瀋陽から北京に移動したのは24日の月曜日でした。安陽への切符を買ったあと時間があったので、北京の曹雪芹記念館にも足を運んでみました。香山までの地下鉄(西郊線)が2010年の開通を目指して工事が進められており、今回は工事中の箇所がずいぶん目につくようになりました。いずれは曹雪芹記念館(植物園)にも地下鉄で行けるようになるはずです。

trip14  ところで、いざ曹雪芹記念館に着いてみると「星期一閉館(月曜日休館)」の看板が・・・。えええっっっ!! 確かに記念館入口の表示にも開館時間と共に「星期一閉館」と書かれていましたが、この表示板って去年はありませんでした(T^T) 改めて案内板を見ると「周一閉館(週一休館)」とは書かれているのですが、それが何曜日かは書かれていない・・・。そんなわけでこの日は半日を無駄にしてしまいました(T^T)

北京曹雪芹記念館の展示内容は昨年すみずみまで見ており、めぼしいグッズも買い求めていたので、今回は行く必要がなかったのですが、こうなると収まりがつかず(^^; 翌々日の午後再訪しました。何枚か写真を撮り直し、売店でしおりなどを購入してようやく胸のつかえが取れました(^^;

結論:北京の曹雪芹記念館は月曜日が休館なので注意してください!(植物園は開園しています)

8月22~27日に訪中しました。今回は瀋陽と北京を起点に、遼陽と安陽へも足を運びました。
中国では移動を伴う旅行はかなり時間と体力を要するのに加え、予定どおり行かないことが当たり前だったりしますので下調べは入念に行いました。

今回の目的の一つが遼陽曹雪芹記念館の訪問でしたので詳しく説明します。

trip12まず遼陽への行き方です。
瀋陽から遼陽へは鉄道・バスが利用可能ですが、比較すると所要時間はほぼ同じであり、本数が圧倒的に多く、切符購入が容易なバスが断然便利と結論づけました。デメリットは、瀋陽のバス乗り場が分かりにくいという一点です。
瀋陽には長距離バスターミナルが散在していますが、遼陽・鞍山行きのバス乗り場は瀋陽駅の南東1キロのロータリーにあります(「地球の歩き方」にも載っています)。太原街の歩行者天国の南端に位置しているので、こちらから行くと分かりやすいです。
「経緯快客 遼陽 鞍山」と書かれた建物の前にバスが泊まっていますので、窓口で切符を購入して遼陽行きのバスに乗り込みます。出発時間は6:20~19:20で片道20元です。

瀋陽を出発したバスは1時間15分で遼陽駅前のバスプールに到着しました。なお、駅前には全国各地に行くバスが並んでいますが、瀋陽行きのバスは駅のすぐ前に待機しており、「シェンヤンシェンヤン...」と声を上げているのですぐ分かります。バスは次から次へと出ており、切符は乗車してから買います。遼陽からのバスは、瀋陽の出発したバス乗り場の近くに着きます。

trip13    遼陽市曹雪芹記念館は駅の南東2キロにあり(歩けないこともないですが)、20路のバスで「木魚石」で下車するとすぐです。なお、市内バスは一律1元です。
ホームページの記載と異なり、開館時間は8:30~16:30、料金は無料でした。朝イチだったためか、客は3人しかおらず、館内は閑散としていました(^^;

門楼を入ると曹雪芹の座像があり、その奥の建物が「家世祖籍展室」と「紅楼文化展室」になっています。前者はさらに以下の3室に分かれていました。
・「祖籍遼陽 軍功起家」 曹振彦(雪芹の祖父の祖父)と遼陽の関わりを示す資料展示
・「顕赫江寧 秦淮旧夢」、曹璽・曹寅(雪芹の曾祖父と祖父)に関する資料展示
・「燕京悲歌 著書西山」 曹家の家産没収~紅楼夢の成立までに関する資料展示
「紅楼文化展室」では記念館の由来と紅楼夢簡介(人物表や書籍)が展示されていました。

記念館入口の説明文によれば、曹雪芹の原籍については長らく論争が続いていましたが、96年の全国紅学検討会で遼陽が原籍であることが定論となり、同年9月に関係資料を展示する曹雪芹記念館が落成されたとのことです。
他の曹雪芹記念館と比べると、曹振彦に関する資料は群を抜いていますが、他の資料は使い回し(?)も見られました。所要時間は30分~1時間程度と見ておけばよろしいかと思います。

