曹雪芹記念館(植物園)へのバスは「西直門内」、大観園へのバスは「北京駅東」から乗りましたが、バス停の場所は以前に比べて分かりにくくなりました。
というのも、以前は主要なポイントになるバス停でも比較的固まって配置されていたのですが、交差点の再開発によって分散され、同じ名前のバス停でもずいぶん場所が離れていたりするからです。地下鉄の改札前にある地図にバス乗り場が描かれていますので、地下鉄からバスに乗り継ぐ場合はバス停を確認してから地上に出ないと迷います(^^;

少し余談になります。北京の交通事情についてです。
私はバックパックをしていたこともあって、海外旅行の際にタクシーを使うことは殆どなく、もっぱらバスや地下鉄を使っているのですが、混雑や言葉の問題、治安などへの不安から抵抗を示す人も多いようです。
ただ、北京の交通は、オリンピックを経て格段に便利になっており、日本以上に容易に利用できるようにもなっていますので、今後訪れる機会のある方は積極的に利用していただきたいと思っています。

trip06  まず、バスや地下鉄で利用できる「一卡通」というIC式プリペイドカードが2006年5月から普及しており、小銭を持ち歩く必要がないことやバス料金が6割引(1元→0.4元)になることなどから、北京市民には既に常識になっています。旅行者にもメリットがありますので、北京で自由に動く予定があるのでしたら、是非とも購入しましょう。
地下鉄の切符売り場やコンビニで購入でき、保証金20元(返却時に戻ってきます)+チャージするお金を渡せば即時発行してくれます。追加でチャージする場合も簡単です。

trip07  バスは乗り口にリーダーがあり、乗る時にカードをかざせばOKです(郊外に行く1元を越えるバスの場合は降りる時にもかざして精算しますが、利用機会はないでしょう)。「一卡通」を持っていない場合は車掌にお金を払うか、料金入れに入れます。次のバス停を示す車内表示もありますので、昔のように何番目のバス停か指折り数える必要はなくなりました(^^;
主要なバス停には交通指導員がいましたし、乗り口から乗って順にカードをかざさないといけないため、昔から問題になっていた、バスの入口に群がる乗客の姿は全く見なくなりました(^^;

地下鉄はオリンピック前に3路線が新しく開通し、一律2元(エアポートエクスプレスを除く)に値下げされました。荷物のX線検査を受けてから、日本のように改札でカードをかざせばOKです。
今後も路線が順次拡大していく予定ですので、旅行者の利用価値もますます上がると思います。

最後にエアポートエクスプレス「機場快軌」について。空港と東直門を結ぶ「機場快軌」の開通(料金は25元)により、空港から市内まで地下鉄乗り継ぎで行けるようになりました。ホテルの場所によってシャトルバス(16元)と使い分けるといいでしょう。

2日目は曹雪芹記念館に出かけました。
北京の市街地は年々拡大していますが、香山が近づくと以前と変わらぬのどかな光景が近づき、何だかホッとしました。

曹雪芹記念館は9年ぶりでしたが、2001年と今年、2回の大きな改修を経て、大きく様子が変わっていました。特に今年は、半年間の修繕期間を経て6月28日にオープンしたばかりとのことでした(オリンピックの関係もあるのでしょうか)。

trip05  展示内容も依然と比べて充実していましたし、売店も併設されて紅楼夢関連の書籍やグッズを購入することができました。

なお、今回の更新で加える予定ですが、記念館設置の来歴について記しておきます。

曹雪芹が晩年を北京西郊の西山で過ごしたことは、彼の友人(敦誠・張宜泉ら)の詩に記されていましたが、1971年4月に香山の正白旗村39号にある旧屋(もとは清代の旗営)で壁に書かれた詩文(対聯)が見つかり、曹雪芹の旧居ではないかと注目を集めました。実は、これに先立つ1950年代、紅学者の呉恩裕氏が香山一帯で曹雪芹に関する伝承を収集しており、曹雪芹の友人の鄂比が彼に贈ったとされる詩文に酷似していたためでした。

紅学者の呉世昌氏の鑑定により、この詩文は曹雪芹とは無関係と断定されましたが、その後も胡徳平氏らによって曹雪芹の旧居が香山にあったという一定の考証がなされ、1984年4月にこの旧屋を中心に曹雪芹記念館が設立されました。

栄国府に関するまとめです。
北京~石家荘間の交通はやはり新幹線「和諧号」が便利です。現在は一日10便ほどですが、今後は増便されていくものと思います。
日帰りで石家荘を訪れる場合、現在のところ、北京西駅発の和諧号は、朝6時台と9時台にそれぞれ2本ずつ出ているものが利用できます。帰りは石家荘駅を17時代に2本出ているものに乗る必要があります(その後は21時台までありません)。

