、左右の廂房+鹿頂耳房+鑚山があることを示しています。廂房は正房の左右に直角に建てられる棟、耳房は正房の両側にある小室、鑚山(=穿山游廊)は正房と廂房を結ぶ渡り廊下です。

で、問題の「鹿頂」ですが、紅楼夢鑑賞辞典や紅楼夢語言詞典によれば、平頂(平屋根)の耳房のことを鹿頂耳房というようです(ただしネットで調べると違う解釈もあるようです)。つまり私に課せられた課題(^^;は、「正定栄国府で栄禧堂の耳房の屋根はどうなっているか」ということになりますね。

trip02  ということで、左の写真をご覧ください。
奥にあるのが栄禧堂の正房、右にあるのが耳房で、手前左が穿山游廊です。写真の左側に東廂房があります。位置関係はよろしいですね?

trop03   次に、
左の写真は賈政書房まで進んで見た耳房なのですが、どう見ても他の建物と同じ屋根のようです。平屋根とはとてもいえませんね。
つまり、「正定栄国府の栄禧堂の耳房の屋根は、他の建物の屋根と同じ」というのが今回の回答になります。

ただし、栄国府の紹介サイトでは「鹿顶耳房的格局(鹿頂耳房の構造)」と書かれていますので、鹿頂そのものの解釈が違っているのかもしれません。

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コメント(2)

平山さんへ
私の質問に関心を持って調べて来て下さり、本当に心から感謝申し上げます。 “鹿頂”は《红楼梦语言词典》では“平顶小房”とあり、 “平顶”は中日大辞典では、“平な屋根”とあったので、4年前に栄国府に行ったとき、平な屋根の小さい建物がないかとキョロキョロと見回したのですが見つかりませでした。中国人のガイドさんに“鹿頂は?”と聞くと、あれだと指差してくれたのですが、どう見ても他の屋根と同じ形でした。それで“鹿頂”というのは、平らな屋根なのではないのかも知れないと思ったのですが、《紅楼夢大辞典》を見ますと下のように書かれています。(翻訳能力が不足している私には理解できませんです。)文中の“lu”は、上が录、下が皿で成り立っている漢字です。(辞書を引いても見つからないので)

鹿顶∶正字应写作lu(录+皿) 顶。该词语首见于宋《营造法式》卷十一《转轮藏、经匣》条,该条形容 lu顶的形象为一中间平、四边坡的四角椎台。元•陶宋仪《缀耕录》称lu 顶为∶“lu 顶之顶三椽,其顶若笥之平,故名。”及至清代,lu 顶之词义已有所转化,震钧《天咫偶闻》卷十称北京内城住房时说∶“内城则院落宽阔,屋宇高宏。……上房之巨者,至于殿宇大。房东西必有套房,名曰耳房,左右有东西厢,必三间,亦有耳房,名曰lu 顶。”因此,曹雪芹笔下的lu 顶,应该就是这种采取平顶形式的、厢房的套间耳房。

“鹿顶”というのは、もしかしたら屋根の形ではなくて、正房・厢房を連結している耳房の事かなぁと思いました。

紅楼Wikiでも、鹿頂について
1.指东西房和南北房连接转角的地方。
2.借指厢房。(1.東西房と南北房が繋がって角度を変える所、2.廂房のこと)となっています。

たしかに栄禧堂の耳房(栄禧堂に限りませんが)は正房と廂房がぶつかる場所にありますから、ここを鹿頂といい、鹿頂にある耳房=鹿頂耳房ということなのかもしれませんね。

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このブログ記事について

このページは、平山が2008年9月30日 21:49に書いたブログ記事です。

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