ちょっと前の話題で恐縮です。
1月にPSP版の発売が発表されたあと音沙汰のなかった紅楼夢ゲームですが、6月に新しいニュースがありました。

字幕のみのPC版と異なり、PSP版では音声が追加されることが分かっていましたが、PC版にはない多くのイベントが追加されるようです。また、未確定ながら日本語版も発売される可能性があることも分かりました。発売日は未定ですが期待して待ちましょう(^^)。

PSP版国产[红楼梦]将会加入独有的新要素?(中文) http://game.21cn.com/console/psp/news/2009/06/12/6421856.shtml

经典名著《红楼梦》PSP版原创要素追加(中文)
http://tjgame.enorth.com.cn/system/2009/06/15/004091592.shtml

今夏は8月下旬に訪中することにしました。
遼陽の曹雪芹記念館には行くつもりでしたので、最初は東北地方を回るプランを考えていましたが、北京-安陽の直行列車が今月開通し、殷墟などが今年いっぱい海外観光客に無料開放されるとのニュースを聞いて急遽、遼陽と瀋陽だけ見て南下するプランにしました。

遼陽を紹介しているガイドブックは皆無(^^;ですが、中文サイトを調べると瀋陽から電車で1時間ほどで、そこそこの観光地であるようです。曹雪芹記念館は駅から遼陽駅から2キロほどのところにあり、バス1本でいけるようです。

しばらくは下調べに没頭します。

辽阳市曹雪芹纪念馆(中文)
http://www.vjourney.com/cn/liaoning/liaoyang/2008-01-21/1678.html

以下でドラマ「黛玉伝」において公開されたスチール写真を紹介しています。
9大美人って何???
それに全部で10人いるけど???
...って最後の黛玉はカウントされていないのですね(^^;

『黛玉伝』における9大美人(チャイナネット)
http://japanese.china.org.cn/ent/2009-06/03/content_17880350.htm

book015  書虫で「彭連煕 紅楼夢群芳図」を購入しました。今年1月に出版されたばかりの本です。

 紅楼夢オンリーの画集で、金陵十二釵ら22名の人物画と「芙蓉女児誄」などの場面画からなっています。出版社は天津人民美術出版社、値段は38元(書虫は2,460円)です。

彭連煕氏はもともと神話や古典に題材をとった人物画を多く手がけているようですが、突筆すべきはその緻密・繊細な美しさ。A3版の大判本ですが、それでもかなり縮小されているのでしょう。

とにかく美麗です。お勧めの本と申し上げておきます。
cast05小魚さんの古装劇場の掲示板でも紹介されていますが、新版紅楼夢の撮影が進んでいるこの時期に、もう一つの紅楼夢ドラマとなる「黛玉伝」がクランクインになりました。監督は噂のあった徐静蕾女史ではなくて李平氏がつとめ、4月6日に上海大観園でもロケが始まったそうです。

公式サイトで主要人物の写真も公開されていますが、扮装に関しては評判の悪い新版紅楼夢と違って、87年版紅楼夢を擬したものになっています。

ちなみに黛玉を演じる閔春暁さんは黛玉役オーディションで第2席、宝釵を演じる鄧莎さんも宝釵役オーディションで最終選考に残った方です。なお、写真は宝玉を演じる馬天宇さんです。

黛玉伝公式サイト(中国語)
http://ent.sina.com.cn/f/v/daiyuz/index.shtml

《红楼梦》的事很热闹 《黛玉传》扮相接近87版(中国語)
http://ent.sina.com.cn/v/m/2009-04-08/01412460586.shtml

game003ようやく1回目のプレイが終わりました。ストーリーは確かに奥の深いものになっています。

(1)システム
プレーヤーは宝玉となって登場し、選択肢と特定の人物の好感度によってストーリーが分岐していくシステムになっています。特定の人物とは左の画像の6名で、左上から黛玉・宝釵・湘雲、左下から度緒・襲人・蒋玉函(!)です。それぞれにエンディングが用意されており、しかもグッドエンドとバッドエンドがあるようで、例えば黛玉の好感度が最も高いと途中から黛玉モードに入りますが、更に条件を満たさないとハッピーエンドは迎えられないということになります。何度もプレイしないとゲームの全容は見えないということにもなりますね。