ということで、現在のダイヤでモデルケースを考えてみますと、
 北京西9:29→石家荘11:31(和諧号D565)
 昼食(30分)
 石家荘駅12:20頃→正定汽車站(201路バス)
 正定汽車站→栄国府13:20頃(1路バス)
 栄国府観光13:30~14:50
 栄国府→隆興寺(1路バス)
 隆興寺観光15:00~16:00
 隆興寺16:00頃→正定汽車站(1路バス)
 正定汽車站→石家荘駅17:00頃(201路バス)
   石家荘17:35→北京西19:32(和諧号D572)trip04
といった具合になります(正定県に行くのであれば隆興寺(左の写真)は必見です)。丸一日コースですね。

観光に要せる時間は3時間となり、栄国府と隆興寺だけを見るのなら十分ですが、趙雲廟を加えたいのであれば、できれば昼食は行きの和諧号内で済ませておきたいところ。
また、6時台の和諧号で出発できれば、広恵寺、天寧寺、開元寺などの古刹にも足が伸ばせそうです。

栄国府に関して、出発前に夕陽さんからいただいた質問の報告です。
結論からいえば、よく分かりませんでしたm(__)m

質問は次のものでした。
《紅楼夢》第3回で黛玉が栄国府に入った時に目にした建物の中で"两边厢房鹿顶耳房钻山"というのがありますけれど、"鹿顶"という屋根は実際にどんなものなのか

まず、確認になりますが、
「两边厢房鹿顶耳房钻山」は作中における栄禧堂の描写で、左右の廂房+鹿頂耳房+鑚山があることを示しています。廂房は正房の左右に直角に建てられる棟、耳房は正房の両側にある小室、鑚山(=穿山游廊)は正房と廂房を結ぶ渡り廊下です。

で、問題の「鹿頂」ですが、紅楼夢鑑賞辞典や紅楼夢語言詞典によれば、平頂(平屋根)の耳房のことを鹿頂耳房というようです(ただしネットで調べると違う解釈もあるようです)。つまり私に課せられた課題(^^;は、「正定栄国府で栄禧堂の耳房の屋根はどうなっているか」ということになりますね。

trip02  ということで、左の写真をご覧ください。
奥にあるのが栄禧堂の正房、右にあるのが耳房で、手前左が穿山游廊です。写真の左側に東廂房があります。位置関係はよろしいですね?

trop03   次に、
左の写真は賈政書房まで進んで見た耳房なのですが、どう見ても他の建物と同じ屋根のようです。平屋根とはとてもいえませんね。
つまり、「正定栄国府の栄禧堂の耳房の屋根は、他の建物の屋根と同じ」というのが今回の回答になります。

ただし、栄国府の紹介サイトでは「鹿顶耳房的格局(鹿頂耳房の構造)」と書かれていますので、鹿頂そのものの解釈が違っているのかもしれません。

24日に北京より帰国しました。
紅楼夢関連施設の調査旅行も今回で5回目となりますが、今回は主に以下の点を目的としました。

(1)正定栄国府
・石家庄市への長距離バス利用についての調査
・昨年まとめたレポートの再チェック
・昨年訪問できなかった箇所(鳳姐院や賈政院など)の調査
・本ページでパクれそうな(^^; 資料のチェック
(2)北京曹雪芹記念館
・レポートの9年振りの更新
・本ページでパクれそうな(^^; 資料のチェック

まず石家庄への長距離バスの利用についての報告です。
上記のとおり、石家庄市へは行き帰りとも長距離バスを利用しましたが、結果として、あまりお勧めできません(^^

 trip01

六里橋長途汽車站

デメ リットとして以下の3点が挙げられます。
(1)六里橋長途汽車站までの交通が不便なこと
公共機関を利用する場合、地下鉄「公主墳」駅でバスに乗り換え、「六里橋南」で下車し、徒歩で約5分ということになります。
バスを降りると看板も何も目印がない(これが困ります)のですが、バスが来た方向にちょっと戻り、最初の道を西側に250m行った先に、立派な汽車站の建物が現れました。
私は北京駅前のホテルに投宿していましたが、地下鉄北京站駅から汽車站まで1時間強を要しました。さすがにタクシー利用が無難かと...

trip02

石家庄汽車站

2)所要時間が余計にかかる場合があること
里橋汽車站と石家庄汽車站間は片道3時間半となっており、行きは3時間40分で到着しましたが、帰りは石家庄市内のラッシュにぶつかり、4時間半かかりました(往復8時間はキツカッタ(^^;)
このため、天候や交通事情によっては予定通りに到着しない可能性があります。

(3)座席が窮屈なこと
車内は日本の観光バスと同じで、エアコンもテレビもついていてそれなりに快適なのですが、新幹線(和諧号)に比べるとさすがに座席は窮屈です。

ただし、メリットもあります。
(1)すぐに切符が買えること
火車利用の場合、乗車直前に切符を買おうとすると切符売り場の長蛇の列に並ばないといけません。平日は比較的緩和されるとのことですが、国慶節前の休日に並んだ昨年は1時間近くも待たされました。急ぎの場合は前日までに往復で買っておいたほうが無難です。
これに対し、汽車利用の場合は、ほとんど待たずに切符が買えます(ただし、発車間際のバスは発券中止になるようですので、すぐに乗れるとは限りません)。

(2)本数が格段に多いこと
北京西站と石家庄を結ぶ新幹線(和諧号)もそれなりの本数が出ているのですが、日帰りで利用しようとすると、現在のところ、行きは6時台の2本と9時台の2本のみで、帰りは17時台の2本と21時台の2本のみです(特快や快速は多数あり)。
これに対し、六里橋~石家庄間のバスは6時から19時30分まで平均30分に一本出ており(ただし間隔は時間帯によって変わるようです)、時間の制約を受けずに観光できそうです。

ちなみにこの日の私の行程をご紹介すると
6時にホテルを出て7時すぎに六里橋汽車站へ。7時50分発のバスに乗り、11時半に石家庄汽車站に到着。12時半から15時まで栄国府の調査をし、趙雲廟と興隆寺を観光して17時半に石家庄汽車站に戻る。18時発のバスに乗り、22時半に六里橋に到着。ホテルに戻ったのは23時すぎでした。

このところ仕事に忙殺されていましたが、来週夏休み?を取って4泊5日で北京に行ってきます。先週やっと日程を決めて航空券を予約したばかりで、昨日と今日はホテルの予約、バスや地下鉄の路線確認、国内移動の手配などをしていました。しかし、燃油サーチャージ料金の高騰やオリンピックに伴う物価上昇に伴い、日数は昨年と同じでも費用はずいぶんかさみそうです。

滞在は実質3日間ですが、北京大観園、曹雪芹記念館、正定栄国府の再訪に一日ずつ当て、オリンピック関連施設の見学やグッズ収集にも走り回りたいと思っています。また、石家荘市へは今回は長距離バスで行ってみる予定です。

パラリンピックも17日に終わるので、観光地の混雑や移動に伴う規制も多少緩和されることを期待しています。オリンピックを終えて、昨年とは劇的に変わっている部分も多いと思いますので、その変化を見るのもまた楽しみです。

以下のサイトによれば、五輪に沸く北京では、書店を訪れる外国人も増え、中国関連の書籍がよく売れている中で、「紅楼夢」など中国古典文学の人気も高まっているそうです。

「北京を観光する外国人、中国書物が大人気」
http://www.pekinshuho.com/ly/txt/2008-08/19/content_144436.htm

アジア最大の撮影所「中影集団映画数字製作基地」が7月下旬に完成したとのニュースです。現在は映画版紅楼夢の撮影がなされており、今後はハリウッド作品の撮影も予定されているとのこと。

建設費300億円、アジア最大の撮影所が北京に完成
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0806&f=entertainment_0806_002.shtml

cast04本日、クランクイン後初となる新版紅楼夢の発表会があり、黛玉役と公表されていた姚笛さんが煕鳳役に変更になったことが発表されたとのことです。これによって黛玉役が未発表の状態になってしまいました。
奇しくも先日のブログに紹介した情報が本当になってしまったわけですが、黛玉や煕鳳の正式な衣裳は、わざわざ違う配役で撮影したということになりますが?? 何のため???

なお、李纨役は池華琼さんではなく周毅さんとのことです。

香菱役の張檬さん、薛蟠役の王鶴鳴さん、薛宝琴は大人役の殷叶子さん、子役の徐璐さん、史湘云は大人役の馬暁灿さん、子役の呉青芷さんが発表されました。

実は十二釵については既に写真が公表されていた(下の写真です)のですが、実際の配役かどうかは明らかにされていませんでした。ただ、ここまで発表された方々がそのまま正式なキャストになっていることから、残りの李纨(池华琼さん)、巧姐(李曼嘉さん)、熙鳳(徐菁遥さん)についてもこの配役で発表される可能性が高いのではないかと思います。

cast03

左上から順に黛玉・宝釵・煕鳳・湘雲・元春・惜春・探春・迎春・妙玉・可卿・巧姐・李纨です。

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