データセーブは、新しいエピソードに入った時と選択肢が出た場面でそれぞれ自動で上書保存されます。また好きな場面で手動でも保存できます(つまり自動保存2+手動保存)。実はプレイ中にけっこう強制終了してしまう(^^;ので、自動セーブシステムがなかったら泣いていたと思います。

(2)内容
エピソードは原作に準じたものが4割程度(個人的感想)で、残りはオリジナルストーリーです(とはいえ、大観園に関する主要なエピソードはほぼ網羅されていますのでご安心を)。宝玉はそれまでの記憶の一切を失っており(理由は後に明らかになります)、神瑛使者であった前世の記憶が次第に蘇ってきます。
最終的に宝玉が黛玉以外の人物と結ばれる可能性があることに違和感を覚える方もいると思いますが、実は、ゲーム中では神瑛使者は度緒と恋人だったという設定であり、運命の相手は黛玉ではありません。前世の因縁により宝玉は度緒(正確には度緒が転生した捻紅)を探し求めますが、そのまま彼らが結ばれることは現世では許されません。運命の糸がさまざまに交錯する末に宝玉が結ばれるのはいったい誰なのでしょうか。

(3)感想
宣伝にいつわりなく、グラフィックや音楽なども素晴らしく、ゲームはかなり完成度が高いものでした。仮に日本語版が出た場合に、紅楼夢があまり知られていない日本で受け入れられるだろうかという疑問を常に持ちながらプレーしたのですが、私は十分に受け入れられるものと思いました。というのも、このゲームは原作を追体験する要素も多分にあるのですが、記憶を失っている宝玉と一緒にプレーヤーも紅楼夢を一から学んでいくことができると思われるからです。イメージが伴う分、文字から入るよりも理解しやすいかもしれません。どこかのゲームメーカーさん、手がけてみませんか?

新版「紅楼夢」で、大観園に入るまでの黛玉役を林妙可ちゃんが演じることが決まったとの記事です。
ドラマでは主要人物は年齢に応じて数人が演じることが分かっていますが、黛玉役を誰がやるのかはいまだ明らかになっていません。

五輪の口パク少女、林妙可ちゃんがドラマ出演
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0409&f=national_0409_034.shtml

book014  芦辺拓氏の「紅楼夢の殺人」を久々に再読しました。
この本のあとがきにも書かれているのですが、芦辺氏は執筆に当たって本サイトを参考にしていただいた(たぶん人物や項目の検索・整理に利用いただいたのだと思いますが)そうで、2004年の発刊の際にはお礼として本書を寄贈いただきました。このような個人的なサイトが多少なりともお役に立てたことはいまだに光栄に思っています。

2007年に単行本化された際にはすぐに購入しましたが、井波律子先生の解説などには何度も目を通していたものの、本文は数年ぶりに読み返してみた次第です。すでにいろいろな方が書評を書かれていますが、私もあらためての感想を述べてみます。

物語は元春妃の省親に始まり、宝玉と姉妹たちが入った大観園で次々に不可解な殺人事件が引き起こされ、頼尚栄と宝玉が謎の解明に立ち上がるというストーリーです。基礎となる場面設定や再構成されたエピソードなどには紅楼夢の世界観が緻密なまでに再現されており、大半を占めるオリジナル部分も違和感なく読むことができます。紅楼夢を知らない方には人物関係を理解するまではやや骨が折れるかもしれませんが、テンポもよく、すぐにぐいぐいと引き込まれていくことを受け合います。

宝玉の性格を改変せざるを得なかったところは違和感を覚える紅楼夢ファンがいるかもしれませんが、最後の謎明かしに続いて明らかになる(紅楼夢ならではの)核心部分にはやはり圧倒されます。芦辺氏が長い構想期間と周到な下準備のうえに苦心して生み出した作品というのも頷けます。中国に「公案小説」なるものがあったことも本書で知りました。

この書を機会に原作を読んでくれる方もいるようですし、紅楼夢に関する質の高い二次作品を世に出したいただいた芦辺氏には、日本における紅楼夢の知名度アップを願う一ファンとして本当に感謝しています。

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